中国の夢~中華から語る「普遍」
この講義シリーズの第1話は
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
国家利益をいかに普遍化して語るか、それが問題だ
中国の夢~中華から語る「普遍」(2)方法としての中国
中島隆博(東京大学東洋文化研究所教授)
「中国の夢」は実際何を意味しているか。ある者は、中国国家の夢に過ぎないという。またある者は、米中間のヘゲモニー闘争の一部だという。さらにある者は、竹内好にならった「近代化」の方法を示すものだという。東京大学東洋文化研究所教授・中島隆博氏が、「中国の夢」という言葉に込められた多様な側面を解き明かしていく。(全3話中第2話)
時間:12分51秒
収録日:2016年1月21日
追加日:2016年4月7日
≪全文≫

●「中国の夢」は誤解を生みやすい


 中国の夢が中華民族を主体とする夢であるとすると、いろいろ「誤解」が生じる可能性があります。これに関して、王義桅(オウギキ)という人が、こんなことを言っています。「中国の夢は、国家としての中国の夢に過ぎないのではないかという誤解があるが、そうではない」。あるいは、「中国の夢は、漢や唐時代の繁栄を回復して、朝貢システムを復活させようとするような復興の夢ではないのか(という誤解もある)」。当然、周辺国からはそういう疑問が出てきますね。それについても「そうではない」と言っています。

 なぜかと言うと、彼は次のような区別をするからです。英語で「中国の夢」を表現しようとすると、いくつかあります。一つは、チャイニーズ・ドリームですね。中国人の夢です。それから、チャイナズ・ドリーム、国家としての中国の夢です。もう一つは、文化的な場所としての中華を生かして、中華の夢。これは、中国語の読みを用いてチョンホア・ドリームと言われます。

 彼に言わせると、中国の夢はこの三つの夢が三位一体となっているものなのだ、ということです。三位一体になっている夢なので、例えばその一部を強調して、国家としての中国の夢に過ぎないのではないかという言い方をする「誤解」もあるかもしれない。あるいは、文化的な中華という、非常に帝国的な夢だという「誤解」もあるかもしれない。しかし、いや、でもそうではないだ。これは渾然一体をなしているのだ。こういうエクスキューズをします。


●夢を語るのは、現状への憂患認識があるからだ


 ですがこれでは、おそらく誤解は解けないと思います。むしろ私は、「誤解」が深まってしまうのではないのかという気がしています。そもそも、どうしてこんなことを言わなければいけないのか。何のために、中国の夢を見ようとするのかということが問題です。

 第1話で読み上げたように、二つの100周年、つまり中国共産党100周年(2021年)と新中国成立100周年(2045年)という二つの100周年までは、少なくとも共産党の統治を継続したい。こういう意図があることは確かだろうと思います。ここに持ってきた、この陳光興という香港の先生は、『中国の夢を脱構築する』というタイトルの本を書いていて、これがなかなかうがった見方をしているところがあって面白い。

 この本によ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
『「甘え」の構造』への誤解…甘えはダメなものなのか?
與那覇潤
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
「満洲」から考える日本とアジア(10)戦後の「五族」の運命
「五族協和」の真実と満洲国崩壊後の五族の悲劇…満洲人、朝鮮人、露人、蒙古人、漢人らの戦後悲史を直視せよ
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
『源氏物語』を味わう(3)形容詞からの楽しみ方
美しい形容詞の使い分け…『源氏物語』の表現を味わう
林望
本番に向けた「心と身体の整え方」(1)ディテールにこだわる
トップアスリートが実践する「自分の高め方」とは…まず集中のスイッチを入れる方法は?
為末大
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(4)認知症と共生社会の実現に向けた対策
その物忘れ、認知症かも…加齢による物忘れとの違いと一番大事なこと
小川純人
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
大国主神に学ぶ日本人の生き方(8)求婚の歌と縁結びの力
大国主神が詠んだ歌…『古事記』の歌の意味と縁結びの力
鎌田東二
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博