『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方
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古典と歴史を学ぶ意義…考える力を鍛えるために必要なこと
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(7)「おいしい人生」のために
出口治明(立命館アジア太平洋大学(APU)学長特命補佐)
「古典と歴史に学ぶ」――大切なこととは知りながら、つい目の前のことにかまけて後回しになりがちだ。だが、歴史を「適者生存のケーススタディ」と捉えれば、どうだろうか。あるいは、古典を「考えるプロの書いた、考え方の型の宝庫」と知れば、それらを学び真似ていく重要性と優先順位が身に迫ってくるはずだ。(全7話中第7話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分38秒
収録日:2020年6月30日
追加日:2020年9月12日
≪全文≫

●過去をケーススタディする「歴史」の重要性


―― 先生が常日頃からご指摘になっていることに、古典と歴史に学ぶ重要性がありますね。

出口 世の中、何が起こるか、誰にも分からないからです。

―― 特に今のご時世ですと、ほんとに何がどうなるか分からないですね。

出口 半年前に新型コロナウイルスを予見した人がほぼいなかったように、将来何が起こるかは誰にも分からない。ダーウィンがいうように、何かが起こったときに、賢い人や強い人が生き残るわけではない。起こった何かに対して上手に適応した人だけが生き残る。これはアインシュタインの相対性理論と同じような自然界の摂理であり、原理です。

 だから、人間にとって大事なことは極論すれば適応力だけなのです。そして、適応するためには、たくさんのケースを知っていたほうが適応しやすい。

―― 確かにそういえば、ケースですね。

出口 例えば日本では、いつ南海トラフ地震が起こるか分からないといわれているでしょう。では、大地震が起こったときに、東日本大震災のことを勉強した人としなかった人とでは、どちらが助かりやすいと思われますか。

―― それはもう、言うまでもないことですよね。

出口 そうですよね。つまり歴史は何かといえば、過去のケーススタディなのです。ビスマルクは「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という名言を残しています。これはなにかというと、当時の人生は50年ほどですから、働いている期間はせいぜい20~30年です。その間に大震災が起こらなければ、そのことは学べないわけです。

―― そういうことですね。

出口 でも、歴史を学んだら、少なくとも文字が書かれてから5000年ぐらいはたっているわけですから、大震災の記憶も残っています。だから、ビスマルクのこの名言は、「時間軸」の話をしているわけです。

 歴史は、過去に起こったことをケーススタディとして記録したものです。役に立つかどうかは分からないけれど、悲しいことに教材は過去にしかない。だから、歴史はケーススタディであり、最適の教材です。いろいろなことが起こったときに、われわれの先祖がどのように適応したのかを知っていれば、ひょっとしたら何かが起こったときに役に立つかもしれない。


●残っているものは、歴史も本も全部素晴らしい


―― しかも、歴史というものはまさに人生を賭けた深いドラマがあり...

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