高齢化と財政危機~その解決策とは
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
批判は排除され情報開示もされない「年金村」の実態
高齢化と財政危機~その解決策とは(9)厚生労働省が築いた「年金村」
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)

講義一覧を見る▼
公立大学法人首都大学東京理事長・島田晴雄氏は、厚労省を中心に構築されてきた年金制度が、一種のギルドとして「年金村」になっていると指摘する。厚労省に対する批判は排除され、専門家に対しては十分な情報提供がなされていないのだ。島田氏が日本の年金制度の構築過程を振り返りながら、解説する。(全24話中第9話)
時間:16分43秒
収録日:2017年9月27日
追加日:2017年11月8日
≪全文≫

●「年金村」の社会的影響力は極めて大きい


 財政や社会保障の仕組みを、国民に対して意図的に分かりにくいものにしているメカニズムの2つ目が「年金村」です。年金についても、「国債村」と似た政治社会集団が存在しているのです。ただし、「年金村」は「国債村」のように、それなりに制度化され、参加者も知られ、議事録もあるというような、目に見える存在ではありません。「年金村」の参加者が誰かは、当事者が部分的に知るだけで、参加の程度も人それぞれで、全貌は不透明です。議事録どころか記録も、全くありません。しかし、その社会的影響力は、実は極めて大きいといわざるを得ないと思います。

 なぜなら、年金制度に象徴される社会保障の諸制度は、国民各層の生活と人生を支え、できるだけの安定を保障する制度だからです。その制度が設計され、機能する社会は、しかし常に変動します。制度の受給者もさまざまですし、歳を重ねていけば、体力も能力も変化します。病気や障害のある人々も多い。そうした国民各層の個人の全生涯にわたって、一定の生活保障を提供するという仕組みですから、必然的にそれは膨大かつ複雑なものになるのです。

 実際、社会保障制度は、社会経済や国民全員の年々の変化に応じて改定され、時機に応じて大規模な改革が必要となるシステムです。その改変や改革は、政府の担当部局である厚生労働省の担当責任者が常に構想し、準備します。改変や改革のプロセスには、当然、内閣や政党、政治家、労働組合、経営者、メディアや世論などが深く関わります。システムの改革は、そうしたプレーヤーたちの政治的な相互作用の結果として、ようやく結実するものです。


●1980年代、旧厚生省の幹部が大改革に取り組んだ


 日本の年金制度は、第二次大戦中に戦費調達の一環として発足しましたが、戦後には再構成されて、経済発展の過程で、勤労者そして一般国民の老後生活の一定の保障を提供する制度として発展してきました。日本経済の発展過程では、拠出基金の蓄積も少なく、経済社会も激しく変化したので、さまざまな制度がその都度、必要に応じて設定され、またその都度、修正されてきており、全体としては統合性のない煩雑な制度になっています。

 ところが、高度成長期が終焉に向かう1980年代に入ると、年金行政を司る旧厚生省の幹部たちが、歴史的画期となる大改革に取り組むことになり...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
経済社会と「隠れた価値」の行方(1)経済の中の価値
人間の幸福と「価値」…お金以外の「隠れた価値」をどう考えるか
吉川洋
資産運用の思考法…経済や市場の動きをどう読むか
市場予測のポイント…短期・中期・長期の視点と歴史的洞察
養田功一郎
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏

人気の講義ランキングTOP10
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
「ホメロス叙事詩」を読むために(5)オデュッセウスの冒険
ホメロスの『オデュッセイア』が描く苦難と誘惑の冒険譚
納富信留
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(4)5人の皇帝と現代中国
特筆すべき5人の皇帝…中国史を知らなければ現代中国もわからない
宮脇淳子
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
中国春秋戦国時代と始皇帝(7)始皇帝を支えた家臣たち
始皇帝を支えた家臣たち…史実からいかに実像を描いていくか
鶴間和幸
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