高齢化と財政危機~その解決策とは
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「国債村」の存在が財政危機の現実を覆い隠している
高齢化と財政危機~その解決策とは(8)財務省とプライマリーディーラー
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)

講義一覧を見る▼
2004年、国債の安定的消化のため、国債市場特別参加者制度、通称プライマリーディーラー制度が財務省によって導入された。財務省から重要情報を得る代わりに、「国債村」の企業は国債を買い続けている。これは財政危機の現実から国民の目をそらす制度だと、公立大学法人首都大学東京理事長・島田晴雄氏は指摘する。(全24話中第8話)
時間:12分18秒
収録日:2017年9月27日
追加日:2017年11月7日
≪全文≫

●政治家は高齢者の利益に反する政策を立案することが困難だ


 財政破綻のリスクはどんどん高まっているのですが、政治家は国民の意向を忖度(そんたく)して政治をします。国民の支持のないことはできません。ですから、国民にも非常に大きな責任があると思うのです。

 そこで国民の理解に関して、2つのポイントを見ておきたいと思います。第1のポイントはシルバー民主主義です。高齢化社会では、高齢者層の比重が高くなります。その上、高齢者の投票率は高く、70パーセント近くもあります。それに対して、若年者は20~30パーセント程度しかありません。高い投票率を持つ高齢者層が、高齢化とともにどんどん比重を増していく、というのがシルバー民主主義です。高齢者層が望むのは、例えば年金の給付を増やすというように、自分たちの利益になることであって、先のことは知らないということになりがちです。

 こうしたシルバー民主主義の下では、政治家は高齢者の利益に反する政策を立案したり実施したりすることが、非常に難しくなります。したがって、財政破綻の危機が仮に迫っていても、政治家も政党も、いきおい高齢者の目前の利益を守る政策を取りがちです。これは世界に共通することですが、安倍晋三政権もこの傾向に忠実なのかもしれません。


●政治が財政問題に本気で取り組まないのは、民主主義の帰結か


 第2のポイントは、国民の合理的無知です。財政も社会保障も非常に複雑で、壮大な仕組みなので、投票者のほとんどは、その全体像を理解することができません。しかも、投票者はたった1票しか投票権を行使できません。たった1票の行使のために、そうした仕組みの全体像を理解するというのは、割に合わないでしょう。

 したがって、投票者は、税金や社会保障給付がどれだけ上がるのかという利害については大変敏感ですが、それがどういう意味を持つか、背景には何があるかといった、全体像を把握しているわけではありません。財政赤字がどんどん増えていくことに、漠たる不安を抱きつつも、それが一体どのようなメカニズムを通じて財政破綻に至るのかということは、全く分かっていないし、分かろうともしません。

 こうした、「分かろうとしない。だから分からない」というものを、合理的無知と呼びます。財政破綻と経済破綻は、システム全体の総合的機能不全ですから、投票者が全体像を理解していな...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
日本のエネルギー政策を「デジタル戦略」で大転換しよう
岡本浩
半導体から見る明日の世界(1)世界的な半導体不足と日本の可能性
なぜ世界の半導体不足は起きた?台湾TSMCと日本復活への鍵
島田晴雄
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎

人気の講義ランキングTOP10
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(8)『オデュッセイア』の世界的影響
オデュッセイアが物語のフォーマット?…アラビアンナイトから百合若物語、ひまわりまで
松村一男
「満洲」から考える日本とアジア(4)蒙古襲来と清朝建国
実は元寇はモンゴル人ではなかった?満洲をめぐる民族興亡史と「漢族」との関係…蒙古襲来から清朝建国まで
宮脇淳子
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
クラシック音楽の歴史をピアノ演奏で辿る~ヴィヴァルディ四季
野本由紀夫
テロメアから考える「アンチエイジング」(1)老化とテロメアの関係
テロメアの長さが「がんリスク」と「老化」のカギを握る
堀江重郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
日本の財政の真実を検証する(3)金利上昇の深刻な影響
金利が上昇した未来を10年スパンで見てみると…何が起きるか?
宮本弘曉
イノベーションの本質を考える(3)イノベーション事例
カシオのデジカメが起こしたイノベーション
楠木建
生成AI「Round 2」への向き合い方(4)日本企業のAIモデル
Copilotに訊いてみた!日本企業のAIモデルの特徴とは
渡辺宣彦