高齢化と財政危機~その解決策とは
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
アルゼンチン・ブラジル・ロシアに見る経済破綻
高齢化と財政危機~その解決策とは(5)経済破綻を経験した南米・ロシア
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)

講義一覧を見る▼
日本は終戦直後、経済破綻を回避するため、国民の金融資産を収奪せざるを得なかった。経済破綻は世界各国でしばしば起きており、今後日本が同じ状況に直面しない保証はない。公立大学法人首都大学東京理事長・島田晴雄氏が、近年起きたアルゼンチン、ブラジル、ロシアの経済破綻を分析し、日本に対して警鐘を鳴らす。(全24話中第5話)
時間:12分55秒
収録日:2017年9月27日
追加日:2017年11月4日
≪全文≫

●5年か10年おきに、どこかの国が経済破綻の危機に陥っている


 日本が終戦直後に経験したことは、おそらく世界史でも最悪に近い例ですが、しかしこうしたこと自体は、それほど珍しくはありません。多くの国がこういう経験をしています。

 例えば、最近の事例からさかのぼれば、アルゼンチンが2001年、ロシアが98年、南アフリカが85年、フィリピンが83年、ブラジルが83年、メキシコが82年と、要するに、5年か10年おきに、どこかの国が経済破綻の危機に陥っているのです。つまり、日本の終戦後だけが特別で、もうあんなことは起きないとは、必ずしも言い切れないのです。よほど注意しておくべきです。


●アルゼンチンは、2001年から数年にかけて経済破綻に陥った


 今回は、比較的新しい3つの例、アルゼンチンとブラジルとロシアについて見てみましょう。

 アルゼンチンは、2001年から数年にかけて経済破綻に陥りました。後で見るように、1998年にロシアがデフォルトを起こし、世界にかなりの影響を与えます。その影響を受け、もともと財政状態が良くなかったアルゼンチンは、実質経済成長率がマイナスになりました。当局は財政再建のため、増税に踏み切りましたが、これがむしろ悪循環を引き起こす、引き金となったのです。2001年の夏、金利高騰のため、ついに国債による資金調達ができなくなりました。金利が上がると、政府は資金繰りができなくなってしまうという事例です。当時、失業率は18パーセントで、巨額の公的債務を抱えて経済危機に陥りました。インフレ圧力に耐えられず、政府は2001年12月に預金封鎖を実施します。

 南米の国民性もあって、預金封鎖に対する不満が爆発し、「経済暴動」が起きました。暴徒は商店を襲撃して、略奪を繰り返し、あちこちで経営者が自殺に追い込まれました。フェルナンド・デ・ラ・ルア大統領(当時)は辞任に追い込まれ、政府はとうとうデフォルトを宣言します。対外債務の支払いが停止され、禁治産国になってしまいました。

 しかし、それでもまだ混乱は収まりません。翌年から、政府は銀行預金の凍結を徐々に解除していきましたが、現金が戻ってくるわけではなかったからです。預金は10年満期の国債に転換されていました。国民の不満は相当なもので、何とか物々交換で命をつないだといわれています。


●ブラジルでは90年代前半にインフレ率が4桁にまで昂進した


...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
ハーディングとトランプ~100年前の米大統領選を読む(1)米国第一主義の台頭
1920年のアメリカファースト…ハーディング大統領の勝利
東秀敏
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
日本を復活させる国家戦略(1)戦後の復興戦略と日本経済の凋落
「所得倍増」はなぜ成功したか…日本経済の回復のヒント
島田晴雄
プーチンのロシア―その思想と戦略―(1)プーチン政治の特徴
ロシア皇帝のように悪者を叱る人…プーチンの思想と歴史観
山添博史

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(39)上野誠先生の万葉集講義と現代
【10min解説】万葉集に学ぶ「公務員倫理法」の大失敗?
テンミニッツ・アカデミー編集部
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(6)ピョートル大帝の宗教改革
王座に乗った革命家・ピョートル大帝の「宗教改革」と、ソビエト時代のロシア正教の「弾圧」と「利用」の実情
上月豊久
「良き対話」とは?――哲学から考える(1)対話とは何か――会話・説教との違い
「良き対話」のヒントを哲学から考える…「対話」の大前提とは、そして「会話」「説教」「場回し」とは何が違うのか?
納富信留
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
『源氏物語』を味わう(3)形容詞からの楽しみ方
美しい形容詞の使い分け…『源氏物語』の表現を味わう
林望
「満洲」から考える日本とアジア(9)アヘンの実態と満洲開発
満洲国の開発とアヘン問題…アヘンが資金源となったのは事実だが「同時代の世界」と比較せねば真実はつかめない
宮脇淳子
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(1)国守・大伴家持と地方社会の日常
『万葉集』でわかる奈良時代の貴族と地方豪族の関係と日常…歌人・大伴家持の歌に秘められた国守時代の苦労話
上野誠