●決断が迫られる水道管の老朽化への対応
―― 先生、まことにありがとうございます。質問の切り出しに、最初に1個だけ私からお訊きしたいのですけれど、先ほど(第6話で)水のインフラの耐用年数が40年とありました。
沖 水道管のことですね。
―― はい、水道管ですね。それが(日本全体の)もう20パーセントになっているということなのですが、水道管の敷設などはそれこそ明治から始まり、ずっと長い歴史をかけてやってきていると思います。耐用年数のピークを迎えるのはだいたいいつぐらいになるのですか。
沖 そろそろですね。
―― そろそろなのですか。
沖 はい。
―― (では水のインフラとして)いちばん増えたのはいつぐらいなのですか。
沖 高度成長期に増えたのです。なので、1960年代から増えて、一旦オイルショックがあって、その後、都市に人口がガーッと流入したあたりで(さらに)増やしていったので、(それが)ちょうど1980年だとすると、もうそろそろピークを迎えたかなという感じです。
―― なるほど。それに比して、予算的にはかなり厳しくなっているということはあるのでしょうか。
沖 予算的に厳しいというか、ない袖は振れないので、先延ばしにするのです。厳密にいうと、40年の耐用年数でも、もちろん場合によって50年、60年使えるわけなので、それは皆さんだましだましやっているのです。ただし、それではもう最後は壊れたら直すという世の中になるのですけれど、それは寂しいですよ。
アメリカの市町村、ミュニシパリティ(地方自治体)はわりとそうなっているところが多くて、壊れたら直すのです。つまり、事前に計画的に更新していくのではなくて、壊れるまで使うしかない状況なのです。
そうすると、今日皆さん、朝(からこの会場に)来ていますけれど、それ(インフラの更新)がちゃんと計画的にできなかったら「あれ、どうしたの?」「いや、今日、朝、水道止まってね。ちょっとトイレも行けないし、(ここに)来られなかった」というようなことが日常茶飯事になる世の中ということです。それは寂しいですね。寂しいけれど、(そうなるとしたら、そのときは)そのほうがお金(的に)は得だし、いいのではないかと思ったかもしれません。それは社会の決断です。
―― なるほど。それが迫られているタイミングだということですね。ありがとうございます。皆さん、...