高齢化と財政危機~その解決策とは
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
5年間のアベノミクスの成果とこれからの課題
高齢化と財政危機~その解決策とは(6)アベノミクスの総括
政治と経済
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)

講義一覧を見る▼
公立大学法人首都大学東京理事長・島田晴雄氏が、2012年以来のアベノミクスを総括する。日銀・黒田東彦総裁の下、実施された異次元金融緩和は、一定の成果を挙げながらも、インフレ期待が醸成されているとはいい難い。財政政策と成長戦略も、財政再建目標の達成を目指したものだとはいえないだろう。(全24話中第6話)
時間:13分05秒
収録日:2017年9月27日
追加日:2017年11月5日
≪全文≫

●菅官房長官「長期デフレの脱却が安倍政権の第1の目標」


 経済破綻の可能性がある中で、政府はどのような対応をしてきたのでしょうか。政策推進の経緯を振り返って、事実を確認してみたいと思います。

 2012年末から5年間近く、日本の経済政策はアベノミクスの枠組みで展開されてきました。安倍晋三政権が誕生してほどなく、菅義偉官房長官が、私どもが主催する経営者の勉強会に来られたことがあります。その時、菅長官は次のようにおっしゃいました。

 「日本はこれまで長い間、デフレで沈滞した期間を過ごしました。失われた20年です。人々は消費を手控え、企業は投資に踏み切れませんでした。その結果、経済が20年間も停滞した暗い時代でした。その間、政治は一体、何をしていたのでしょうか。これまで私たちは、財政は財務省任せ、金融は日銀任せではなかったでしょうか。これからは政治が立ち上がって、日本経済を救わねばならない、と私たちは考えます。長期デフレの脱却を安倍政権第1の目標に掲げて邁進する覚悟です」

 実際、デフレが続くと、消費と投資が沈滞し、経済が停滞します。財政債務の膨張は1990年代から加速していました。そして、社会保障会計の赤字を税で、そして税で足りない部分は公債、つまり将来の世代への課税で賄ってきたことが、財政赤字を急速に膨らませる要因になっているのです。高齢化で社会保障給付は増えましたが、デフレのために賃金は増えませんでした。そのため、賃金に連動する社会保険料は増えず、「社会保障会計のワニの口」が拡大しています。さらにそれが「財政赤字のワニの口」を広げ、それを補うために、公債発行による政府の借金が増えてきたのです。

 その点、安倍政権がデフレ脱却を最大の目標に掲げて、経済政策を推進しようと考えたのは、近づいてくる危機を避ける、もしくは克服するために、大変正しい選択だったといえます。安倍政権ではそのために、アベノミクスといわれる政策を打ち出しました。それは、3本の矢で構成されます。第1の矢は金融政策、第2の矢は財政政策、第3の矢は成長戦略です。


●クロダノミクスは一定の成果を上げた


 第1の矢である金融政策は、「異次元金融緩和」と呼ばれるものです。デフレ脱却の実現のために、力点がこの金融政策に置かれました。異次元金融緩和とは、大量のベースマネーを供給して、市場の期待感を変え、2年以内に...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
自民党総裁選~その真の意味と今後の展望
「マスコミ報道」では見えない自民党総裁選の深い意味
曽根泰教
半導体から見る明日の世界(1)世界的な半導体不足と日本の可能性
なぜ世界の半導体不足は起きた?台湾TSMCと日本復活への鍵
島田晴雄
アンチ・グローバリズムの行方を読む(1)世界情勢の転換
強まるアンチ・グローバリズムの動きをどう見ればいいか
岡本行夫
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
「アカデメイア」から考える学びの意義(4)学びの3つのキーワード
より良い人生への学び…開かれた知、批判の精神、学ぶ主体
納富信留
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(1)日本の国家モデルと公の概念
日本は集権的か分権的か…地理と歴史が作る人間の性質とは
片山杜秀
編集部ラジオ2025(19)堀口茉純先生の「講義録」発刊!
著者が語る!『『江戸名所図会』と浮世絵で歩く東京』
テンミニッツ・アカデミー編集部
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
日本のエネルギー政策大転換は可能か?(1)原発最大限活用の根拠と可能性
第7次エネルギー基本計画とは?原発活用方針の是非を問う
鈴木達治郎