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カーボンニュートラル社会に必要な「発想の逆転」とは

日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(2)電力の需給バランス

岡本浩
東京電力パワーグリッド株式会社取締役副社長執行役員最高技術責任者/スマートレジリエンスネットワーク代表幹事
概要・テキスト
これからの社会では、電力化の進展によるモビリティやロボットの「カンブリア爆発」によって、電力の消費量も増えていくことも予想される。そのような社会を支える電力をいかにサステナブルに供給するかが重要な課題となるが、現在の日本ではどのように電力供給がなされているのか。足りなくても余ってもいけないという電力供給の難しさから、カーボンニュートラル社会に必要な発想の転換を解説する。(全9話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
≪全文≫

●火力、揚水、太陽光による電力供給の現状


―― ただ、そういう社会になってくると、当然電力の使用量も増えてくることが考えられますし、社会全体としてもカーボンニュートラルという流れを目指していきます。こういう社会になったときにどういう電力であるべきかというところも、お話をお聞きできればと思います。

 まずは現状の分析からというところですね。

岡本 お客様に大変ご心配をおかけしているのが、ここ数年の状況だと思っております。2021年頃から顕在化しているのですけれど、電気が足りないので節電のお願いだったり、省エネルギーをお願いしたりということが、割と日常化してしまったということがまずございます。

 絵を見ていただいているのですけれど、左にあるグラフが冬の1日の電気の使われ方になっています。右に同じスケールで描いていますけれど、これは春のゴールデンウィークの電気の使われ方で、冬と春ではずいぶん違うというのは、まず見ていただけると思います。

 冬のほうを見ていただくと、現状、弊社のエリアだとほとんど火力発電で電気を作っています。あと、揚水発電という水色と、太陽光発電という黄色の部分が見えると思うのですけれど、これは冬で雪が降ってしまった1日です。雪が降るとお客様が電気をすごく使われますけれど、太陽光はほとんど発電できないという、非常にわれわれにとって厳しい状況になります。

 (つまり)左の絵の日は非常に電力需給が厳しかったのですけれど、なんとか揚水発電で頑張って、持ちこたえたという1日なのです。揚水発電は、われわれの中の大きなバッテリーだと思っていただくと分かりやすいですね。

―― よく高速道路などを走っていると見ることがありますけれど、山の上からパイプが落ちていて。

岡本 そうですね。

―― あれは夜の間に水を上げておいて、という仕組みになるのですか。

岡本 そうです。揚水発電の場合は上げ下げができるようになっていて、一般的なものはただ水を落として発電するわけですけれど、逆に下に貯水池があって、そこから水をくみ上げることもできて、その場合、電気を使って水を上の池にくみ上げておいて、電気がほしいというときには、水を上から下に落として発電するのです。

 土日は皆さんあまり電気をお使いにならないし、深夜は割と電気をお...
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