昨今の軍事情勢と意思決定プロセスの重要性
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
中国海軍と海上自衛隊の意思決定プロセスの違い
昨今の軍事情勢と意思決定プロセスの重要性
山下万喜(元海上自衛隊自衛艦隊司令官)
アメリカ以外で優れた意思決定プロセスを採っている国はどこか。中国海軍の現状はどう判断できるか。意思決定プロセスの研究は、今後の海上自衛隊に何をもたらすか。海上自衛隊幹部学校長・山下万喜氏が、昨今の軍事情勢と意思決定プロセスの重要性について語る。(インタビュー第3話目)
時間:7分33秒
収録日:2015年6月15日
追加日:2015年10月29日
カテゴリー:
≪全文≫

●アメリカ海軍と他国海軍の違いとは


―― リムパック(環太平洋合同演習)などで合同訓練をやっていると、米海軍以外で、他の軍隊はどこが優れていますか。

山下 近い考え方の中で言えば──というのは、欧米の海軍は基本的にアメリカの考え方に近いものを持っているからですが──例えばイギリスのロイヤル・ネイビーとユナイテッド・ステイツのネイビーでは、アメリカの意思決定プロセスに似たものを英国海軍がやっているのかというと、意外とそうでもないと思います。

 アメリカと一緒に演習をやっている中で言えば、近い考えを持っているのは、特に最近、力をつけてきているオーストラリアやカナダです。アメリカの影響力の強いところには、やはりこの考え方に従ったものがあるなとは思います。

 もっとも、ロイヤル・ネイビーとは演習の機会がまだそれほどないということはあります。ただ、一緒にものをやろうとするときに、彼らがどんな意思決定プロセスの中で動いているのかということは、われわれとしてももう少し勉強する必要があるかという感じがしています。日本の環境に近い英国という世界、すなわち周りにいろいろな欧州の国がある中での意思決定のプロセスと、先ほどのアメリカのように、周りからの直接的な脅威はないけれど、いろいろな多民族からなる国家で多様な価値観の中で行っていく意思決定プロセスとでは、若干違うような気がします。

―― 違うのですね。アメリカの影響下のカナダやオーストラリアの方が、ノウハウが移転しているのですね。中国海軍はどういったレベルなのですか。

山下 先程の話ではないですが、中国はおそらく「こうしろ」というものがあるときに動く部分と、何もないときにただ動いているという部分とが混在しているのではないかと思います。まだまだ成長過程の海軍だろうということです。

―― 統制が取れていない。

山下 そうですね。中国海軍は陸軍から派生しながらも、「海洋」ということを最近やっと言い出しました。そのため、考え方のベースはやはり陸軍に近いものですし、そもそも「陸」というものの考え方は「つながっていること」が基本です。ですから海の上のように、何十マイル何百マイル離れて意思決定するという、極めて不自由な世界で意思決定をしていく場合のものの考え方とは違うのだろうという感じがしています。先程言ったように、つながっているとき...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
プーチンのロシア―その思想と戦略―(1)プーチン政治の特徴
ロシア皇帝のように悪者を叱る人…プーチンの思想と歴史観
山添博史
日本を復活させる国家戦略(1)戦後の復興戦略と日本経済の凋落
「所得倍増」はなぜ成功したか…日本経済の回復のヒント
島田晴雄
紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか(1)「戦争の世紀」から再び戦争の時代へ
再び戦争の時代へ――私たちは何を考え、どう動くべきか
小原雅博
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(1)国守・大伴家持と地方社会の日常
『万葉集』でわかる奈良時代の貴族と地方豪族の関係と日常…歌人・大伴家持の歌に秘められた国守時代の苦労話
上野誠
編集部ラジオ2026(36)宮脇淳子先生「満洲史」講義の要点
【10min解説】「満洲史」はタブー?…そこから見えてくる教訓とは?
テンミニッツ・アカデミー編集部
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
万葉集の秘密~日本文化と中国文化(1)万葉集の歌と中国の影響
『万葉集』はいかなる歌集か…日本のルーツと中国の影響
上野誠
営業の勝敗、キリンの教訓(1)やる気のない社員になる理由
なぜ「やる気のある社員」が日本では6%しかいないのか?
田村潤
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男