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日本のジェンダーギャップは世界的に大きい…要因は2つ

日本の財政政策の効果を評価する(4)日本のジェンダーギャップの解消

宮本弘曉
一橋大学経済研究所教授
概要・テキスト
財政政策の効果に影響をもたらすのは、社会の高齢化だけではない。実は、財政政策がジェンダー平等にも影響を与えることが、最近のデータ分析から分かってきたのだ。まずは、世界の各国と比較してもジェンダーギャップが大きい日本の現状をデータで確認し、ギャップが生まれる原因を考える。(全6話中第4話)
時間:09:17
収録日:2023/12/14
追加日:2024/03/28
≪全文≫

●世界に遅れをとる日本のジェンダー平等


 ここまで、高齢化が進むと財政政策が効きづらくなるというお話をさせていただきました。またどうすれば、この財政政策の有効性が高齢国家においても高まるのかという話をしてきたわけですが、実は、「財政政策はジェンダー平等にも影響を与える」ということが、最近のデータ分析から分かってきております。

 今回は、財政政策がジェンダー平等にどういった影響を与えるのかについて、皆さんと一緒に考えていきたいと思っております。

 まず、財政政策とジェンダーの話をする前に、日本のジェンダー平等の現状について少しデータを見ていきたいと思っております。

 はじめに、ジェンダー平等は「女性のエンパワーメント」というような言い方をするのですが、世界的な課題になっております。

 国際通貨基金(IMF)は、女性の労働参加は経済成長、それから経済の安定性、または強靭性を向上させるといっております。また、女性の労働参加は、女性だけではなく男性にもメリットをもたらすものだということをIMFは主張しております。

 最近は、女性のエンパワーメントが「マクロクリティカル」だといわれます。

 マクロクリティカルはなかなか耳慣れない言葉かと思いますが、「マクロ経済に非常に大きなインパクトを与える」ということです。今、申し上げましたように、経済成長であったり、経済の安定性であったり、そういったところに影響を与えるというのがまさに、女性のエンパワーメントがマクロクリティカルだという話になります。

 男性と女性のジェンダーギャップは縮まってきてはいるものの、依然としてまだまだ格差が残っているのが現状です。

 ジェンダーギャップを見る際に、「ジェンダーギャップ指数」と呼ばれるものがあります。これは世界経済フォーラムが毎年出している数字ですが、政治・経済・教育・健康の四つの分野について、男性と女性のギャップがどのくらいあるのかを示しています。

 2023年のジェンダーギャップ指数を見ますと、日本は調査対象146カ国中125位です。これは過去最低の順位になっています。

 ちなみに1位がアイスランド、2位がノルウェー、3位がフィンランドで、北欧が上位を占めています。日本のこの順位(125位)ですけれど、G7の中でも最下位となっております。

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