高齢化と財政危機~その解決策とは
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社会構造の変化を直視せねば日本で安心社会は構築できない
高齢化と財政危機~その解決策とは(19)戦後日本社会の大構造転換
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)

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公立大学法人首都大学東京理事長の島田晴雄氏が、戦後の日本社会に生じてきた大規模な社会構造の変化について解説する。社会保障給付費の増大と財政赤字の拡大の背景にある、大規模な社会構造の変化を直視しなければ、国民全体の安心社会を構築することはできない。(全24話中第19話)
時間:14分26秒
収録日:2017年10月5日
追加日:2017年12月15日
≪全文≫

●近年の日本では、大規模な社会構造の変化が進展している


 前回では増税の話をしてきましたが、増税だけを掲げていても、国民はなかなか受け入れ難いでしょう。増税に見合う根本的な安心材料がなければ、増税は受け入れられません。税を取る以上は、国民全体の安心社会を構築する必要があります。それはどのような社会保障システムなのか、これは一番大きな問題ですので、一緒に考えていきましょう。

 まず認識すべきなのは、今の社会構造は、社会保障制度が構築された時代のものとは全く異なるものとなっているという点です。近年の日本では、大規模な社会構造の変化が進展してきています。今の社会保障制度は、そうした変化よりもはるか以前、1950年代から70年代の前半までの高度成長時代の経済環境、社会構造、そして雇用制度を前提に構築されています。


●高度成長時代に、年功賃金・終身雇用が定着した


 当時、人口構造は若く、しかも急速に増大していました。家族構造は、大半の家族が親と子の2世代家族であり、その多くに子どもが2人以上いました。これが標準家庭だと呼ばれていたのです。また、高度成長時代ですから、1950年代の後半から1970年代の前半にかけて20年間、日本経済は年率平均で実質10パーセント以上の成長を続けていました。

 人口が若く、しかも経済が持続的に成長するという期待がある中では、企業も当然それに沿った雇用をします。それが結果として、年功賃金・終身雇用という制度になったわけです。低賃金で多くの若年労働者を一括採用し、OJT(on the job training)と呼ばれる、企業内の職場での訓練を行いました。経験を積ませて、熟練工を育てることが目指されたのです。

 当然、生産性は上昇します。それに応じて、賃金率を定期的に引き上げる、定期昇給も行われました。経済が成長を続けているので、一度採用した労働者が解雇されることもありません。したがって、一度雇われれば、同じ会社に一生勤続するという考えもできてきました。雇用期間の定めなく雇われている労働者、いわゆる正社員の発想です。

 経済が成長していなかった時代には、雇用期間に定めのある臨時工はいましたが、今や経済はどんどん成長していきます。正社員化が加速し、臨時工は本当にわずかになりました。結果として、終身雇用と年功賃金という日本型雇用制度が定着したのです。

 こうした家族構...

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