『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方
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『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(3)「年齢フリー」の社会にする
出口治明(立命館アジア太平洋大学(APU)学長特命補佐)
人間にとって一番怖いのは、分からないということだ。若いときは分からないことも多いが、人生を半分走ってきた60歳はその分、世の中のことが分かっているから、何事にも上手に対応できるだろうし、チャレンジもしやすい。そこには過去の実績も年齢も関係ない。今の能力、体力、意欲に応じて仕事を探すのが、世界に共通する仕事のあり方である。(全7話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分22秒
収録日:2020年6月30日
追加日:2020年8月15日
≪全文≫

●「還暦後は余生だ」といった捉え方は間違っている


―― 「余生」と言うと怒られてしまいますが、「還暦後を輝かせる」ということで、出口先生が著著『還暦からの底力』の中で「清水の舞台」のお話を大変印象深くお書きになっていらっしゃいます。

 「『還暦後は余生だ』といった捉え方も間違っています。マラソンでいえばまだ半分しか走っていない」「むしろ折り返してからのほうが、冒険やチャレンジはしやすいのです」と述べられていて、その例として挙げられたのが「清水の舞台から飛び降りる」ということです。

出口 はい。

―― 「清水寺の舞台の高さが約12メートルとわかれば、12メートルのロープを用意すれば降りられるでしょう。リスクの内容(12メートル)がわかれば、それはコスト(12メートルのロープ代)として計算できます。要するに、飛び降りる怖さは12メートルのロープ代に転化できるのです。」

 「人生を半分走ってきた60歳はその分、世の中のことがわかっていますから、仕事も生活もおそらく恋もきっと上手にできると思います」。このように、非常に勇気づけられる言葉を、先生はお書きになっておられます。

出口 わかればリスクがコストになるのですよ。

―― それが面白いですね。「リスクをコストにできる」ということですね。

出口 人間は、分からないことが一番怖いのです。新型コロナウイルスが怖いのは、正体がまだ十分分からなくて、ワクチンや薬がないからです。ワクチンも薬もない病気に、かかったらどうなるのだろう、と思うから怖いんですよね。でも、インフルエンザはそれほど怖くないでしょう。ワクチンも薬もあるからです。

 だから、人間にとって一番怖いのは、分からないことです。そして、若いときは分からないことが多い。でも、マラソンも半分走ったら、あとは折り返して同じ風景を走っていくわけです。いろいろなことが分かってきているから、チャレンジしやすいのです。


●団塊世代を生かす「年齢フリー」の社会へ


出口 昔の日本は製造業中心の世界でした。製造業は、基本、工場で働くので力や体力がいるイメージです。でも、今はサービス産業中心で、アイディア勝負の時代でしょう。ということは、体力のハンディがなくなっているのです。しかも、60歳はいろいろな経験を積んで賢くなっている。人間の脳は加齢とともに衰えていきますが、いろいろな経験...

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