編集長が語る!講義の見どころ
こだわりのクラシック特集&独裁の世界史~ファシズム編【テンミニッツTV】
2021/05/07
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
2回目となる「コロナ禍でのゴールデンウィーク」、皆さまはいかがお過ごしでしたか? 緊急事態宣言の延長論議も起きていますが、こういうときは、失ったものを嘆くより、いまできることに取り組みましょう!
本日は「こだわりのクラシック特集」と本村凌二先生の「独裁の世界史~ファシズム編」を紹介いたします。
◎本日開始の特集:「こだわりのクラシック」
◆「こだわりのクラシック」特集
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=113&referer=push_mm_feat
緊急事態宣言で多くの演奏会が「中止」「延期」に追い込まれています。こんなときには「こだわりの講義」が満載のテンミニッツTVで音楽を学びましょう。同じ作曲家について先生方がどんな見方をされているか比較するのも興味深いものです。ぜひ下記に挙げた講義以外にも、先生方の講義をいろいろご試聴してみてください
・樋口隆一先生:バッハは私たち現代人とは異なる感覚で作曲していた
・野本由紀夫先生:モーツァルト:きれいなメロディをパッと思いついてしまう天才
・野本由紀夫先生:ベートーヴェン:「運命」交響曲と「田園」交響曲が拓いた世界
・片山杜秀先生:市民革命期の音楽家ベルリオーズ『幻想交響曲』が与えた影響
・片山杜秀先生 :ヨーロッパ中が感染したワーグナーの凄さ
・野本由紀夫先生:ドビュッシーとマーラー:音楽の多様化と爛熟
◎講義の見所:ムッソリーニとヒトラーはなぜ登場したか?独裁政の未来は?
◆本村凌二:独裁の世界史~ファシズム編(全7話)
(1)イタリア統一とムッソリーニ登場
ムッソリーニが社会主義者からファシストへと転身した理由
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3915&referer=push_mm_rcm1
5月8日は、第二次世界大戦の「ヨーロッパ戦勝記念日」です(ロシアなどでは5月9日)。1945年のこの日にドイツは降伏しました(ヒトラーはその直前の4月30日に自殺しています)。
イタリアは、1943年7月9日に連合軍がシチリア島に上陸すると、同年7月25日にムッソリーニが国王ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世によって解任・逮捕され、同年9月に降伏しています。ただし、その後、ドイツ軍がムッソリーニ救出作戦を行ってイタリアを占領し、連合軍(と降伏したイタリア王国)に対する戦いを続け、結局、1945年5月2日まで戦闘が続きました。
第二次世界大戦でドイツ、イタリアと同盟を結んでいた日本としては、複雑な「記念日」ではありますが、なぜ、日本が三国同盟を結んだのかということも含め、きちんと歴史を検証しておくべきでしょう。とりわけ、どうして当時のイタリアやドイツが独裁政の国家になったのかということについては、しっかりと学んでおきたいものです。
本日は、本村凌二先生の「独裁の世界史」講義シリーズより、ムッソリーニとヒトラーを取り上げた「ファシズム編」を紹介いたします。古代イタリア史を専門とする本村先生が、ムッソリーニをどのように位置づけるのかも興味深いところですし、講義の6話、7話では、「デジタル独裁政」や「コロナ禍」など、現代から未来への問題についてもご言及をいただいています。
そもそも、どうしてイタリア、ドイツをファシズムの独裁政が席巻することになったのでしょうか。特に、本村先生の「独裁の世界史」講義シリーズを見てきて感じるのは、「なぜ、イタリアが……」ということです。
イタリアは、古代ローマの共和政、ベネツィアの共和政などの歴史を積み重ねてきた国家です。共和政時代の古代ローマが、いかに悪しき独裁者を生み出さないように工夫された制度を構築していたかは、テンミニッツTVの講義シリーズで、ご解説いただいてきたところです。
本村先生がまず原因として挙げるのは、イタリアが長らく統一国家ではなかったことです。世界史を学んだ方はご存じのとおり、イタリアはいくつもの国に分かれてバラバラだったうえに、ローマ教皇領などもあり、さらに諸外国からの介入も度重ねて受けていました。
19世紀になるとフランスなどでの国民国家成立の影響も受けて、イタリアでも統一の機運が高まります。イタリア王国がローマ教皇領などを併合して、ほぼ全土の統一を成し遂げたのは1871年のことでした。実はほぼほぼ明治維新と同時期であり、また、ドイツ帝国が成立したのとも同じタイミングだったのです。
