編集長が語る!講義の見どころ
歴史は色々な角度から見ると面白い!(特集&上野誠先生)【テンミニッツTV】
2021/11/12
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
「歴史」をどう見ていくか。ある意味ではこれは、「教養」の1つの大きな根幹をなすものといってもよいでしょう。
もちろん、幾通りもの「歴史の見方」があります。最近、流行っているのは、いわゆる「グローバル・ヒストリー(歴史を大きく眺めること)」です。たとえば、ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』や、ジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』もベストセラーになりました。
テンミニッツTVでも、8月に「ビッグヒストリー的視点で人類を考える」という特集を配信しました。しかし、この視点以外にも色々な見方をしていくと、歴史はもっと面白くなり、世界の見え方も変わるものです。
本日は、そのことを痛感させてくれる講座を集めた特集と、そのなかから上野誠先生の「ソフトな歴史学のすすめ」を紹介いたします。
■本日開始の特集:歴史は色々な角度から見ると面白い
歴史を真正面から見るばかりではなく、文化史、文明史、技術史などを交えたり、科学的手法で見たりしていくと、今まで気づかなかった面白みが見えてきて、様々なことに気づくこともできます。1粒で3度も4度も楽しい講座をピックアップ!
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=141&referer=push_mm_feat
上野誠:グローバル・ヒストリーの中で日本の歴史を俯瞰する意味
斎藤成也:人類の祖先による「出アフリカ」は3回あった
海部陽介:最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
渡邉義浩:関羽はなぜ神様としてまつられたのか?
■講座のみどころ:世界の見方が変わるソフトな歴史学のすすめ(上野誠先生)
最初に「グローバル・ヒストリー」が流行っているという話をしましたが、そこにさらに「ミクロ(身近)な歴史」を接続すると、何が見えてくるのか……。そんな興味深い講座を、上野誠先生(國學院大學文学部教授/奈良大学名誉教授)がお話しくださいました。
上野誠先生は、万葉集研究の第一人者で、関西では長年「上野誠の万葉歌ごよみ」(MBSラジオ)というラジオ番組も続いていますし、メディアにも多数ご出演ですので、ご存じの方も多いと思います。
上野先生の楽しい語り口に導かれながら聞き進めるうちに、歴史の見方について大きな気づきを得ることができる、絶品講座です。
◆上野誠:ソフトな歴史学のすすめ(全5話)
(1)グローバル・ヒストリーと民俗学
グローバル・ヒストリーの中で日本の歴史を俯瞰する意味
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4203&referer=push_mm_rcm1
まず上野先生は、ご専門の「万葉集研究」の場合、たった1首の解釈でも、論文を書こうとすると参考文献が100を超えることがザラだとおっしゃいます。これはまさに「細分化された研究の一例」といえましょう。
そうではなく、歴史を広く大きく見渡すとどうなるか。それが、ユヴァル・ノア・ハラリやジャレド・ダイアモンドらの著作であったとご指摘いただいたうえで、「歴史の色々な見方」をご提示くださいます。
身体に蓄積された歴史、言葉に蓄積された歴史、農業形態から考える歴史……。このあたりの視点は、まさに「『万葉集』研究に民俗学、考古学、歴史学の内容を応用しながら、立体的に3次元化していく」ことをめざしておられる上野先生ならではの視点です。
そのうえで、今回の上野先生の講座の白眉は、コリン・タッジの「小規模農耕」の話から、上野先生の祖母・上野きくのさんの話に、発想を飛ばすところです(第3話以降)。
祖父が亡くなると、祖母・上野きくのさんは、新興住宅地の上野先生の家に同居することになります。引っ越してきた祖母は、庭に「みょうが」を植えはじめ、さらに、その「みょうが」を、ご近所に配りだした。すると、上野きくのさんを中心としたご近所のネットワークができはじめ、皆が物々交換を始めたり、漬物のおいしい漬け方をきくのさんに習ったりするようになっていった……。
その生き生きとした実例をお話になったうえで、上野先生は「これは互酬性と信頼のネットワーク」であり、そこにこそ人間の知恵があるのではないかと指摘されます。そして、日本の歌(和歌)も、そのような「交換ネットワーク」を成立させる「言葉の交換」だったとおっしゃるのです。
このような「交換によるネットワーク」の端的な例が「わらしべ長者」の話だといいます。そう聞いて、「なるほど」とイメージが膨らむ方も多いことでしょう。
「鉄の生産量が、自動車の生産量が」などといった視点で社会を見ていくことも大事なことでしょう。しかし上野先生は、「われわれの幸せはそういったものでは測れないのかもしれません」とおっしゃいます。目に見えないネットワークの構築のほうが、人間の幸せにとっては大切かもしれない……。
そのような視点を掘り下げる「ソフトな歴史学」の可能性を指摘して、この講座は終わります。前述のユヴァル・ノア・ハラリやジャレド・ダイアモンドだけでなく、互酬性を説いたフランスの人類学者マルセル・モースや、交流を通じて歴史を描こうとしたフェルナン・ブローデル、さらには都市の中でネットワークと価値観の変遷を考えたアナール学派の巨匠たち(アラン・コルバンなど)、さらに日本の民俗学を切り拓いた柳田国男や折口信夫たちの名前が、そこで紹介されるのです。
まさに、「歴史の見方」の様々な可能性を教えてくれる講座といえましょう。世界の見方が少し変わる講座かもしれません。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆特集:歴史は色々な角度から見ると面白い
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=141&referer=push_mm_feat
◆上野誠:ソフトな歴史学のすすめ(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4203&referer=push_mm_rcm2
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レッツビギン! 穴埋め問題
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今回は「健康経営」についての問題です。ではレッツビギン。
健康経営のもう一つ重要な考え方として、企業理念の実現によって高収益を目指す「( )の経営」があります。
さて( )には何が入るでしょう。答えは以下にてご確認ください。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4253&referer=push_mm_quiz
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編集後記
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今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。
さて本日は、フランス哲学がご専門の津崎良典先生(筑波大学人文社会系准教授)の翻訳本を紹介いたします。
『デカルトはそんなこと言ってない』(ドゥニ・カンブシュネル著、 津崎良典翻訳、晶文社)
https://www.shobunsha.co.jp/?p=6715
出版社の紹介文にはこうあります。
《「近代哲学の父」「合理主義哲学の祖」などと持ち上げられながら、その実デカルトほど誤解されている哲学者はいない。それでよいのか? 見かねて立ち上がったデカルト研究の世界的権威が、私たちの誤解に逐一反駁を加えながら、デカルト本来の鋭く豊かな思考を再構成する。デカルトが言ってたのはこういうことだったのか! 硬直したデカルト像を一変させるスリリングな哲学入門。》
そして、訳者後書きで津崎先生はこう述べています。
「これまで日本で書かれてきたデカルトの入門書は、基本的には編年体を採用している。(中略)ところが、カンブシュネル先生の入門書は、まったく違う体裁をとっている。つまり、主題別というか誤解別にデカルトの思索を言わば短編小説のように紹介していくのである。」
ということで、「スリリングで、短編小説のようなデカルト入門書」と聞くと、なんだかとても面白そうですよね。ご興味のある方はご一読いただければと思います。
最後に津崎先生の以下、デカルト講義を紹介して終わりたいと思います。
◆津崎良典:デカルトの存在論に学ぶ(全2話)
(1) 「我思う、ゆえに我在り」
「我思う、ゆえに我在り」はデカルトの専売特許ではない
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2527&referer=push_mm_edt
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