編集長が語る!講義の見どころ
人類にとっての健康と食文化(特集&長谷川眞理子先生)【テンミニッツTV】

2022/01/21

いつもありがとうございます。テンミニッツTVの川上です。

「健康」や「食文化」――これは誰にとっても大切な話題です。メディアでは健康情報や食にまつわる情報が、さかんに流されています。

「健康」や「食」がすべての基盤であることは、いうまでもありません。しかし、そのことについて、どこまで本質的なことが考えられているでしょうか。ついつい、大量に押し寄せる情報に流されてしまっているところはないでしょうか。

■本日開始の特集:人類にとっての健康と食文化

健康と食のあり方について、様々な角度から「深く、本質的に」考えることができる講座を集めました。長谷川眞理子先生(総合研究大学院大学長)は、人間の生物としての長い歴史を考えたとき、現代の文明生活はごくごく短期間に起きたあまりに急激な変化で、それに人間の身体がついていっていない部分があるとおっしゃいます。それは食生活も同じです。では、われわれは今後どのように健康を考えて、食文化を見直していけばいいのでしょうか。

https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=150&referer=push_mm_feat

長谷川眞理子:病気はなぜあるのか――進化医学から考える4つの原因

朝倉敏夫:食文化の研究には様々な分野を総合した食科学が必要

石田雅芳:「スローフード」運動とは?~歴史と新たな展開

石原結實:病気の一番の原因は食べ過ぎ

小泉武夫:「食の冒険家」の目に映った日本の食文化の実態


■講座のみどころ:進化医学からみた現代の病気(長谷川眞理子先生)

本日は、長谷川眞理子先生(総合研究大学院大学長)の講座を紹介します。人類という生物の進化から見た場合、健康や食生活はどのように考えられるものなのでしょうか。

人間の生活環境が大きな変化を遂げたことで、病気のあり方も大きく変わったといいます。また、実は感染症による危ない病気は近年発生したものばかりだとも。はたして、どのようなことなのでしょうか。

◆長谷川眞理子:進化医学からみた現代の病気(全3話)
(1)人類の進化と病気の関係
病気はなぜあるのか――進化医学から考える4つの原因
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4314&referer=push_mm_rcm1

まず長谷川先生は、人間の病気を大別して4つを挙げます。

・感染症:溶原菌、ウイルスなどが人に寄生して起こる疾患
・生活習慣病:現代の生活習慣、食事の構成などに起因する疾患
・遺伝疾患:特定の遺伝子変異によって引き起こされる疾患
・がん:細胞の増殖の変異にかかわる疾患。年齢とともにリスクが上がる

そのうえで長谷川先生は、人類の進化と病気がどういう関係にあるかを考えなければならないとご指摘くださいます。ただし、そのような「進化医学」の研究が進んだのは1990年代以降と、比較的新しいことなのです。

長谷川先生は、こうおっしゃいます。

《進化を考えるときに、私たちの体がどんな状況で進化してきたのかを考える必要があります。私たちの体のいろいろなつくりや機能は、文明生活、すなわち先進国の快適な環境下で進化したわけではありません。何万年、何十万年、何百万年にわたる人類の暮らしに適応して、この体ができたのです。そういう人類進化史の中で、ヒトが暮らしていた環境とは、どんなものだったのかをまず知らなければいけません。文明によって変わってきた環境は、もとの環境とはかなりずれてきていて、それによっていろいろなことが生じていることは、やはり知っておいたほうがいいと思います》

その「ずれ」が病気にも大きく関わっているのです。人類が地球上に生まれてからこれまでの期間の99パーセントは狩猟採集生活でした。現在のような文明生活に入ったのは、実はごくごくわずかな期間。そう考えれば、人間の体が適応できていない部分もあるのも当然であると思えてきます。

長谷川先生は、人類がチンパンジーから分かれた600万年前から、ホモサピエンスが生まれた20万~30万年前、さらに産業革命が起きた150年……と図示くださいますが、とても多くのことを考えさせられます。

さらに、実は感染症のうち「危険」とされているものの大部分が19世紀末以降のものだと指摘されます。長谷川先生は厚労省が指定する感染症1類~4類までを一覧表で示してくださり、それぞれいつ発見されたかを教えてくださいます。その表を見ると、驚くことばかり。ぜひ講座第2話をご覧ください。

そして、話は生活習慣病に入ります。先ほど紹介したように、これまでの長い歴史で培ってきた人類の身体の特性と、現在の生活が、まったく適応していないのです。歩かないこともそう。陽に当たらないこともそう。細かい字を読むこともそう。遅くまで寝ないこともそう。

たとえば人類は、狩猟採集生活で歩き回るように身体の構造ができています。それを考えると、やはり1日に7000歩~14000歩、1週間で10万歩をめざすべきだといいます。

さらに食事のこともご指摘くださいます。チンパンジーとヒトが何を食べているかの割合をお示しくださったうえで、狩猟採集時代の人間の肉食の割合を教えてくださいますが、これにも驚かされる方が多いのではないでしょうか。

そして、超加工食品に警鐘を鳴らされ、あるべき食生活について考察くださいます。

人間の現代生活のおかしさはどこにあるか。この生活のなかで、何に気をつけ、何をすべきなのか。そのことを、とても深く考えるきっかけになるはずです。自分の身体と暮らしを変える大きなきっかけとなるかもしれません。ぜひご覧ください。


(アドレス再掲)
◆特集:人類にとっての健康と食文化
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=150&referer=push_mm_feat

◆長谷川眞理子:進化医学からみた現代の病気(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4314&referer=push_mm_rcm2


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レッツビギン! 穴埋め問題
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今回は「武士の誕生」についての問題です。ではレッツビギン。

よく知られている『今昔物語』でいえば、藤原利仁という人物がいます。有名な芥川龍之介の「    」という小説の主人公がこの藤原利仁で、敦賀に本拠地を持っていました。

さて「    」には何が入るでしょう。答えは以下にてご確認ください。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4282&referer=push_mm_quiz


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編集後記
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今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。

さて冒頭で編集長が本日開始の特集についてお伝えしましたので、今回は昨年(2021年)の特集のなかから特に人気のあった特集を3つほど紹介いたします。

人生を豊かにする「教養」の本質と可能性
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=112&referer=push_mm_edt

令和3年人気ランキングBest10
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=144&referer=push_mm_edt

「老い」と幸せの関係
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=129&referer=push_mm_edt

いずれも大変好評いただいた特集ですが、なかでも注目は「人生を豊かにする「教養」の本質と可能性」と「令和3年人気ランキングBest10」特集のなかにラインナップされている橋爪大三郎先生(社会学者/東京工業大学名誉教授/大学院大学至善館教授)の講義です。

◆橋爪大三:今こそ問うべき「人間にとっての教養」 (全7話)
(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4001&referer=push_mm_edt

現代社会において、なぜ教養を身につけることが重要なのか。これについて非常に分かりやすく、丁寧に解説されています。まさにテンミニッツTVのためにある講義だと感じています。

すでにご視聴された方も多いと思いますが、聴くたびに違う発見、新たな気づきがあるかもしれません。ぜひシリーズを通してご視聴ください。