編集長が語る!講義の見どころ
今こそ「資本主義」を考えよう(特集&橋爪大三郎先生)【テンミニッツTV】
2021/10/29
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上です。
岸田総理が「新しい資本主義」を訴えて話題になっています。その趣旨は《「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとした新しい資本主義を実現していく》というもの。
岸田総理は《新自由主義的な政策が「深刻な分断を生んだ」と主張》し、《実現への車の両輪に「成長戦略」と「分配戦略」を位置づけ》、そして《「分配なくして次の成長なし」として、分配戦略をより重視》(『朝日新聞デジタル』10月8日)するのだともいわれますが、はたしてどのようなことなのでしょうか。
この機会に、「資本主義をどう考えるべきか」、また、「分配についてどう考えるか」などを学んでみてはいかがでしょうか?
今回も、他方面の講座を集めた特集を組んでみました。本日は、その特集とそのなかから講座をピックアップして紹介いたします。
■本日開始の特集:今こそ資本主義を考えようではないか
そもそも、資本主義をどのように考えるべきかをマルクス主義に学ぶ講座から、社会保障の考え方、未来の資本主義の哲学的課題、金融資本主義の評価、さらに渋沢栄一の日本的資本主義哲学までを選びました。ぜひお目に留まったものをご覧ください。
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=139&referer=push_mm_feat
・橋爪大三郎:マルクスの『資本論』をなぜ今、読み返すべきなのか
・岡本薫明/神藏孝之:危機は一瞬にして起こりうる…現在の財政問題の核心とは
・小黒一正:日本の社会保障は非常に非効率
・中島隆博:フィクションの力が社会的想像力を変え、技術革新を促す
・原丈人:従業員の給料を削減した経営陣がボーナスもらっていいの?
・渡部昇一:合本主義-渋沢栄一の持論の目的は「公益」の追求
■講座のみどころ:マルクスと資本主義と財政危機(橋爪大三郎先生、岡本薫明先生)
本日ピックアップするのは、橋爪大三郎先生の「マルクス主義」についての講座と、岡本薫明先生の「財政危機のあり方」についての講座です。
まず紹介するのは、橋爪先生の「マルクス入門と資本主義の未来」講座です。
この講座は、このメルマガでも今年の3月に紹介いたしましたが、大人気講座となり、今年1月からの現時点での視聴累計数で1位、2位を争う講義になっております。
この講座の前半6話では、橋爪大三郎先生に、「マルクス主義とは何か」「その力はどのようなものか」について、とてもわかりやすくご解説いただいています。
また後半の4話で、マルクス主義の現代的な意義や課題についてもお答えいただいていますが、その切れ味たるや、さすがといわざるをえません。「ある程度、マルクス主義のことは知っている……」という方は、前半をざっと飛ばし見していただいたうえで、第7話からご覧いただいても良いかもしれません。
◆橋爪大三郎:マルクス入門と資本主義の未来
(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3811&referer=push_mm_rcm1
まず、橋爪先生は、マルクスを理解するポイントとして、(1)ユダヤ人であること、(2)ドイツで生まれ育ったドイツ出身の人だったこと、(3)ヘーゲルに強い影響を受けたこと、(4)時代を丸ごと全体的に認識しようとしたこと、の4つを挙げられます。
そのうえで、なぜヘーゲル哲学から経済の研究に進んだのか、マルクスが立脚した「労働価値説」の意味とは、マルクスが主張した「階級闘争」とマルクス主義のその後の展開などについて、お話しくださいます。
「社会問題のメカニズムの核心を探りだそうとしたマルクスの心意気。そしてマルクスは何を見つけていったのか?」――この橋爪先生のお話から、マルクス主義のポイントがよく見えてきます。
そして、さらに圧巻なのが、質疑応答編での橋爪先生の視点です。以下のような質問について、的確にどんどんとお答えをいただいています。
・マルクスの予言で当たった部分、当たらなかった部分とは何か?
