編集長が語る!講義の見どころ
鎌倉幕府と北条氏の真実の姿とは?(特集&坂井孝一先生)【テンミニッツTV】

2022/01/14

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。

1月9日(日)から、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」がスタートしました。脚本を務める三谷幸喜さんらしい軽妙なシーンと残酷なシーンの対比も、大いに話題になりました。ドラマの主要人物も続々と登場し、今後の展開が大いに楽しみです。

とはいえ、この時代のことは、案外ご存じない方も多いはず。せっかくの機会ですから、ぜひとも「武士の誕生」から「武家政権の確立」までの歴史を学んでおきたいもの。ドラマをご覧になる方は、楽しみが幾倍にもなるはずです。ドラマをご覧にならない方も、日本史の教養として重要なポイントです。

■本日開始の特集:鎌倉殿と北条氏…武士の誕生と権力の確立

実は、この時代の実像は、学校の歴史で習った内容からかなり変わってきています。新しい知見を学べる多面的な特集です。

https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=149&referer=push_mm_feat

坂井孝一:10分でわかる「鎌倉殿と北条氏の関係」

関幸彦:中世の主役・武士の誕生に深く関わる「王朝国家」とは

関幸彦:武士の前身「兵」と「武士」のあいだには大きな溝がある

山内昌之:吾妻鏡―中世を掌握した鎌倉武家政権の一大年代記


■講座のみどころ:鎌倉幕府と北条氏の真実の姿とは?(坂井孝一先生)

本日は、特集のなかから坂井孝一先生(創価大学文学部教授)の講座を紹介いたします。坂井先生は今回の大河ドラマの時代考証も努めていらっしゃり、また、鎌倉幕府誕生前後のことについて、新書も含め数多くの書籍を発刊されている、まさに第一人者でいらっしゃいます。

鎌倉幕府誕生前後の過程は、とかく複雑ではありますが、坂井先生は、柔らかな口調で、とてもわかりやすくご解説くださいます。

本日(1月14日)時点では、第1話のみ配信していますが、今後、毎週日曜日に全9話で配信されていきますので、その予告も含め、内容を紹介いたします(以下の文章の「第○話」は現時点では予定ですのでご了承ください)。

◆坂井孝一:鎌倉殿と北条氏(全9話)
(1)北条氏はなぜ権力闘争を勝ち抜いたのか
10分でわかる「鎌倉殿と北条氏の関係」
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4317&referer=push_mm_rcm1

第1話は「10分でわかる」講義、第2話以降が「深掘り」講義です。

「10分でわかる『鎌倉殿と北条氏の関係』では、源平の戦いの前の北条氏が、かなり小さな規模の武士団だったこと。頼朝の女性トラブルが北条氏の運命を大きく変えたこと。北条政子、義時、そして彼らの父・北条時政が、いかに時代を切り拓いたのか、などの概略が説明されます。

大河ドラマの第1話でも、さっそく源頼朝(演・大泉洋さん)の女性トラブルが描かれましたが、第1話をご覧いただくだけで、その背景がよく理解できるようになるはずです。とくに、当時の都(京都)と東国武士団の「夫婦関係の常識の違い」がトラブルの元になることなど、まことに興味深い話といえるでしょう。

第2話以降で、まず取り上げられるのが、その「頼朝をめぐる女性問題」です。最初の話題は、源頼朝と、最初の妻とされる八重にまつわる物語です。

伊豆に流されていた源頼朝は、よりによって自分の配流先で監視役でもある伊東祐親の末娘・八重とのあいだに子供をつくってしまいます。しかも、伊東祐親が役務で京都に滞在していたあいだに、です。

ドラマでは新垣結衣さんが演じている「八重」ですが、詳細な歴史は伝わっていません。頼朝との子供を父の伊東祐親に殺された後、自害したという伝説も広く流布していますが、坂井先生は別の説を唱えておられます。実はその後、かなり重要な人物になったのではないかというのですが……。そのことについては、第2話、第3話で詳細に描かれますので、ぜひお楽しみにご覧ください。

そして北条政子と源頼朝の関係です。伊東祐親は、半ば厄介払いのようなかたちで、源頼朝を自分の縁戚(娘婿)だった北条時政の元に追放したのではないかと坂井先生はおっしゃいます。そこで時政の娘の政子に、また頼朝が手を出すのです。

しかし政子は、頼朝と行動を共にすることで、人間的に大きく成長していきます。小さな規模の武士団で育った政子は、東国武士たちの気持ちも汲み取ることができる「おかみさん」のような立場になっていきました。

しかし、女癖の悪い(?)頼朝は、その後も女性問題を起こし続けます。そこで、政子は浮気相手の家財道具の打ち壊しに及んだというのですが……。

北条政子の興味深い実像については、ぜひ第4話、第5話をご覧ください。

第6話以降では、源頼朝と北条政子のあいだに生まれた2人の息子、源頼家(2代将軍)と源実朝(3代将軍)のこと、そして御家人たちの凄惨な抗争や暗殺劇の実像が詳しく語られていきます。

源頼家も実朝も、「それほど力がない将軍だったのではないか」といわれることもありますが、坂井先生はその見方を否定されます。

たとえば『吾妻鏡』には、実朝が暗殺されたときに104名の御家人が出家したと書かれています。それは頼朝が死去したときより、はるかに多い人数でした。そこまで大きなショックを御家人たちに与えるほどの存在だったのです。

しかし、第2代、第3代の将軍の力がそのようなものだったからこそ、彼ら頼朝の息子たちをめぐって、御家人たちの抗争が続くことにもなるのです。その詳細な過程は第8話で語られます。

ところで源実朝は、実は「公武合体」を構想し、実際に、後鳥羽上皇とも交渉を重ねさせていました。ところが、実朝が暗殺されたことで、事態は一気に京都側と鎌倉側が激突した「承久の乱」へと流れ込んでいきます。

当然、「朝敵」と名指しされたら圧倒的に不利です。それをいかにして北条政子、義時は覆すことができたのか。いかに武士政権が基盤を確立したのか。それは、ぜひ第9話をご覧ください。

頭のなかに人間関係や歴史の構図をバッチリと描くことができる講座です。


(※アドレス再掲)
◆特集:鎌倉殿と北条氏…武士の誕生と権力の確立
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=149&referer=push_mm_feat

◆坂井孝一:鎌倉殿と北条氏(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4317&referer=push_mm_rcm2


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レッツビギン! 穴埋め問題
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今回は「中国儒教」についての問題です。ではレッツビギン。

忠と孝では、どちらが大事なのでしょうか。
忠と孝は矛盾する場合もあります。忠ならんとすれば孝ならず、孝ならんとすれば忠ならずと言われます。
答えは(   )です。中国儒教では(   )が大事なのです。

さて(   )には何が入るでしょう。答えは以下にてご確認ください。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3345&referer=push_mm_quiz


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編集後記
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今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。

さて本日は、長谷川眞理子先生(総合研究大学院大学長)のシリーズ講義「進化医学からみた現代の病気」をご紹介します。

◆長谷川眞理子:進化医学からみた現代の病気 (全3話予定)
(1)人類の進化と病気の関係
病気はなぜあるのか――進化医学から考える4つの原因
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4314&referer=push_mm_edt

すでに2話目まで配信が始まっておりますので、ご覧になられた方も少なくないと思います。現代の病気について、進化医学という観点から考える長谷川先生ならではの講義です。

新型コロナをはじめとする感染症はもちろん、生活習慣病やがんなど、それぞれ非常に興味深いお話が続いていきます。最終話の第3話目は18日(火)配信予定です。ぜひ続けてご視聴ください。