編集長が語る!講義の見どころ
これから米中は?そして日本の進むべき道は?【テンミニッツTV】
2021/05/21
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
バイデン政権になって、なおも米中対立は厳しさを増しています。台湾危機さえ懸念されるなか、4月16日の日米首脳会談で、日本は「ルビコン川を渡った」とも言われます。米中、そして世界はどのように動いていくのでしょうか。そして日本はこれから何に気をつけねばならないのでしょうか? テンミニッツTVでは、この問題をどのように見るべきか、諸先生方にお話しをうかがいました。
◎本日開始の特集:これから米中は?そして日本は?
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=115&referer=push_mm_feat
中西輝政:対中国の「ルビコン川を渡った」ことを示した日米首脳会談
小原雅博:2021年4月16日の日米共同声明、その真意を読み解く
東秀敏:バイデン政権のビジョンは「民主主義を取り戻した米国」
◎講義のみどころ:日本が立つ、非常に難しい局面とは?
特集のうち、東秀敏先生の講義は5月23日(日)からの配信となりますので、本日は、中西輝政先生(京都大学名誉教授)と小原雅博先生(東京大学大学院法学政治学研究科教授)の講義を紹介します。
◆中西輝政:対中国戦略・日本の決定的な決断(全6話)
(1)日米首脳会談の評価
対中国の「ルビコン川を渡った」ことを示した日米首脳会談
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4033&referer=push_mm_rcm1
◆小原雅博:2021年米中関係と日本外交の針路を読む(全4話)
(1)日米首脳会談と4つの焦点
2021年4月16日の日米共同声明、その真意を読み解く
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4029&referer=push_mm_rcm3
中西先生の講義は、本日段階で第1話のみを配信しておりますが、「予告」も兼ねて内容をお報せいたします(今後、毎週水曜日に続きを配信していく予定です)。
中西先生は、今回の日米首脳会談で、明確に日本は「決定的な一歩を踏み出した」とおっしゃいます。日本では、「アメリカに押し込まれたが、ギリギリで妥結した」という見方が流布しているが、その見方は間違いだ。少なくとも世界からは「日本はルビコン川を渡った」と捉えられた、というのです。
日本は、日米同盟の緊密化に対して、ある一線を越えるほどの意志を示した。である以上、もし今後、日本が後ろに下がり、「too little, too late」で意志をあいまいにしたら、アメリカからの信頼を一挙に失うことになる(第1話)。そればかりではなく、アジアからもまったく信頼を失って孤立することになるだろう(第6話)。日本が明確に旗を立てたことで、ASEANと韓国が日米と中国のどちらにつくかが重要になる。もし、韓国が米韓同盟から距離を置くような結果になれば、日本にとっては「勝負あった」という局面になる。逆に、韓国やASEANが日米側に引っ張られるかたちになれば、中国が巻き返せるのは2030年代になってからだろう、とおっしゃいます(第6話)。
今回の日本の「踏み込み」の大きな背景には、台湾有事が「偶発的な戦争」というかたちで引き起こされることへの懸念が急速に高まっていることがある。(第2話)。また、米国のみならず、世界各国の人々の中国に対する評価は極めて悪化しており、中国は追い込まれ、孤立を深めている。中国国内で、習近平主席に対する批判も現われはじめた(第3話)。それが中西先生のお見立てです。
これに対して、中国は「合従連衡策」で来るであろう。中国に対する包囲網をつくろうとするアメリカ側(合従策)に対し、中国は「韓信の股くぐり」で一歩か二歩引いて様子見をしつつ、相手にクサビを打ち込んで個別に分断することを図る(連衡策)というのです(第3話)。
ここで危ないのが日本です。天安門事件の折も、「同盟の網のいちばん破れやすい場所」ということで日本に狙いをつけられ、日本を糸口に制裁が緩められていった。今回も経済中心のアメとムチの働きかけが行なわれて、日本の経済界への揺さぶりをかけるだろう。そのようにしておいて、「日本は抜け駆けをした。また逃げるつもりだ」と日本不信を煽るようなアメリカへの世論工作なども行なってくるかもしれない。この中国の「連衡策」をしっかりと頭に置いておかなくてはならない(第4話)。そう中西先生は強調されます。
バイデン政権のアメリカは、湾岸戦争以来の「アメリカファースト」的なあり方から大きく変わろうとしている(第5話)。そのことも踏まえ、今後の日米関係、日中関係を見るときには「長期的視点」が重要になる――非常に考えさせられるお話です。
一方、小原雅博先生は、今回の日米首脳会談で強調されたこと、また日本の立ち位置をわかりやすくご解説くださいます。
小原先生は、昨年9月に収録したテンミニッツTVの講義でも「バイデン政権が誕生したら、同盟強化や民主主義・人権重視などを打ち出してくるので、むしろ中国にとって厳しい状況になる」とおっしゃっていましたが、まさに小原先生のご指摘のとおりになりました。
今回の日米首脳会談のアメリカ側の動きを「トランプ政権で傷ついた同盟の結束に重点を置くために、足並みを揃えることを重視して、大筋のゴールで合意するかたちにしたのだろう」と、小原先生はおっしゃいます。
