高齢化と財政危機~その解決策とは
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財政破綻を起こす4つのトリガー…日本は対処できるのか?
高齢化と財政危機~その解決策とは(4)財政破綻のメカニズム
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)

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公立大学法人首都大学東京理事長・島田晴雄氏が、財政破綻が引き起こされるメカニズムについて解説する。終戦直後の日本は、預金封鎖・新円切り替え・財産税によって、国民から金融資産を略奪し、何とかデフォルトを回避できた。現代の日本は、2025年問題など、財政破綻を引き起こすトリガーに対処することができるのか。(全24話中第4話)
時間:10分43秒
収録日:2017年9月27日
追加日:2017年11月3日
≪全文≫

●2025年、団塊の世代が75歳以上になる


 政府の一般総債務を加速させる現象は、まだあります。このグラフの赤い線を見てください。2025年から2035年にかけて、国民の中に占める75歳以上人口の比率が急激に上がっていきます。2025年問題と呼ばれている問題です。日本の人口ピラミッドでは、いわゆる団塊の世代が非常に膨らんでいて、この人たちが75歳以上になるのです。

 75歳以上になると、社会保障給付費が非常に高くなります。例えば、10歳下の65~74歳層に比べても、医療費が4倍、介護費が9倍に増えるのです。つまり、2025年を境に、社会保障給付費がどっと増えるのです。しかも同時に、国債発行を賄うはずの貯蓄が増えないという、危機的状況も高まってきます。そうなれば、何かちょっとしたショックがあるだけで、財政破綻から経済破綻、ひいては国家破綻に陥る引き金、トリガーが引かれる可能性があるでしょう。財政と社会保障の抜本的な改革がなければ、2030年前後には、この悪夢が現実になる恐れがあります。


●財政破綻を引き起こしうる4つのトリガー


 ここで、財政破綻を引き起こし得るトリガーを、4点整理しておきましょう。第1に、財政債務が国民純貯蓄を上回る状態です。この状態になれば、国内で国債を消化する余力がなくなってきます。余力がなくなれば、国債価格が適正に決定されない不安定な状態になるでしょう。

 第2に、経常収支の赤字が定着する状態です。国債が国内で消化できなければ、海外投資家を頼みにするしかありません。ところが、経常収支が赤字になっていれば、国内には余資がないのだと世界は分かっていますので、国債が買い叩かれるでしょう。国債価格は下がっていきます。このようなことが起きるのではないかと市場関係者が予想すれば、非常に不安定な状態になり、ちょっとしたショックで引き金が引かれて、財政が崩壊することがあり得ます。

 第3に、いわゆるハゲタカの存在です。彼らは、国債だけではなくさまざまな資産が予想を超えて変動すると見込まれる場合、先物で大量売りを仕掛けて、相場のさらなる下落を招きます。他の人たちが売り切ったところで、底値を狙って買い、反動で価格が上昇することによって大もうけしようとするのです。実は日本の国債も、何度も大小のハゲタカに狙われてきました。しかし、日本経済の状態が何とか持続していたので、いずれも失敗に終わっ...

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