高齢化と財政危機~その解決策とは
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
医療にも市場メカニズムを導入して競争させるべき
高齢化と財政危機~その解決策とは(16)市場メカニズムを拒否する医療行政
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)

講義一覧を見る▼
公立大学法人首都大学東京理事長の島田晴雄氏によれば、日本の医療制度は政府による管理統制を受け続けてきた。診療報酬や病院・病床の規制、さらには医学部の数量規制まで、政府が管理を強化してきたのである。市場メカニズムを導入しなければ、競争原理が働かず、福祉サービスの向上は望めないだろう。(全24話中第16話)
時間:9分30秒
収録日:2017年10月5日
追加日:2017年12月5日
≪全文≫

●医療行政は管理強化の歴史である


 日本型の社会福祉の中には、さまざまな問題が内在しています。医療の場合、問題は何といっても政府による統制管理です。これがさまざまな面で非効率を生んでいます。この図からも分かるように、医療費は上がり続けています。それを抑えるべく、政府は管理を強化してきました。医療行政は、この20~30年、管理強化の歴史だったのです。

 具体的にいえば、価格統制と量の統制です。一般に、価格と量を統制すれば、マーケットは機能しなくなります。しかし医療に対して、政府はこれを平然と行っています。

 例えば、数千点に及ぶ医療行為や薬品に関して、診療報酬という仕組みがあります。1点10円で換算され、報酬が決まります。しかし驚くべきことに、医療行為の質と成果は問われません。ある名前が付いた医療行為は、どんなものでも同じ価格です。つまり、素晴らしい名医も、国家試験に通るのも危ない不熟練のお医者さんも、診療報酬体系上は、どちらの診療も全く同じ価格なのです。当然値段の差を付けるべきでしょう。日本の医療行政は、こうした価格機構を否定しており、市場機能を不全にしているのです。


●市場メカニズムが一切無視されている


 あるいは、量の統制も行われています。病院や病床の規制です。市場のニーズを見ていないため、病院の数は地域差と部門差が大きくなっています。確かに役人は、人口比率で考えているのですが、事業者の意向は反映されていません。こうしたことは市場メカニズムを通して分かるはずですが、一切無視されています。需給ギャップが大きくなるわけです。

 病床規制も行われています。例えば、面倒見のいい病院に慢性病の高齢者が入院します。慢性病ですから長く入院し、急性の患者は入院できません。入院できてもせいぜい3カ月です。回復していない状況で追い出されてしまい、挙げ句の果てには病院をたらい回しにされ、結局死んでしまう、ということになりかねません。これが大問題になっていますが、やはり原因は市場メカニズムの無視でしょう。

 医学部の数量規制もあります。過去四十数年間、新しい医学部は一つも創設されていません。今後、高齢化が進んでいけば、医者の数が不足するでしょう。今から医学部を新しくつくっても、お医者さんが一人前になるのには20年ぐらいかかります。特に東京のような超高齢化都市では、かなり...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
岸信介と日本の戦前・戦後(1)毀誉褒貶相半ばする政治家
「昭和の妖怪」岸信介の知られざる実像を検証する
井上正也
日本を復活させる国家戦略(1)戦後の復興戦略と日本経済の凋落
「所得倍増」はなぜ成功したか…日本経済の回復のヒント
島田晴雄
躍進するインドIT産業の可能性と課題(1)下請けから世界の中心へ
インドが世界有数のIT産業の拠点へと発展した理由
島田晴雄
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
テロメアから考える「アンチエイジング」(1)老化とテロメアの関係
テロメアの長さが「がんリスク」と「老化」のカギを握る
堀江重郎
「満洲」から考える日本とアジア(3)「渤海」とはいかなる国か
謎の「渤海」…7世紀末から10世紀まで満洲で栄えた渤海と奈良時代以降の日本との交流の背景は安全保障
宮脇淳子
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
編集部ラジオ2026(32)鎌田東二先生の法華経講義解説-1
【10min名作探訪】鎌田東二先生の『法華経』講義の核心ビジョン
テンミニッツ・アカデミー編集部
Microsoft Copilot~AIで仕事はどう変わるか(7)AI活用の落とし穴
AIへの不安と懸念…だからこそ「教養」が必要になる
渡辺宣彦
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(5)「原則なし」の日本
世界は「原則」でできているが、日本は「原則はなし」にする
橋爪大三郎
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子