このような歴史背景もあり、イタリアでは地方色が非常に強く、また、中小企業が主流で大企業の力が弱く、近代化も遅れていて、しかもドイツや日本と同じく「乗り遅れた帝国主義」への意識が高かったことを本村先生はご紹介くださいます。
そんなイタリアで、ムッソリーニは、最初はアナーキスト(無政府主義者)的な背景をもった社会主義者として、イタリア社会党のなかで頭角を現していきます。しかし第一次世界大戦の折に参戦運動を繰り広げ、その後、復員した兵士を糾合して「イタリア戦闘ファッシ」という団体を作り、やがて全国を掌握していくのです。
その過程でムッソリーニは、古代ローマの真似をしたと、本村先生はおっしゃいます。だからこそ、「ローマ帝国の栄光」が染みついているイタリア人のエモーショナルな部分に強く訴えたのだと。加えて、本村先生は古代ローマの共和政についても「共和政ファシズム」という言葉を使っていらっしゃいます。どういうことなのでしょうか。それについては、ぜひ講義本編をご覧ください。
ドイツのヒトラーについては、本村先生はスターリンの分析の折と同じく、その性格的なものを浮き彫りにしていきます。加えて、「ビスマルク編」でも登場したドイツ皇帝ヴィルヘルム2世が、ドイツの独裁者的イメージを定着させたとも指摘されます。このあたりは、歴史的背景として押さえておくべきところでしょう。
さらに本村先生の視点は、「デジタル独裁政」に及びます。AIやロボット、ドローンなどの活用によって、人間はあまり労働をしなくてよい社会になったときに、どのような政治体制になるのか。コミュニティの破壊や、ナショナリズムの問題はどうなるか。奴隷制を前提としていた古代ギリシアや古代ローマの教訓とは……。それらの問題提起は、ぜひ講義本編でご試聴いただければ幸いです。
なぜ、いかなるときに、独裁政が社会を席巻するのか。そして、未来をどう展望すべきなのか。さまざまなことを考えさせてくれる講義です。
(※アドレス再掲)
◆「こだわりのクラシック」特集
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=113&referer=push_mm_feat
◆本村凌二:独裁の世界史~ファシズム編(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3915&referer=push_mm_rcm2
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レッツビギン! 穴埋め問題
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今回は「睡眠不足」についての講義からの問題です。ではレッツビギン。
睡眠不足が続くと( )が起こりやすいことが、これまで何度か指摘されています。
直ちにというわけではありませんが、何年か後にはリスクが高まります。それは、なぜでしょうか。
一つには、睡眠不足によりインシュリンに対して細胞がうまく反応しなくなることがあります。
さらに、食を進めてしまう傾向も明らかになっています。
さて、( )には何が入るでしょう。答えは以下にてご確認ください。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2476&referer=push_mm_quiz
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編集後記
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編集部の加藤です。今回のメルマガ、いかがでしたか。
さて、今回は5月2日(日)より配信が始まりました沖野郷子先生(東京大学大気海洋研究所教授)によるシリーズ講義<海底の仕組みと地球のメカニズム>についてお伝えいたします。
◆沖野郷子:海底の仕組みと地球のメカニズム(全8話)
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4008&referer=push_mm_edt
こちら、インタビュー(質疑応答)形式にはなっていますが、海底はどうやってできるのか、なぜ火山ができるのか、プレートはどんな仕組みになっているのかなどなど、海底の仕組みと地球のメカニズムについてマップや図で示しながら分かりやすく解説が進むシリーズ講義です。
ちなみに、シリーズ後半になると、地形探査における地球と火星の違いとか、「南海トラフの謎」とか、「プレートテクトニクス」という考え方についてなど、気になるポイントへとどんどんと話が進んでいきます。全8話で毎週日曜日配信予定ですので、ぜひシリーズを通してご視聴ください。
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