編集長が語る!講義の見どころ
地球の謎…なぜ海底や地球内部が動くのか(沖野郷子先生)【テンミニッツTV】

2021/08/17

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上です。
本日は、「地球の不思議」に触れることができる、大人気講義を紹介いたします。

「いくつものプレートが日本近海で沈み込んでいて、それが地震の原因になっている」という話は、多くの方がお聞きになっていることでしょう。しかし、しかし、なぜプレートが生まれて、どうして動いていくのかについて、どのくらいご存じでしょうか? さらに、このようなプレートテクトニクスの考え方では説明できていないことがあることを、どれほどの方がご存じでしょうか。

地震大国・日本で生きるわれわれとしては、ぜひプレートテクトニクスの仕組みや課題について知っておきたいところです。本日は、そのような「海底と地球の不思議」をわかりやすくお話しいただいた沖野郷子先生(東京大学大気海洋研究所教授/理学博士)の講義を紹介いたします。

本講義で沖野先生は、図や映像をふんだんに用いてご解説くださいますので、知的好奇心がグングン刺激されます。地球に対する見方も変わること、うけあいです。

◆沖野郷子:海底の仕組みと地球のメカニズム(全8話)
(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4008&referer=push_mm_rcm1

日本の近海では、「太平洋プレート」が東北日本沖の日本海溝で沈み込んでおり、「フィリピン海プレート」が南海トラフや琉球海溝(南西諸島海溝)で沈み込んでいます。では、日本海溝で沈み込んでいく「太平洋プレート」は、どこからきたのでしょうか?

実は「太平洋プレート」は、南北アメリカ大陸に近い「中央海嶺」で生まれているといいます。つまり、新しい海底が、そんな遠くで生まれているのです。海底が動くスピードは、1年間に5センチから10センチ。日本沖合の太平洋の海底の年齢は1億年以上とのことで、1億年をかけてやってきたことになります。

では、なぜプレートが動くのか。それは「プレートが沈み込むから」。沈み込むプレートの重みで、自分で落ちていく。「テーブルの上のテーブルクロスが、いったん落ちはじめたら、自分の重力で落ちていくのと同じ」だと沖野先生はおっしゃいます。プレートが沈み込んでしまうので、それに引っ張られて中央海嶺の付近で、どんどん隙間ができてしまう。その隙間を埋めるためにマグマが地球の内部から噴き上がってくる……そのようなイメージだといいます。

ところで、地球の内部では「マントル対流」があるといわれますが、実はマントルは「固体」です。固体の石が「対流」しているといわれても、ちょっとイメージが掴みづらいですが、さらに、その固体だったものが液体になってマグマとして噴出するのは、どのような仕組みなのでしょうか? それらについては、ぜひ講義をご覧ください。沖野先生の講義を聴けば、すぐに理解を深められます。

沖野先生は続けて、いろいろなことを教えてくださいます。太平洋と大西洋では、海底の姿が大きく異なるが、それはなぜか。そもそも中央海嶺はどのような姿をしているのか。重金属類など資源的な見地では、どのようなことがいえるのか。そもそも小松左京がSFで書いたように日本が沈没することはありえるのか……。

このようなことも、沖野先生は動画や図表を数多く用いながらご解説くださいますので、まさに一目瞭然、よくわかります。

また、実際に海底を調べる手法や、日本近海の複雑なプレート事情、さらにプレートテクトニクスでは説明できない事柄についても、沖野先生はご解説くださいます。さらに、なぜ地球だけにプレートの動きがあって、火星や月にはないのか……。

加えて、プレートテクトニクスの「限界」について、沖野先生は次のようにおっしゃいます。

《プレートテクトニクスは、定常状態を説明する枠組みとしては十分だし非常に良いけれども、地球の46億年の歴史を考えたとき、イベント的に起こるような地球史上の大きな事件とか、何か大きく物事が変わるような、定常ではないところは枠外なのです。その辺りが説明できていないというのが、プレートテクトニクスの限界でもある。今後、それを超えた枠組みをつくらないと、トータルには地球のシステムを説明できないのです。そこが難しいところです》

地球のことで、まだまだ解明されていないことが山ほどあることが伝わってきます。また、「動くシステム」としての地球の不思議さも感じることができます。科学の楽しさ、学びの楽しさを教えていただける講義です。ぜひご覧ください。

(※アドレス再掲)
◆沖野郷子:海底の仕組みと地球のメカニズム(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4008&referer=push_mm_rcm2


----------------------------------------
☆今週のひと言メッセージ
----------------------------------------

「STEAMが重要だ」

https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4114&referer=push_mm_hitokoto

ナノテクノロジーを制する者は世界を制する
松本洋一郎(東京大学名誉教授/外務大臣科学技術顧問)

ちょっと話が飛びますが、STEM(科学・技術・工学・数学)だけやれば良いわけではありません。
最近、「STEAMが重要だ」と言われるようになってきています。Aはアートを表していて、それはすなわちリベラルアーツです。
とにかく何でもいいから技術開発すれば良いということではなくて、ちゃんとそれを教養教育として、ELSI(倫理的・法的・社会的課題)やいろいろなことを考えながらやっていくことが大切です。


----------------------------------------
今週の人気講義
----------------------------------------

なぜ人新世が提唱されたのか、地球と人類の歴史から考える
長谷川眞理子(総合研究大学院大学長)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4057&referer=push_mm_rank

『昭和16年夏の敗戦』『昭和23年冬の暗号』が映す未来とは
猪瀬直樹(作家)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4110&referer=push_mm_rank

武士とは何か、『葉隠』『忠臣蔵』に込められた「覚悟」
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所特任教授)
神藏孝之(松下幸之助記念志財団専務理事/松下政経塾副塾長)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4094&referer=push_mm_rank

聖徳太子は歌によって問いかけた人である
上野誠(國學院大學文学部日本文学科 教授/奈良大学 名誉教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4098&referer=push_mm_rank

「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理(法政大学文学部心理学科教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2848&referer=push_mm_rank


----------------------------------------
編集後記
----------------------------------------

今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。

さて8月8日にオリンピックが終了し、来週からパラリンピックが始まります。
パラリンピックでよく見かけるのは、車いすで活躍する選手たちです。今回はその車いすについてお話されている講義をご紹介します。

海外と日本では車いすのイメージが違う
村田知之(神奈川県総合リハビリテーションセンター 研究部リハビリテーション工学研究室研究員)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2793&referer=push_mm_edt

「椅子自体に対する考え方も、われわれの歴史は浅い。家の中で椅子に座るということすら、せいぜい戦後で、海外に比べるとやはり非常に少ないです。海外の方は椅子に座るのが当たり前で、マイチェアを持っているぐらいです。われわれの生活様式としては、まだまだ畳があれば下に座るし、フローリングでも床に座る。このような『椅子』に対する意識の差が、車いすになるとより如実に出たりするのではないかと思います」

海外と日本の生活様式の違いから、椅子という文化へと話が展開されているところが興味深いですね。

ちなみに村田先生は、大学で建築学を学ばれた一方、車いすテニスのボランティアを経験され、医学の修士と博士を取得された、非常にユニークなキャリアの持ち主です。
村田先生がボランティアをされていたのは、現在、パラリンピックをはじめプロでも大活躍の国枝慎吾選手がまだそうしたキャリアを積み上げられる前で、国枝選手のボールを拾ったりしていたそうです。

ということでぜひご視聴ください。