戦国武将の経済学
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
徳川家康はいかにして他家を圧倒する経済力を確立したか
戦国武将の経済学(4)徳川家康の経済政策
小和田哲男(静岡大学名誉教授/文学博士)
織田信長や豊臣秀吉が「攻め」の経済なら、家康は「守り」の経済を邁進する。豊臣家を滅ぼした戦略から、全国の富を中央に集約する幕藩体制と、金山銀山の直轄経営。徳川幕府260年という長期安定政権は、確固たる財政基盤なしにはあり得なかったのだ。(全4話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:7分25秒
収録日:2019年11月22日
追加日:2020年3月15日
≪全文≫

●徳川幕藩体制の財政基盤をつくった「地方経済」


―― その後、徳川家康が豊臣政権の足場を弱くしていくために行ったのは、もともとは豊臣秀吉の直轄していた金山・銀山を、関ヶ原の戦いの後、徳川のものにしていくということですね。

小和田 そうですね。特に金山奉行・銀山奉行として有名なのは大久保長安(大久保石見守長安)です。彼が、石見銀山や佐渡金山などを直轄することになりましたし、出雲金山もありました。そういったところから出てきた金銀が、幕藩体制の財政基盤をつくったということになります。

 徳川幕藩体制の初期の頃は大久保長安、それからあまり有名ではありませんが、代官頭で伊奈忠次という人がいました。彼らが、各地の河川を補修し、合わせて新田開発をしていきました。それによる収入も、かなり莫大になってきたということがあります。

 いわゆる「地方(じかた)経済」といいまして、それが相当大きな力を発揮するような流れになっています。


●朱印船貿易から鎖国へ。徳川オンリーワンの時代


―― 鎖国はもう少し後のことで、家康の頃は海外貿易の時代から鎖国に至る途中ということになると思いますが、当時は「朱印状」を発行して貿易をさせたりしました。

小和田 朱印船貿易ですね。

―― これは、意味的にはどういうことがあるのですか。

小和田 貿易自体は本来、誰がやってもいいのです。有名な例では、加藤清正が自分の船を出して南蛮貿易をやっていました。でも、そうすると彼らはお米だけの収入ではなく、海外貿易からの収入も得てしまいます。そういうことがあると、幕府にとっては脅威になりかねない。そういうことで、だんだん貿易を規制していきます。

 結局、幕府の老中の出した朱印状を持っていない船は貿易をしてはいけないということで、貿易の権利を幕府がだんだん独占していくことになります。

 よく江戸時代を「鎖国」という言い方をします。たしかに三代将軍・徳川家光の後からは「鎖国」になりますが、厳密にいうと、幕府による貿易独占です。つまり、諸大名たちが海外貿易のうまみから、だんだん足が遠のいていくというか、規制されていくことによって、幕府だけにその権限や権力が集中していくということです。これは、家康自身が経済をそういう形で治めたからで、このことが徳川幕藩体制が260年ほど結構な長期安定政権をつくった理由ではない...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
戦国大名の外交、その舞台裏(1)戦国大名という地域国家
戦国時代とは何か?意外と知らない戦国大名と国衆の関係
丸島和洋
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
戦国合戦の真実(1)兵の動員はこうして行なわれた
戦国時代の兵の動員とは?…無視できない農民の事情
中村彰彦

人気の講義ランキングTOP10
「進化」への誤解…本当は何か?(9)AI時代の人間と科学の関係
科学は嫌われる!? なぜ「物語」のほうが重要視されるのか
長谷川眞理子
和歌のレトリック~技法と鑑賞(1)枕詞:その1
ぬばたまの、あしひきの……不思議な「枕詞」の意味は?
渡部泰明
独裁の世界史~未来への提言編(1)国家の三つの要素
未来を洞察するために「独裁・共和政・民主政」の循環を学べ
本村凌二
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
市川團十郎の歴史…圧倒的才能の初代から六代目までの奮闘
堀口茉純
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(8)秀長の死の影響と秀吉政権の瓦解
「家康対奉行」の構図は真っ赤な嘘!? 秀吉政権瓦解の真相
黒田基樹
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(6)政治と経済をつなぐ公共哲学
どのような経済レジームを選ぶか…倫理資本主義の可能性
齋藤純一
逆境に対峙する哲学(10)遺産を交換する
ナイチンゲールの怒りから学ぶこと…逆境の中で考えるとは
津崎良典
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
徳と仏教の人生論(5)陰陽と東洋思想を知ることの意味
『孟子』に学ぶ、リーダーが過酷な境遇に追い込まれる意味
田口佳史