『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方
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「悠々自適」は定年を正当化するための神話にすぎない
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日本の定年制はおかしい…ガラパゴス的で不幸を招く制度
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
哲学と生き方
出口治明(立命館アジア太平洋大学(APU)学長特命補佐)
新著『還暦からの底力』のなかには、「人生100年時代」を幸せに送るためのヒントが詰まっている。今回のシリーズでは、その本をもとに考え方の軸を根本から変える秘訣を伺った。その一つが「定年型社会」に対する提言だ。本人が元気で仕事をしたいのに、定年だから来なくていいといわれるのは、人間性を無視した制度ではないだろうか。(全7話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分02秒
収録日:2020年6月30日
追加日:2020年8月1日
≪全文≫

●『還暦からの底力』は人生の基本軸を変える名著


―― 皆様、こんにちは。本日は、立命館アジア太平洋大学(APU)学長の出口治明先生にお話をうかがいます。出口先生、本日はどうぞよろしくお願いをいたします。

出口 はい、こちらこそよろしくお願いします。

―― 最近出口先生がお書きになった『還暦からの底力―歴史・人・旅に学ぶ生き方』(講談社現代新書)ですが、大変すばらしい本でございますね。

出口 ありがとうございます。

―― この本を読んでいると、考え方が根底から変わると申しますか、人生における基本の軸が大きく変わるような感じを受けまして、ぜひそのあたりのお話をうかがえればという思いで、今日機会をいただきました。どうぞよろしくお願いをいたします。

出口 うれしいです。ありがとうございます。

―― 先生がこの本をお書きになった動機、この内容を世に問おうと思われたきっかけは、どういうところでしたでしょうか。

出口 基本的に僕はナマケモノで受け身タイプの人間なので、自分から世に問うというのではなくて、出版社の編集の方がこういう本をぜひ作りたいからと。その熱意にほだされて、じゃあ、やりましょうかという感じでスタートしました。

―― 出口先生が日頃お考えになっているものが凝縮して出てきた、きわめて濃密な一冊だと思います。今回は二つのテーマでお話をお聞きできればと思っています。一つ目は「定年型社会から脱却しよう」という先生からのメッセージについて、二つ目が「人生を幸福にする発想法」。これらを中心にお聞きできればと思います。


●英語にはない「定年」の言葉と発想


―― まず一つ目の「定年型社会」ですね。今、日本人は定年があるのが当たり前のことになっています。最近でこそ「定年延長」というような形で、定年が終わった後も少し働くようになっていますが、先生は「いやいや、そんなものではなくて、働けるうちは働こう」ということを、まずこの本でおっしゃっています。

出口 まず、「定年」という言葉に相当する英語はないのですよ。つまり、世界には定年という発想がないのです。われわれは「定年が当たり前」だと思っていますが、実は「一括採用、終身雇用、年功序列、定年」というワンセットの労働慣行は、戦後の日本が生み出した特異なもので、この前提条件は人口の増加と高度成長なのです。

 例えば、日本が...

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