水ビジネスの動向
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技術の優位がビジネスの優位につながるとは限らない?
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水が使えるかは雨量ではなくインフラの整備で決まる
水ビジネスの動向(1)水不足は本当か
科学と技術
沖大幹(東京大学大学院工学系研究科 教授)
人はなぜ水が足りないような場所にわざわざ住むのか。「水不足=乾燥している」は正しいのか。食べ物を通じて、日本はどの程度の水を海外から買っているのか。あまりにも身近で、それでいて多くの謎を持つ水をめぐる知の最前線を、東京大学生産技術研究所教授・沖大幹氏が大いに語る。(2015年5月25日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「水ビジネスとグローバルリスクマネジメント」より、全5話中第1話目)
時間:16分28秒
収録日:2015年5月25日
追加日:2016年5月5日
≪全文≫

●水ビジネスはもうからない?


沖 皆さま、改めまして、こんばんは。沖と申します。よろしくお願いいたします。

 では、水ビジネスの話です。皆さんはビジネス寄りの方が多いと思いますが、水ビジネスという言葉をどこかで聞いたことがあるなという方は、どのくらいいらっしゃいますか。あ、ほとんどないですか。少しはいらっしゃる。

 水関係の業界もずっとマイナーだったわけですが、2006、7年ぐらいから経産省を主体として、海外の水ビジネスを頑張ろうということになり、国内で協議会もできました。また、日本経済新聞に週1回ぐらい記事が掲載されたりすると、経済界の皆さんも何かあるのかなと思ってもらえる。そういう状況になってきました。

 ただし、それほどうまくいかないものです。そもそも本当にもうかる話というのは、絶対に人に言わないはずです。ですから、わざわざ日経に載せて、国の会議をつくり、経団連で委員会までやってやるのは、もうからないからやっていると思った方がいいのではないか。そのように私が思っている話を今日はします。ただ、そうした話の中に、きっと皆さんには気付いてもらえる、ビジネスの何らかの種があるのではないかという気はしますので、よろしくお願いいたします。


●水は不可欠なのに足りない、それは人が多すぎるから


沖 まず、世界で水が足りない人がたくさんいて困っているという話を聞いたことある方は、どのくらいいらっしゃいますか。そんな問題は知らないという方はいらっしゃいますか。ああ、さすがにそれはないですね。では、水で困っている人はたくさんいるのですが、なぜ水で困るかを、一言で言うとどういうことでしょうか。

参加者 やはり生きてくために必要で、産業用水がいる。

沖 水は不可欠であり、不可欠なのに足りない人がいる。ではなぜ足りない人が出てくるのでしょうか。

参加者 たくさんいるからではないでしょうか。

沖 たくさん必要だから、足りない人が出てくる。ではなぜ、水が足りない場所にわざわざ住むのでしょうか。

参加者 本当ですね。やはり運んでくることができれば、他に生産もできるから。

沖 そうなのです。水は確かに不可欠なのですが、本当に足りないようなところには、人なんか住まないのです。水が足りないのに人が住んでいるのは、一つは都会です。都会は、水がなくても、環境が悪くても...

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