高齢化と財政危機~その解決策とは
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
破綻に向かっている日本経済の実情
第2話へ進む
日本が直面する財政危機のリスクを回避する方法とは?
高齢化と財政危機~その解決策とは(1)日本の直面する危機の克服へ向けて
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)

講義一覧を見る▼
高齢化に伴って社会保障費が増大する一方、長期的なデフレのために経済成長が低迷。その結果、日本は現在深刻な財政危機に直面している。財政改革のため、国民に高負担を迫るのであれば、全世代を包摂する社会保障制度の構築が急務であろう。では、その具体策とは、いかなるものなのだろうか。まずは、今、われわれが直面する厳しい現状を分析していく。(全24話中第1話)
時間:8分11秒
収録日:2017年9月27日
追加日:2017年10月19日
≪全文≫

●日本経済は、財政危機のリスクに直面している


 今回のシリーズでは、日本がこれから中長期的に直面することになる、おそらく最も深刻な危機の問題について考えたいと思います。日本では財政赤字が年々累積し、しばらく前から世界最悪の状態です。財政赤字はGDPに対して、240パーセント以上にもなっているのです。これは、第二次大戦直後をも上回る数値です。

 財政赤字が大きく膨張すると、それを返済することは次第に困難になります。国債の返済が困難だと市場が判断すれば、その国債を買う人は減り、国債価格が下がります。債券の価格と利回りは逆相関の関係にあるので、価格が下がると金利は上がります。金利が上がると、債務が膨張します。そして、返済必要額が増えていきます。そうなれば、さらに返済が困難になりますから、さらに価格が落ち、同時に金利が上がっていきます。こうした悪循環が、財政危機を引き起こすのです。

 日本経済は今、そうした財政危機のリスクに直面しています。債務膨張と金利高騰が起きると、政府も企業も資金繰りが困難になるでしょう。最悪の場合には、政府が活動を停止し、企業の生産や雇用もストップします。つまり、経済破綻が国家破綻につながっていくわけです。こうしたリスクがだんだんと近づいているのです。


●社会保障会計のワニの口が広がった


 実は1990年代の初頭まで、日本は財政収支も政府債務残高も、世界主要国の中で優等生でした。それが2000年代に入ると、急に世界最悪の借金国になったのです。一体何が起きたのでしょうか。

 専門家の間で「ワニの口」という表現がありますが、その理由の1つは、社会保障会計のワニの口が広がってきたということです。1990年代から2000年代にかけて、いわゆる「失われた20年」の間に、経済成長率は1パーセント前後にまで低迷しました。デフレが長期にわたり、賃金も上昇していません。社会保険料は賃金と連動しているので、この状況下では、保険料の収入が増えません。一方、この期間には、高齢化が世界最速のスピードで進みました。したがって、年金、医療、介護といった社会保障給付費が急増します。給付費が増える一方で、拠出は増えなかったために、社会保障会計の赤字が大きく広がっていきました。これを「ワニの口」といいます。


●10年後には、政府の総債務が国民純貯蓄を上回る


 もう1つ、ワニの口がありま...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(1)二人の思想家
モンテスキューとルソー…二人の思想家の共通の敵とは?
川出良枝
プーチンのロシア―その思想と戦略―(1)プーチン政治の特徴
ロシア皇帝のように悪者を叱る人…プーチンの思想と歴史観
山添博史
経済社会と「隠れた価値」の行方(1)経済の中の価値
人間の幸福と「価値」…お金以外の「隠れた価値」をどう考えるか
吉川洋
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
国家の中で個人が楽しく生きるために、なぜ「中間団体」が重要か
片山杜秀
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一

人気の講義ランキングTOP10
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也
「満洲」から考える日本とアジア(5)ロシアのシベリア征服と日清日露戦争
「満洲利権」はなぜ日本の手に渡ったか?…ロシアの極東征服、そして朝鮮の混乱が日本を日清・日露戦争へ
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
編集部ラジオ2026(33)鎌田東二先生の法華経講義解説-2
【10min名作探訪】大丈夫だよと励ましてくれる『法華経』…鎌田東二先生の講義
テンミニッツ・アカデミー編集部
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
「ホメロス叙事詩」を読むために(7)オデュッセウスの冒険
ホメロスの『オデュッセイア』が描く苦難と誘惑の冒険譚
納富信留