高齢化と財政危機~その解決策とは
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
日本の将来のために増税の是非を本気で考えるべき
高齢化と財政危機~その解決策とは(10)異次元金融緩和と消費増税
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)

講義一覧を見る▼
公立大学法人首都大学東京理事長の島田晴雄氏が、債務累積問題の解消に向けて、日本が取るべき方策を検討する。異次元金融緩和は、すでに出口戦略を模索すべき時期に達している。消費税増税も2019年に延期されてしまったが、増税を延期しても経済に良い影響をもたらす保証はない。長期にわたる小刻みな増税を検討するべきだ。(全24話中第10話)
時間:13分57秒
収録日:2017年10月5日
追加日:2017年11月24日
≪全文≫

●債務の累積は財政破綻を引き起こしかねない


 これまで、日本の深刻な政府債務の累積問題を、その内容や制度、構造、歴史にわたって見てきました。債務の累積は、財政危機だけでなく財政破綻をも引き起こしかねません。こうしたリスクをどのように回避するべきか、そしてこの重大な問題をどう克服すべきか、これから考えていきましょう。

 まず金融、財政、そして成長戦略について見た後、社会保障を構成する年金・医療・介護の分野について、何をすべきかということを考えたいと思います。そして最後に、財政危機から財政破綻に陥りかねないというリスクを回避・克服するために、今取り組むべき最も重要な政策について提案します。現在、歴史的に大きく転換しつつあるこの国を、将来に向けて持続可能な社会にするには、何をすべきなのでしょうか。


●日銀は異次元緩和を脱却して、適切な出口戦略を採用すべき


 まず金融の問題です。異次元金融緩和という政策が、アベノミクスの一環として提議され、黒田東彦日銀総裁によって推進されてきました。2014年10月以降には、毎年80兆円ペースで国債を購入して、ベースマネーの供給を増やすという方針になっています。ベースマネーを増やすということは、日銀が民間金融機関に国債の代金を支払うということです。しかし、その代金の多くは日銀の当座預金に積み立てられています。その結果、2017年7月時点での日銀の資産は、505兆円という、ほとんどGDPに匹敵する額になってしまいました。そのうち、いわゆるマネタリーベース、ベースマネーの蓄積は470兆円に上っています。

 こうしたマネタリーベースの急速な累積が今後も継続された場合、国債の発行残高の全てを日銀が吸収してしまうという、異例の事態になりかねません。そうなれば、国債市場は機能不全に陥る危険があります。そうした事態に陥る前に、日銀は異次元金融緩和を脱却して、膨れ上がったマネタリーベース、すなわち日銀のバランスシートを、正常な姿に戻す出口戦略を採用する必要があるでしょう。


●出口戦略の実行はリスクを伴うが、不可能ではない


 ベースマネーの供給拡大の目的は、緩やかなインフレ基調を定着させて、消費や投資活動を活発化させ、経済を適切な成長軌道に乗せることにありました。これが実現すれば、もちろん日銀は異次元緩和の異常な状況を脱却して、適切な出口戦略を採用すべき...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
逆境に対峙する哲学(3)修行・物語・語りの転換
武士道に学ぶ自己訓育――幻想としての順境に抗するために
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(2)コンピュータの歴史
量子コンピュータの転機となった1990年代の発見とは何か
武田俊太郎
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