・金融経済がここまで大きくなった現在、「労働価値説」をどう捉えるべきか?
・グローバル化をどう考えるのか?
・「資本主義では需要をどんどん煽って商品を消費させていくので、それが環境問題などの元凶になっている」という議論もあるが、その是非は?
お聞きいただければ、現代の資本主義への理解も深まり、自分自身の考えもどんどん広がっていくこと間違いありません。
▼本日、次に紹介するのは、岡本薫明先生の「財政問題の本質を考える」講座です。皆さまご案内のように、岡本先生は2020年7月まで財務省の事務次官をお務めでした。
この自民党総裁選挙から衆議院総選挙まで、「右も左も、バラマキ政策ばかりを主張している」という評論も聞かれます。現時点では、どれだけバラマキをしても大丈夫という理論も語られています。
そのような議論について、財務省的な立場ではどのように見ているのか。そのことがよくわかる講義です。
◆岡本薫明/神藏孝之:財務省の課題と役割を問う(全2話)
(2)財政危機がいかに起きるか
危機は一瞬にして起こりうる…現在の財政問題の核心とは
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4056&referer=push_mm_rcm3
岡本先生はこの講義で、現在における「財政危機と金融危機」のあり方について警鐘を鳴らします。
たとえば、現在、主張されている「国債をバンバン発行しても、金融政策を組み合わせることで金利は上がらない」という議論に対しては、岡本さんは次のような指摘をされます。
《金融政策で金利を上げずにいたら、確かに、かつていっていたように金利が上がって将来云々ということは起きないかもしれません。しかし、逆に円という通貨の価値がすごく下がっていることが見透かされて、これをきっかけとして為替に大きな変動が生じた場合、今の日本国内で消費しているもののほとんどが輸入に頼っているので、即座に物価がとんでもないことになります》
為替の暴落が危機の発火点になる。さらに、金融危機だけが起きているときは財政出動で救えるが、しかし、財政危機から金融危機を招くと、財政出動という手段自体が封じられてしまう。それを見透かされると、一瞬にして危機に陥る危険性があるというのです。
そのような事態を避けるためにも、やるべきことをやっていくしかない。そう岡本さんは強調するのです。危機が起きるとしたら、どのようなメカニズムなのか。それについての考え方を学ぶことも、とても重要なところでしょう。
いずれの講座も、いま日本にとって大切なことは何かを考えるのに、数々のヒントを教えていただける内容です。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆特集:今こそ資本主義を考えようではないか
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=139&referer=push_mm_feat
◆橋爪大三郎:マルクス入門と資本主義の未来(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3811&referer=push_mm_rcm2
◆岡本薫明/神藏孝之:財務省の課題と役割を問う(2)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4056&referer=push_mm_rcm4
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レッツビギン! 穴埋め問題
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今回は、「神話」についての問題です。ではレッツビギン。
北欧神話やギリシャ神話の中では、「黄金の( )」が神話的シンボルとして出てきて、これが不老不死の象徴的果実になります。
さて( )には何が入るでしょう。答えは以下にてご確認ください。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4172&referer=push_mm_quiz
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編集後記
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今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。
今月(10月)最後のメルマガということで、今月よく視聴された講義を3つ紹介いたします。
10分でわかる「定年後の問題」
楠木新(神戸松蔭女子学院大学教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4180&referer=push_mm_edt
「マスコミ報道」では見えない自民党総裁選の深い意味
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4202&referer=push_mm_edt
10分でわかる「大人の学び・3つの心得」
童門冬二(作家)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3383&referer=push_mm_edt
なかでも「定年後の問題」と「大人の学び・3つの心得」は主に50代の方に向けたお話にはなっていますが、学びになる要素は多く、どの世代の方にも十分興味深い内容になっています。
すでにご覧になったという方はもう一度、まだこれからという方はぜひ一度ご視聴ください。
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