米中関係で不確実性が高まり、パワーバランスが激しく変わってきているなかで、戦争が起きる可能性が高まっている(トゥキディデスの罠)。日本としても、中国の「力による一方的な現状変更」に日米同盟強化で釘を刺し、台湾や尖閣などでの有事の危険性を下げていかねばならないが、一方で中国との経済関係をマネジメントしていかねばならない。下手をすると股裂き状態になる危険性も高く、非常に難しい立場に立たされる。もはや合理性・効率性の追求だけでなく、危機に備える策を真剣に考えなければならないと、小原先生は強調されます。
これまで日本は、アジアの大国として、アジアの理屈、また日本の歴史的経緯に立脚して外交を進めてきた。アジアの国々は植民地にされた歴史があるので、主権意識が強く、とりわけ先進国からの「内政干渉」には激しく反発する部分がある。また、日本は先の大戦の反省に立って、アジアと寄り添う歩みを進めてきた。そのため、ミャンマーなどに対して西側諸国が制裁を強めても、日本は人道的な部分を中心に援助を維持して、水面下で民主化を支えてきた。そのような日本の戦略を、日本人として理解しつつ、今後、どのようにしていくか……。ここでも非常に難しい状況を教えてくださいます。
日本が採るべき戦略について、大きなヒントが得られる両先生の講義です。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆特集:これから米中は?そして日本は?
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=115&referer=push_mm_feat
◆中西輝政:対中国戦略・日本の決定的な決断(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4033&referer=push_mm_rcm2
◆小原雅博:2021年米中関係と日本外交の針路を読む(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4029&referer=push_mm_rcm4
----------------------------------------
レッツビギン! 穴埋め問題
----------------------------------------
今回は、「不便益」についての講義からの問題です。ではレッツビギン。
近年、富士フイルムさんの「写ルンです」が30周年の復刻版で限定発売された時に、一瞬で売り切れたそうです。
(中略)
この前、女子高生が、「あの( )が良いんだよ」とテレビで言っていました。
さて、( )には何が入るでしょう。答えは以下にてご確認ください。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3969&referer=push_mm_quiz
----------------------------------------
編集後記
----------------------------------------
編集部の加藤です。今回のメルマガ、いかがでしたか。
さて最近、『日本を創った12人』(堺屋太一著、PHP研究所) という本を読み始めています。ご存じの方は多いかもしれませんが、コロナ禍で揺れ動く国際情勢のなか、日本は今後どうなっていくのか、あるいはどうすべきなのか、いろいろと考えてみたいと思ったとき、ふとこの本にたどり着きました。
表題の「12人」というのは、聖徳太子、光源氏、源頼朝、織田信長、石田三成、徳川家康、石田梅岩、大久保利通、渋沢栄一、マッカーサー、池田勇人、松下幸之助のことで、なかでもテンミニッツTVでは特に聖徳太子、織田信長、徳川家康、渋沢栄一、松下幸之助の人物像、彼らにまつわるエピソードをいろいろと紹介しています。その意味では、目の付けどころが堺屋さんと似ているのかもしれません。これから読み進めていくと新たな発見があると思いますので、また機会があれば、ご紹介したいと思います。
ここでは堺屋さんとの会話を取り上げた伊藤元重先生の講義を紹介いたします。
人生100年時代におけるリカレント教育の重要性
伊藤元重(東京大学名誉教授/学習院大学国際社会科学部教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2067&referer=push_mm_edt
ーーーーーーーーーー
「私にとって非常に印象深かったのは、30年以上前に聞いたことですが、有名な作家で評論家でもある堺屋太一さんという人の話です。
彼と議論した時に「伊藤さん、日本の問題って、子供は勉強をしすぎだし大人は働きすぎだし、だから歳を取ると何もやることがないことなんだ」と言われました。そのことが非常に印象に残っているのです。
(中略)
これは実は結構重要なポイントだと思います。それは自分の人生、一生について考えたとき、その中で時間配分をどのように考えていくのかということです。
ーーーーーーーーーー
ここで思ったのは、「日本の問題」をたとえば「日本の可能性」と読み替えてみてはどうかということです。そうすると、日本の見え方、あるいは今後の方向性も違ってくるのではと感じました。
伊藤先生もこの後、「可能性」という言葉を使ってお話をされています。ぜひご講義を視聴いただければと思います。
人気の講義ランキングTOP10