10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
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子どもの近視を予防するには?

目の健康と医療・最前線(2)近視の進行予防

大鹿哲郎
筑波大学眼科教授
情報・テキスト
スマートフォンや携帯ゲーム機の普及で、かつてないスピードで近視の子どもが増えているという。わが子の近視予防は、日本のみならず多くの国の親にとって大切な問題である。最新の研究成果では、「外で遊ぶ」ことが近視予防として効果的とされている。筑波大学眼科教授・大鹿哲郎氏が、詳しく解説した。(全5話中第2話)
時間:08:53
収録日:2017/02/25
追加日:2017/03/12
スマートフォンや携帯ゲーム機の普及で、かつてないスピードで近視の子どもが増えているという。わが子の近視予防は、日本のみならず多くの国の親にとって大切な問題である。最新の研究成果では、「外で遊ぶ」ことが近視予防として効果的とされている。筑波大学眼科教授・大鹿哲郎氏が、詳しく解説した。(全5話中第2話)
時間:08:53
収録日:2017/02/25
追加日:2017/03/12
≪全文≫
●子どもの近視が急増している

 近視の進行予防についてお話します。最近のトレンド(傾向)ですが、人種にかかわらず世界中で子どもの近視が増えています。中でもアジアに多く、特に中国・日本・台湾を含んだ東アジアでは、非常な勢いで近視の子どもが増えています。

 もともと近視には、遺伝的な素因と環境的な要因の二つがあるといわれており、どちらの方が影響が大きいのかという議論があります。もちろん遺伝的な素因は大きく、そのため親が近視であれば、子どもも近視になりやすいということはありますが、最近の研究では、環境要因が非常に大きく作用していることが分かってきました。

 最近よくいわれるのは、昔に比べて「近くの作業」が増えていることです。スマホやコンピュータ、携帯ゲーム機など、目の近くで、しかも長時間行う作業が増えていることが、近視増加の一つの要因だといわれています。ただ近視と近くの作業の関係についてはいろいろな研究があり、必ずしも相関関係があるわけではありません。中には、近くの作業と近視にはあまり関係がないという報告もあり、そのあたりを判断するのはなかなか難しいことです。


●屋外で太陽光を浴びるほど、近視は進行しにくい

 そういったいろいろな研究の中で、最近エビデンスとして確立しつつあるのは、屋外の活動と近視は逆の相関があるということです。つまり、外で遊ぶ時間が多い、屋外活動が多い子どもほど、近視になりにくいということです。これがいろいろな研究で報告されています。

 例えば、2015年の中国の研究ですが、一つのグループに1日40分、屋外で遊ぶ時間を追加すると、そのグループでは近視の進行が遅かったという研究結果が報告されました。また2016年のイギリスの研究(疫学研究)では、何十年かさかのぼって、太陽光(特に紫外線B波)に長い時間当たった人たちの群が、近視になりづらかったという報告も出ています。

 従来、こうした研究報告では、屋外で遊ぶということは、それだけ本を読まない、勉強しないことになるため、そうしたことが視力に影響しているといわれていました。しかし、最近の研究では、この部分もきちんとコントロールしており、同じ程度の教育を受け、かつ屋外活動が多い場合と少ない場合に設定されています。その結果として、やはり屋外活動が多い方が近視の進行が遅い。これは、おそらく太陽光の影響で、太陽光をより浴びている人たちの群の方が、近視が進行しにくいということです。この説は、だいたい確立したと思います。

 それ以外の要因はどうでしょうか。あまり強いエビデンスはありませんが、われわれは小さい頃から母親に「あまり近くで本を読まない」とか「姿勢を正しなさい」といわれます。これは案外と合っているのではないかということです。というのも、あまり近くで長い間作業すれば、それだけ目に負担がかかりますし、目の筋肉がずっと緊張した状態になるからです。その結果、近視になりやすいということはあると思います。

 また姿勢についても、やはり寝転がってみると、見る物は近くになりがちです。きちんと椅子に座って、正しい姿勢で読む方がいいのではないかと思います。もう一つ、「暗いところで読むな」ともいわれます。理論的には、暗さと近視の進行は関係ないと思いますが、暗いと見づらいので、物を近くに寄せがちです。結果的にそれは良くないことになるので、母親に言われたことはやはり間違ってはいないでしょう。


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