編集長が語る!講義の見どころ
コロナ禍の全体像と対策を「整理」する(堀江重郎先生)【テンミニッツTV】
2021/11/16
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上です。
ようやく、新型コロナ禍も感染がやや小康状態となりました。現在の状況だけを見れば、ほっと一息つきたいところですし、長い闘いのなかで、それはとても重要なことでもあります。
しかしもちろん、感染の波がいつ起こるともわかりません。
この局面では、はたしてこのコロナ禍とはいかなるものだったのか、どのような対策が有効だったのか、その全体像を振り返って「整理」しておくことが重要ではないでしょうか。
本日はそれに大いに役立つ講座を紹介いたします。堀江重郎先生(順天堂大学医学部大学院医学研究科教授)のお話です。堀江先生は泌尿器科が専門でいらっしゃいますが、国立感染症研究所の主任研究官をされていたこともあり、高所大所から問題を総覧してくださっています。何が起きていたのか、何が問題だったのかが、とてもよくわかる講座です。
◆堀江重郎:ウィズ・コロナ時代の医学展望(全4話)
(1)日本のコロナ対策とその問題点
新型コロナウイルス感染症に関する日本の“いま”を知る
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4189&referer=push_mm_rcm1
堀江先生の「整理」はとても広範にわたります。
・免疫力をいかにキープするか。
・日本のコロナ対策のどこが問題だったのか。
・保健所の現状。
・海外と比較しての日本の医療体制の問題点。
・重症化するメカニズムと治療薬の効果。
・新型コロナウイルス感染のリスク要因。
・ワクチン接種の効果と限界。症状の長期化と遺伝子の関係。
・ワクチンによる抗体生成と免疫の持続期間について。
……などなど。
まさに、ぜひとも基盤となる知識として、身につけておきたいものばかりです。
ここでいくつかピックアップしてみましょう。まずは日本のコロナ対策の問題点についてです。
1点目は、コロナ対策における「感染症法」の問題です。厚労省の結核感染症課長は、2020年1月という早い段階で無症状者による他者感染を念頭に置いて対策を練らなければいけないことがわかっていたといいます。しかし、ペストのような古典的な感染症を前提としていた「感染症法」の法制度の壁があって、うまく対策が打てませんでした。堀江先生の指摘を待つまでもなく、ここは大きな問題でしょう。
堀江先生は、2020年10月に自民党の大規模感染症流行時の国家ガバナンス見直しワーキンググループがまとめた提言を「大変一読に値する内容」と評価されます。
堀江先生が指摘されるのは、国・地方自治体・保健所の指揮命令系統の問題、検査における国・地方自治体・医療機関・検査機関の協同連携の不備、デジタル化の遅れなどです。それぞれどのようなことかは、第1話をご覧ください。ここは今後に向けた課題として、早急に修正を図るべきところでしょう。
さらに、行政改革で保健所が減ったことの問題、そして欧米の比較から見えてくる日本の医療体制の問題点に話は進みます。きわめて本質的な指摘が続きます。とりわけ医療体制の問題点の部分は、長年この問題に向きあってこられた堀江先生ならではの整理だと思います。この部分は、ぜひ講義をご覧いただきたいところです。
そして治療薬とワクチンの効果についての考察が続きます。個々人としてもぜひ知っておきたいことばかり。今後の対策を考えるうえで必見でしょう。
先の先を見通して手を打っていくためには、「何が起きていたのか」「何が問題だったのか」を整理して、冷静に見つめることが必要不可欠です。その点、堀江先生の今回の講座は、非常にコンパクトかつ網羅的で、必ずや参考になるものと思います。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆堀江重郎:ウィズ・コロナ時代の医学展望(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4189&referer=push_mm_rcm2
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☆今週のひと言メッセージ
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《20世紀型の全体主義を繰り返さないためには、どうしたら良いのか》
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4242&referer=push_mm_hitokoto
儒教由来のスコアリングが格付けに使われる中国の現実
中島隆博(東京大学東洋文化研究所 教授)
では、私たちが20世紀型の全体主義を繰り返さないためには、どうしたら良いのか、また、どういう社会を目指すのかということだと思います。私は今のコロナが、もう分かっていた問題をあぶり出したと書いたのですが、実は何が問題かはもう分かっていました。そして、皆さんはいろいろな処方箋も出しているのです。ところが、それが実行されません。実行されなくて、ジリジリしています。そうすると、実行する強い力を求めていきます。それをどこに求めるかなのです。
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今週の人気講義
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法然を批判した明恵が大切にした「あるべきようは」とは?
頼住光子(東京大学大学院人文社会系研究科・文学部倫理学研究室教授)※「頼」は、実際は旧字体
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4216&referer=push_mm_rank
『わらしべ長者』が伝える「ものの交換」の大事な意味
上野誠(國學院大學文学部日本文学科 教授/奈良大学 名誉教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4207&referer=push_mm_rank
サラリーマン人生の分かれ道「50代の壁」とは
江上剛(作家)
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小原雅博(東京大学名誉教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4211&referer=push_mm_rank
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編集後記
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今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。
さて本日は、今月(11月)のプレゼント本の応募締切が11月20日までということで、あと4日と迫ってきましたので、改めてお伝えいたします。
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最後に。
プレゼント本のエッセンスが学べる猪瀬先生のシリーズ講義を紹介いたします。
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