高齢化と財政危機~その解決策とは
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5年間のアベノミクスの成果とこれからの課題
高齢化と財政危機~その解決策とは(6)アベノミクスの総括
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)

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公立大学法人首都大学東京理事長・島田晴雄氏が、2012年以来のアベノミクスを総括する。日銀・黒田東彦総裁の下、実施された異次元金融緩和は、一定の成果を挙げながらも、インフレ期待が醸成されているとはいい難い。財政政策と成長戦略も、財政再建目標の達成を目指したものだとはいえないだろう。(全24話中第6話)
時間:13分05秒
収録日:2017年9月27日
追加日:2017年11月5日
≪全文≫

●菅官房長官「長期デフレの脱却が安倍政権の第1の目標」


 経済破綻の可能性がある中で、政府はどのような対応をしてきたのでしょうか。政策推進の経緯を振り返って、事実を確認してみたいと思います。

 2012年末から5年間近く、日本の経済政策はアベノミクスの枠組みで展開されてきました。安倍晋三政権が誕生してほどなく、菅義偉官房長官が、私どもが主催する経営者の勉強会に来られたことがあります。その時、菅長官は次のようにおっしゃいました。

 「日本はこれまで長い間、デフレで沈滞した期間を過ごしました。失われた20年です。人々は消費を手控え、企業は投資に踏み切れませんでした。その結果、経済が20年間も停滞した暗い時代でした。その間、政治は一体、何をしていたのでしょうか。これまで私たちは、財政は財務省任せ、金融は日銀任せではなかったでしょうか。これからは政治が立ち上がって、日本経済を救わねばならない、と私たちは考えます。長期デフレの脱却を安倍政権第1の目標に掲げて邁進する覚悟です」

 実際、デフレが続くと、消費と投資が沈滞し、経済が停滞します。財政債務の膨張は1990年代から加速していました。そして、社会保障会計の赤字を税で、そして税で足りない部分は公債、つまり将来の世代への課税で賄ってきたことが、財政赤字を急速に膨らませる要因になっているのです。高齢化で社会保障給付は増えましたが、デフレのために賃金は増えませんでした。そのため、賃金に連動する社会保険料は増えず、「社会保障会計のワニの口」が拡大しています。さらにそれが「財政赤字のワニの口」を広げ、それを補うために、公債発行による政府の借金が増えてきたのです。

 その点、安倍政権がデフレ脱却を最大の目標に掲げて、経済政策を推進しようと考えたのは、近づいてくる危機を避ける、もしくは克服するために、大変正しい選択だったといえます。安倍政権ではそのために、アベノミクスといわれる政策を打ち出しました。それは、3本の矢で構成されます。第1の矢は金融政策、第2の矢は財政政策、第3の矢は成長戦略です。


●クロダノミクスは一定の成果を上げた


 第1の矢である金融政策は、「異次元金融緩和」と呼ばれるものです。デフレ脱却の実現のために、力点がこの金融政策に置かれました。異次元金融緩和とは、大量のベースマネーを供給して、市場の期待感を変え、2年以内に...

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