10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
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日本の選挙は過半数でなく3分の2がポイントとなる

選挙結果の読み方

曽根泰教
慶應義塾大学大学院教授(政策・メディア研究科)
情報・テキスト
今回の選挙は「現状が肯定された選挙」だと曽根泰教氏は語る。それは果たしてどのような意味か。投票前に、曽根氏が選挙結果の読み方について語る。
時間:14:48
収録日:2014/12/11
追加日:2014/12/12
今回の選挙は「現状が肯定された選挙」だと曽根泰教氏は語る。それは果たしてどのような意味か。投票前に、曽根氏が選挙結果の読み方について語る。
時間:14:48
収録日:2014/12/11
追加日:2014/12/12
≪全文≫

●自民党の議席最大化戦略が見事に当たった選挙


 それでは、選挙についてお話しします。今回は、選挙結果をどう読むかという話です。

 今回の選挙は、総じて関心が薄く、投票率も前回ほどではなさそうです。これをどのような選挙だと読んだらよいのか。一つは、以前のお話で示したように、選挙戦術上、野党の準備不足を見越して解散時期を決めたという意味で、自公、特に自民党の議席の最大化という戦略が見事に当たった選挙だと言えるでしょう。

 その選挙戦術が成功した後ろ側に何があるのでしょうか。野党は準備不足で、いつでも政権を取れる準備ができていませんでした。候補者調整ができておらず、野党乱立状態で、前々回、政権交代があった際に共産党は候補者を出さなかったところがありましたが、今回は小選挙区にもほとんど全員候補者を立てています。それから、第三極を狙って存在感を示そうとする政党には離合集散がありました。結果として、今回、民主党の増加はそれほどでもないだろうと思います。現状維持か少し多い程度でしょう。維新の党と次世代の党、生活の党は極めて厳しい状態で、生き残りが難しくなってきました。

 候補者調整ができたところを見ても、候補者を比較すると、総じて自民党の現職が強いようです。以前から、小選挙区は風が吹くと揺れ幅が大きいと主張する方がいますが、もちろんその側面があると同時に、小選挙区は現職が強いとも言えます。今回は、小選挙区の特徴のうち、再選確率が高い面が現れそうだと見たらよいのではないかと思います。


●3分の2を確保したら、突き崩しは難しくなる


 では、選挙の結果をどのように読んだらよいでしょうか。まず前提として、衆議院の過半数を取った党は首相を指名することができ、その首相が内閣をつくり、政権を握ることができます。これが日本の衆議院選挙の目標、目的で、アメリカの下院も同様です。しかし実は、これは政権運営の必要条件であって、十分条件ではありません。政権を握ることができても、政権運営に支障を起こさないようにするためには、参議院の過半数も握る必要があります。

 私もかつて、日本の政治は、衆議院で単独もしくは連立で過半数を握ることが条件だと教科書に書いてきました。しかし、それができても、参議院で多数を握らないと、法案は通りません。野党に特例公債などを人質に取られて、“解散をしろ”“首相は退陣しろ”といった揺さぶりを掛けられます。現在は自公と民主の間で休戦協定が結ばれていますが、いつまでも続くとは限りません。つまり、参議院の役割の再定義がまだなされていないのです。これは憲法に関わるような問題です。

 そこで私は、安倍晋三首相の衆議院解散は、衆議院で自公が3分の2を占めていることを放棄することなのかどうかに関心を持っています。つまり、単純に衆議院で過半数を取っただけなら、参議院から崩されていくのが今までの例なのです。参議院の与党過半数割れによって、野党が政権を揺さぶります。民主党も自民党もこれを実行しました。ただ今回、もし自民党が単独もしくは自公で3分の2を確保したら、野党が参議院から突き崩すのは非常に難しくなります。そうすると次は、3分の2を占めたわけですから、当然、憲法改正を念頭に置くことが考えられます。

 日本の選挙は、衆議院の過半数を取っただけでは十分でないのです。3分の2を取ることによって、参議院が多数を取れなくても、一応法案は通せますから、この数字を一つのチェックポイントとして見る必要があると...
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