編集長が語る!講義の見どころ
「共産党独裁」を世界史的に分析してみると……?【テンミニッツTV】
2021/04/27
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
4月16日に行われた菅総理とバイデン大統領の首脳会談では、中華人民共和国を名指しして「ルールに基づく国際秩序に合致しない中国の行動について懸念を共有した」と批判する共同声明が出されました。また、五十数年ぶりに「台湾問題」について言及されたことも大いに話題になりました。
考えてみれば、中華人民共和国はソ連の伝統を受け継いだ、共産党支配の国です。国際社会からの懸念が高まる中国の行動を考えるときには、レーニンやスターリンなど、ロシア革命の指導者の行動原理を学んでおくことも必要ではないでしょうか。
本日は、本村凌二先生(東京大学名誉教授)の「独裁の世界史」シリーズより、「ソ連編」を紹介します。
とりわけスターリンの政治では、悪名高い「大粛清」や「飢餓輸出(人民の食料までも輸出に回して工業化資金に充てたため、大量の餓死者が発生したこと)」のため、一説には数百万から一千万人が命を落としたといわれます。なぜロシアで革命が起きたのか。そして、かくも悲惨な共産党支配が続くことになったのか。その点を、さまざまな歴史比較で解き明かしていきます。
◆本村凌二:独裁の世界史~ソ連編(全4話)
(1)ロシア革命とレーニン
革命運動で兄を失ったレーニンの情念と精神的強さ
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3878&referer=push_mm_rcm1
よく知られているように、マルクスは、資本主義の矛盾が極まったところで革命が起きると考えていました。この考えからすれば、ロシアではなく、イギリスなど当時の資本主義のトップランナーから革命が起きるはずでした。
しかし、イギリスやフランス、ドイツといった国では、権力側がそれなりに社会主義的な政策をどんどん取り入れていきます。典型例は、本村先生の講義でも紹介したビスマルクです。また、資本主義国の最先端を走っていたイギリスでも、社会主義的政策は体制内変革として浸透していきます。
しかし、ロシアの場合、資本主義が未熟な段階での対立がありました。加えて、貴族や恵まれた富裕層と下層階級との深刻な亀裂もありました。
このような後進国ロシアでの革命は、農民たちの救済という面、さらに西ヨーロッパに対する対抗としての動きでもあったのではないかと、本村先生は分析されます。
さらに本村先生は、レーニンとスターリンの個人的資質に注目されます。
レーニンの場合は、革命運動のなかで兄を殺されています。そのため、革命理論のベースには、反政府運動によりツァーリ(ロシア皇帝)の独裁政を倒すという大きな情念があったのではないか。権力を握ってからは、「弱気になってはいけない」という強烈な意志を相当に打ち出すようになったのではないか。本村先生は、その点を強調されます。
一方、スターリンは、なぜあれほど残虐な行為に及んだのか。「『社会主義』という理想を掲げていたために、『それを邪魔する者は排除していい』という考えが頭のなかを占めたのだろう。しかしそれにしても、実際にそれができるのは、スターリンが性格的に、かなりヒトラーに通じるようなものもあったのではないか」――そう本村先生はおっしゃいます。
このようなレーニンやスターリンの個人の資質の評価は、なぜロシア革命とソ連があのような経過を辿ることになったのかを分析するうえで、とても重要なものでしょう。
また、ロシア革命に、フランス革命はどのような影響を与えたか――。ここも大切な視点です。フランス革命は、(本シリーズ講義の「フランス革命編」で本村先生が言及されているように)、古代ローマの歴史に学んだといわれます。フランス革命の折には、急進派のロベスピエールが権力を掌握して「恐怖政治」を展開し、多くの犠牲者を出した後に、自らも断頭台の露と消えたわけですが、ロシア革命の場合は、フランス革命に何を学んだのでしょうか?
本村先生の「独裁の世界史」講義シリーズでは、「独裁政、共和政、民主政」を座標軸として世界史を見てきたわけですが、ロシア革命が、たとえば「共和政」的なあり方で進むことはありえたのでしょうか?
また、20世紀後半の共産圏では、中国の文化大革命しかり、カンボジアのポル・ポト政権しかり、身の毛もよだつような虐殺が展開されることになります。このような流れは、共産党や共産主義という制度の宿命だったのでしょうか。「スターリン主義」的なものの遺産なのでしょうか。それとも……?
この辺りの分析は、ぜひ本講義をご覧ください。大きな世界史の流れのなかで、どのようにロシア革命を位置づけるべきか、さまざまな視点を学ぶことができます。
(※アドレス再掲)
◆本村凌二:独裁の世界史~ソ連編(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3878&referer=push_mm_rcm2
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☆今週のひと言メッセージ
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「インティマシー(親密な)とは、自分の秘密を親友に伝えることだ」
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2803&referer=push_mm_hitokoto
夏目漱石を苦しめた西洋的な「こころ概念」
中島隆博(東京大学東洋文化研究所 教授)
「インティマシー(親密な)」ということばがありますが、トマス・カスリス氏(オハイオ州立大学名誉教授)に言わせると、「インティマシーとは、自分の秘密を親友に伝えることだ」といいます。漱石の『こころ』という作品は、まさにそのインティマシーによる構造をきれいに出したものだといえます。
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編集後記
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編集部の加藤です。皆さん、今回のメルマガ、いかがだったでしょうか。
ところで、先週金曜日(4/23)のメルマガでも紹介しましたが、以下、新しい特集が始まりました。
◆<「気候サミット」!知っておくべき科学知識>特集
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=111&referer=push_mm_edt
先週(22日、23日)、米国主催による気候変動サミットが行われましたが、それに際して「知っておくべき科学知識」として、4つの講義をラインナップ。いずれも気候変動問題を考えるうえで鍵をなる講義ばかりです。この機会にぜひご視聴ください。
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