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豊臣秀吉の驚愕の国内貿易…莫大な財力を生んだ経済政策

戦国武将の経済学(3)豊臣秀吉の経済政策

小和田哲男
静岡大学名誉教授
概要・テキスト
豊臣秀吉
聚楽第の建設、北野大茶会と、天下人になった後の豊臣秀吉には豪勢な話題がついて回る。また、そこへ到達するまでの戦いにも大掛かりな城攻めなどが多く、潤沢な経済力を裏打ちしている。いったい秀吉は、どのような方法を取ったのだろうか。(全4話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:07:22
収録日:2019/11/22
追加日:2020/03/08
≪全文≫

●豊臣秀吉の富の源泉は商人経由と金山銀山直轄から


―― 前回、豊臣秀吉の話が出ましたが、今回は秀吉自身がどういう経済の回し方をしたのか、うかがっていきたいと思います。

 秀吉というと、非常に大掛かりな城攻めを行っていて、北条攻めの時なども20万人を超えていますね。それだけの軍隊を動かすのは、相当経済的な背景がないと難しい話です。その経済力を賄うために、秀吉はどういう運営をしていたのでしょうか。

小和田 秀吉は、今おっしゃった城攻めなどにしても、例えば備中高松城の水攻めでは、大きな堤防を造っていますよね。

―― 大土木工事ですね。

小和田 それには相当お金がかかると思います。そういったお金をかけた戦いは秀吉から始まるような感じです。秀吉自身、若い頃、行商ですが商人の経験があったので、そういった感覚があったというのが一つ。それと、やはり織田信長を見ていたので、商人たちをうまく使えば、彼らから、言ってみれば「ピンハネ」するというほうが経済的には大きいぞ、という思いがあったと思います。

 さらに、ちょうど秀吉の時代から、いろいろな金山・銀山が稼働し始めます。そこへ「灰吹法」のような、新しい精錬技術も入ってきます。

―― 金を取り出すときの方法ですね。

小和田 これによってかなり金が豊富になったということと、もう一つ、私にいわせると、いわゆる先行投資に近いものがあるのです。つまり、大掛かりなお城を造るとなると、当然商人たちが集まってきます。城下町をつくるにあたっても、相当な職人や商人が集まるので、そこで町ができる。そういった町の人たちからお金を取る。そういったお金の稼ぎ方を、秀吉はかなり積極的にやっています。

―― 経済をつくりあげていくのに近いですね。


●88両の米を236両にする、秀吉流国内貿易


―― もう一つ、先生がご著書(『NHKさかのぼり日本史(7) 戦国 富を制する者が天下を制す』NHK出版)のなかで書かれていることで印象深かったのは、各地の蔵入地をうまく使って、国内貿易で儲けることです。

小和田 言ってみれば、「相場」をうまく使った商売のようなものです。つまり、比較的安いところでお米を買って、高く売れるところまで持って行って売る方法です。相場による利ざや稼ぎに近いのですが、こういうことをやったのが大きかったのではないでしょうか。

―― ご著書に書かれた例...
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