10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
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ラオスの経済成長はメコン川にあり

メコン川の恵みとラオス経済(1)ラオスの地理と歴史

島田晴雄
公立大学法人首都大学東京 理事長
情報・テキスト
ラオス人民民主共和国
出典:外務省ホームページ (http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/laos/L)より
東南アジアの小国ラオスには、まだまだ知られざる発展の可能性がある。メコン川の豊かな水をたたえるラオスは、1人当たりの年間所得が1700ドルほどでありながら、年率8パーセントの成長を続けている。そこにはどんな可能性と課題があるか。昨年(2015年)11月、ラオスを訪れた千葉商科大学学長・島田晴雄氏が、その現状を伝える連続講話。(全4話中第1話目)
時間:14:11
収録日:2016/01/18
追加日:2016/03/28
≪全文≫

●若手の事業家とラオスへ訪問


 今日は、皆さんにラオスの訪問記をお話したいと思います。私どもは、若手の事業家の皆さんとグループを組んで、2015年の11月にラオスを訪ねました。若手事業家の中から、「ラオスは東南アジアで今、一番発展の遅い国なので、かえって面白いのではないか。これからいろいろな可能性が出てくるのではないか」という声が出たため、行こうということになりました。

 ミャンマーは現在、ものすごく過熱しています。ここは、最後の楽園で、非常に可能性のあるところと言われています。ただ「最後」といった場合、やや過熱し過ぎてしまっているとも思います。タイはもう大国ですし、ベトナムはいろいろ問題関心を持って以前から見ています。そんな中、ラオスは確かに普通の人でもあまり行かないので、行ってみましょうということで、行きました。

 さて、いざ行くとなると、やはりツテがなければラオスの中身は分かりません。そこで少し探しましたら、JICAの専門家で鈴木基義先生にたどり着きました。この方はアフリカでいろいろと取り組みをされてきた経験を持ち、特にこの四半世紀は、ラオスにベッタリなのです。ご自分でも、「ラオスの首相の終身顧問だ」と言っています。確かに、ラオスの政府のど真ん中に、自分の部屋を持って仕事をしているのですね。この人なら、様々なことを知っているでしょうし、鈴木先生の本もいろいろと読みましたら面白かったので、お願いすることにしました。

 もう1人、なかなか良い人がいました。新潟の国際大学で教えていた若手の宮本弘暁先生です。実は、慶應義塾大学の私のゼミの出身で、現在は東京大学公共政策大学院の先生をしています。大変優秀な人で、人柄も良いのですね。新潟の国際大学でいろいろな人にずっと教えていたのですが、あそこにはずいぶん、東南アジアの政府から若手官僚が勉強に来ているのですね。白石隆先生が、六本木の政策研究大学院大学で教えられており、あそこがおそらく日本では一番レベルが高いと言われていますが、国際大学はその次なのでしょう。大変いろいろな情報が集まるようです。宮本先生は人柄が良いので、私たちが行くなら「教え子の皆さんが対応します」と言って、いろいろと骨を折ってくれました。そうして出かけることになったのです。


●内陸国で基本は農林業だが、世界の中でも成長率の高い国の一つ


 ここで、ラオスについて一言二言、一般的なことを申し上げておきます。ラオスは、東南アジアのど真ん中にあり、「ランド・ロックド・カントリー」といわれています。直訳すると「陸で鍵をかけられてしまった国」となります。要するに内陸国で、海が全くないのです。ラオスの北は中国の雲南省です。西がタイで、これも大国です。東側はベトナムです。南はカンボジア。ラオスは、そういうところに囲まれている小国です。細長い国ですね。比較的、山が多い国です。

 面積は日本の約6割ぐらいです。民族はラオ族が主ですが、多民族国家で49もの民族がいるので、結構難しい問題を生んでいます。基本的には農林業でやってきた国ですが、サービス業もなるべく発展させようとしており、また工業の発展がまだ遅れているので、工業も発展させたいということなのですね。国際機関の統計で、ラオスの1人当たりの国民所得は、米ドルにして大体1700ドルくらいです。

 ところがこの10年ぐらい、ラオスは年率8パーセントぐらいの経済成長を続けており、世界の中でも成長率の高い国の一つなのです。非常に低水準...
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