編集長が語る!講義の見どころ
「民主政、共和政、独裁」で世界史を読み解く(テンミニッツTVメルマガ)
2020/05/06
皆さまこんにちは。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
今般の新型コロナウイルスをめぐる政策対応を見ていると、「政治はいかにあるべきか」ということについて、あらためて色々なことを考えさせられます。民主主義によって選ばれた政府は、本当に国民を守るのか。それとも、安易な政策対応はポピュリズムなのか。政治における「信頼」と「リーダーシップ」とは何なのか?
そのようなことを深く考えるには、やはり歴史に学ぶのが一番でしょう。人類の歴史のなかで、民主主義の危機、ポピュリズム、権力の集中などといったことは、幾度も繰り返し生起してきました。
今回、テンミニッツTVでは、ローマ史・世界史の第一人者である本村凌二先生(東京大学名誉教授)に、『独裁の世界史』という講義シリーズをお願いいたしました。これは古代ギリシアから始まり、古代ローマ、ヴェネチア、フランス革命、ビスマルク、ロシア革命、ナチスドイツに至るまで、「民主政、共和政、独裁」という視点から歴史を総覧していく試みです。
シリーズの最初を飾るギリシア編(全11話)が配信されましたので、紹介いたします。
◆本村凌二:独裁の世界史~ギリシア編(全11話)
(1)世界史の始まり
「独裁政から始まる」という世界史の諸相に迫る
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3235&referer=push_mm_rcm1
古代ギリシアでは、紀元前12世紀ごろのミケーネ時代には、強力な国王が民衆を支配していました。しかし、それが崩れると各地区の有力者を中心にポリスが形成されていき、やがて僭主政になり、そして民主政へと移行していきます。
しかし有名な、古代ギリシアのアテネの民主政は、短く見ればペリクレス時代を中心とした50年ほどしか続かなかったと本村先生はおっしゃいます。なぜ民主政が誕生し、崩壊していったのか。また、短命に終わったギリシアの民主政と、500年続いたローマの共和政は、何がどのように違うのか。また、同じく軍事国家だったといってよいスパルタとローマは何が違ったのか…。
本村先生は古代ギリシアの歴史を概説されながら、それらの秘密を解き明かしていきます。
そして本編の最後に紹介されるのは、ギリシアのデルフォイの神託に書いてあった「己自身を知れ」と「メーデン・アガン(物事はほどほどにしなさい)」という言葉です。果たしてその言葉が教えることとは?
人間は長い歴史のなかで、いかなる経験を積み重ねてきたのか。「民主主義こそが絶対的な価値」という考えを一度離れて、その盛衰の歴史を学んでこそ、見えてくるものがあります。
この「独裁の世界史」シリーズは、上述しましたように、今後もどんどん続いていきますので、ぜひお楽しみにご視聴ください。
(※アドレス再掲)
◆本村凌二:独裁の世界史~ギリシア編(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3235&referer=push_mm_rcm2
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レッツトライ! 10秒クイズ
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「文化・芸術(日本文化)」ジャンルのクイズです。
『茶の本』を書いた岡倉天心は50歳で亡くなりますが、晩年を過ごしたのは東京ではなく、茨城県の〇〇海岸。〇〇には何が入るでしょう。
答えは下の講義でご確認ください。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2216&referer=push_mm_quiz
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編集後記
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編集部の加藤です。
5月1日から新たな特集が始まりました。特集名は『激変する「経済・社会」の行方を読む』。小宮山宏先生と吉川洋先生(立正大学学長)の対談講義シリーズ<経済社会と「隠れた価値」の行方>をはじめ全6タイトルで現在配信中なので、すでにご覧いただいている方も少なくないと思いますが、ここでは、まだこれからという方のために、どのような内容なのか、簡単にお伝えします。
近年、ITやAIが急速に発達していますが、そのことによって社会や経済のあり方が大きく変わるだろうといわれています。その問題提起がいよいよ実際に答えとなって表出してくることになるわけですが、どのように変わっていくのか。
例えば、ビッグデータとAIの活用で、これまですくい上げられなかった指標で経済を分析できるようになったり、また、GDPには計上されなかった「隠れた価値(hidden value)」が顕在化していくだろうと。
ということで、激変する「経済・社会」の近未来像に迫る特集です。ぜひご視聴ください。
<ご紹介した『激変する「経済・社会」の行方を読む』特集はこちら>
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=96&referer=push_mm_edt
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