高齢化と財政危機~その解決策とは
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ドイツのシュレーダー改革は構造改革が経済成長を促した
高齢化と財政危機~その解決策とは(11)財政削減と経済成長戦略の有効性
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)

講義一覧を見る▼
債務累積問題の解消に向けて日本が取るべき、財政削減・経済成長戦略について、公立大学法人首都大学東京理事長の島田晴雄氏が解説する。財政削減の効果は限定的だが、成長戦略は人口減少と高齢化社会においてもやはり有効である。ただし、ドイツのシュレーダー改革のように徹底した構造改革が必要だ。(全24話中第11話)
時間:9分46秒
収録日:2017年10月5日
追加日:2017年11月25日
≪全文≫

●財政改革による歳出削減の効果は限定的だ


 歳出削減についても考えてみましょう。歳出の合理化や効率化、スリム化による歳出削減も、財政赤字累積問題の対応策としては大変重要です。歳出が膨張する傾向に対して、これまで政府は、繰り返し財政改革で歳出の削減ないし効率化を図ってきました。しかしその効果は限定的です。一生懸命無駄を削減しても、せいぜい数兆円が限度でしょう。

 歳出削減の柱は、社会保障制度改革による給付の削減もしくは効率化にこそあります。しかし、社会保障制度は国民生活の安定と、特に低所得者層に向けての一定の所得保障という本来の役割があるので、給付を削減していけば、その趣旨が損なわれてしまいかねません。したがって、それを損なわないようなシステムの総合改革が必要です。その総合改革については、また後で詳しくお話ししたいと思います。


●経済成長が政府債務の削減に果たす役割は、かなり限られている


 最後に、成長戦略です。経済成長は、税収の増加を通じて、政府債務の削減に大いに貢献します。したがって、財政危機のリスクを減らす上で極めて重要な戦略です。ただし、日本は長期的な人口減少と高齢化によって、労働供給制約が長期的にますます厳しくなることは目に見えています。そのため、経済成長が政府債務の削減に果たす役割は、かなり限られているというのが、専門家の間での通説です。

 具体的に言えば、労働供給制約のため、日本経済の長期的な潜在成長力は、多くの推計では、年率でせいぜい0.5~0.8パーセント程度です。生産性上昇率はサービス経済下ではあまり大きくなりませんが、最大限1.2~1.5パーセントを見込み、そこから毎年の人口減少分0.7パーセントを差し引くと、こうした数字が得られます。この程度の成長では債務の削減に、ほとんど貢献できません。


●アベノミクスの成長戦略は、いまだ効果が確認されていない


 安倍晋三政権は、アベノミクスの3本の矢の一つとして、成長戦略を位置づけており、2013年、2014年、2015年と3回にわたって、成長戦略を打ち出してきました。しかし、アベノミクスの成長戦略は、これまでのところ、経済成長を促進するめぼしい効果が確認されていません。

 そこで安倍政権は、2016年以降、アベノミクスの第二段として、「一億総活躍」と称した新しい三本の矢を打ち出しました。これまで十分に労働市場...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
経済社会と「隠れた価値」の行方(1)経済の中の価値
人間の幸福と「価値」…お金以外の「隠れた価値」をどう考えるか
吉川洋
政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(1)二人の思想家
モンテスキューとルソー…二人の思想家の共通の敵とは?
川出良枝
資産運用の思考法…経済や市場の動きをどう読むか
市場予測のポイント…短期・中期・長期の視点と歴史的洞察
養田功一郎
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(39)上野誠先生の万葉集講義と現代
【10min解説】万葉集に学ぶ「公務員倫理法」の大失敗?
テンミニッツ・アカデミー編集部
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(1)会ってみたプーチン…その実像
ロシア人の見る「ロシアの歴史」を知るとロシアがよくわかる・・・実際に会ってみたプーチンの印象とは?
上月豊久
「良き対話」とは?――哲学から考える(1)対話とは何か――会話・説教との違い
「良き対話」のヒントを哲学から考える…「対話」の大前提とは、そして「会話」「説教」「場回し」とは何が違うのか?
納富信留
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(1)心理的安全性が注目される理由
なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る
青島未佳
「満洲」から考える日本とアジア(9)アヘンの実態と満洲開発
満洲国の開発とアヘン問題…アヘンが資金源となったのは事実だが「同時代の世界」と比較せねば真実はつかめない
宮脇淳子
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
歴史から考える「ロシアの戦略」(3)ロシアの領土拡張と「2つの願望」
「侵略的行為」「領土拡張」へのソヴィエト側の論理とは
山添博史