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技術的発展でさまざまな困難を克服した海中調査

若狭湾海中調査と潜水艦曼荼羅(2)技術的発展とその利用

浦環
東京大学名誉教授/株式会社ディープ・リッジ・テク代表取締役
概要・テキスト
海中調査にはさまざまな困難が伴い、その困難を克服する技術的発展が進んでいる。浦環氏が、海中の潜水艦を探すために用いられる3種類の道具について説明し、それを用いて若狭湾でなされた調査の結果を発表する。(全10話中第2話)
時間:07:33
収録日:2019/03/14
追加日:2020/02/20
タグ:
≪全文≫

●海中調査を可能とするさまざまな技術的発展


 どうして海中調査ができるようになったのかという点が技術的に重要です。私のこのレクチャーでお話ししているAUVや音響調査技術などがここ20年、格段に進歩して、こういうことができるようになりました。

 他の講義を見れば分かりますが、水中で調査をする道具は大きく3つ存在します。一つ目は無人の遠隔操縦機、ROVといわれるもの、二つ目は有人潜水船、これは中国がつくった蛟龍(ジャオロン)という7,000メートル潜れるもので、3人乗りです、三つ目は全自動のケーブルの付いていないAUV、自律型海中ロボット、この3つが深い海の調査で役に立ちます。

 例えば先ほどのヨークタウンは5,000メートルです。ビスマルクも4,700メートルと、非常に深い海で作業をします。

 こうした場所で潜水艦を見つけるにはいろいろ工夫が必要で、こういった道具を使わないと難しいのです。


●深さに比例して難しくなる海中調査


 例えばわれわれは深さ2,000メートルや1,000メートルに位置する海底熱水鉱床などの調査を行っています。普通は船の上からマルチビームソナーというものを出して、海底のでこぼこ、つまり海底の形を調べて、火山の有無や船の有無を調べます。これはどのくらい細かく見えるでしょうか。

 陸上であればGoogle Earthなどの衛星写真で、走っている自動車や、歩いている人でさえ見ることができます。しかし、海の中ではそれができないので、このようなソナーを用います。

 非常に高性能のソナーだと深さのおおよそ1パーセントの水平分解能があります。つまり、1,000メートルならば10メートルに1個点を取ることができます。言い換えれば、10メートルより小さいものは分かりません。すると、1,000メートルだと10メートルに1個の点ですが、100メートルであれば1メートルに1個の点を取ることができます。

 例えば、われわれが調査したユーボート、呂500の長さは80メートルぐらいですから、100メートルの深さで1メートルのレゾリューション(解像度)で分かれば、70メートルで70個の点が取れて、形を捉えることができます。それが浅いところの利点です。浅いところはそのように探せます。

 しかし、深いと...
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