編集長が語る!講義の見どころ
ウクライナ危機。ハイブリッド戦争の脅威(小野寺五典先生)【テンミニッツTV】

2022/02/01

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。

ウクライナ危機が続いています。ロシアは10万人規模の兵力を集結させているといわれ、それに対抗してアメリカもイギリスやNATOも東欧への増派を検討。ロシアがウクライナのNATO非加盟の確約を求めたのに対し、アメリカはその要求を拒んだとされます。

ウクライナ危機から、実際に交戦ということになってしまったら、どのようなことが起こるのか。本日紹介するのは、そのことを考えるのに大いに参考になる、小野寺五典先生(衆議院議員、元防衛大臣)の講座です。昨年6月にもこのメルマガでお報せしましたが、昨今の事態を受けて、あらためて紹介させていただきます。

ハイブリッド戦争ということがいわれています。これは2014年のロシアによるウクライナ侵攻の折に起きた出来事でした。これは「いつ起きたかわからない戦争」だったといいます。はたして、どのような戦争で、なぜそれが大きな衝撃を与えたのでしょうか。

◆小野寺五典:戦争の常識を覆すハイブリッド戦争にどう立ち向かうか(全1話)
知らないうちに侵略される「ハイブリッド戦争」の恐怖
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2979&referer=push_mm_rcm1

「いつ起きたかわからない」ウクライナ侵略とは、どのようなものだったか?

最初は、何の組織だかわからないような民間人のデモが、港湾施設や鉄道電力施設などで展開されます。そうこうしているうちに、ウクライナ全土で携帯電話が使えなくなる。偽のSNSが流される。

さらに、大規模停電が主要都市で起きるようになります。ラジオからはおかしなニュースばかりが流れてくる。そうこうしているうちに、デモ隊がいつの間にかロシア民兵に変わっていて、重要施設を占領される……。

「これはロシア軍の侵攻だ」。ようやく気づいたウクライナ軍が偵察のためにドローンを飛ばしても、次々に墜落してしまう。大砲を撃っても、すべて不発弾になってしまう。ウクライナ軍はまともな戦いもできぬままに、ロシア軍に完全占領されてしまったのです。

これこそ、民兵の浸透戦略と、サイバー攻撃、宇宙からの妨害電波、電磁波攻撃などを組み合わせた「ハイブリッド戦争」だったのです。このような動きを、小野寺先生は詳細に解説くださいます。なにしろ、防衛大臣を務めた方のお話ですから、まさに震撼させられます。

「ハイブリッド戦が実際に行われると、既存の戦車や戦闘機、戦艦による戦いの前に、実は勝負が決まってしまいます」。そう小野寺先生はおっしゃいます。いまわれわれの眼前で展開されているウクライナをめぐる外交戦の裏で、はたしてどのようなことが行なわれようとしているのか。そのことを考えると、懸念はますます高まってきます。

もちろんハイブリッド戦争は、日本から遥かに遠い彼方の話ではありません。万一、台湾危機のような事態になったら、否、そうなる前から、日本が何らかの攻撃に直面する可能性も考えておかなくてはなりません。

小野寺さんは、次のようなご指摘もされています。

《いちばん恐ろしいのは、ハイブリッド戦とは「いまから戦争が始まった」という時点がわからないということです。いつの間にかやられてしまっています。平昌オリンピックの開会式のとき、作動したウイルスが入れられたのがいつだったのかを調べたところ、開会式の半年ほど前だったそうです。さらに、コンピューターに入るために必要なアクセス権を持つ幹部のパスワード等が盗みとられたのは1年前だったそうです》

《ウクライナはその後もずっとロシアの影響を受け、大統領が交代しました。コメディアン出身の方です。このことからもわかるのは、ハイブリッド戦はずっと仕掛け続けることで相手の政治体制にまで影響を及ぼすことができるということです。単なる軍事行動だけではなく、全体としての戦略的な使われ方をしています》

ウクライナ侵略から数年を経て、ハイブリッド戦争の技術はさらに高度化しています。はたして、日本はそのような事態にどのように備えようとしているのか。課題はどこにあるのか。そのことについても小野寺先生は詳細にお話しくださいます。

「いつ起きたかわからない戦争」で、取り返しのつかないことにならぬよう、ぜひとも学んでおきたい講義です。


(※アドレス再掲)
◆小野寺五典:戦争の常識を覆すハイブリッド戦争にどう立ち向かうか(全1話)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2979&referer=push_mm_rcm2


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☆今週のひと言メッセージ
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《食事の最初に野菜を取ること》

https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=1473&referer=push_mm_hitokoto

骨・軟骨を強くするために増やしたい栄養素、運動法
鄭雄一(東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻教授)

私のお勧めは、食事の最初に野菜を取ることです。伝統的な日本料理や韓国料理では、おひたしやナムルを食べますが、あれは理にかなっています。最初にサラダやおひたしなどを食べるのがよろしいかと思います。そうすると過食が抑制できますし、栄養素の吸収を遅らせます。焼肉屋へ行って「とりあえず焼肉」と注文することはやめていただいて、最初は野菜から入る方がいいのではないかと思います。


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今週の人気講義
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「阿波局」が二人いる…八重に秘められた謎に迫る
坂井孝一(創価大学文学部教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4319&referer=push_mm_rank

進化的に「おかしい」現代生活、どんな食事がよいのか
長谷川眞理子(総合研究大学院大学長)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4316&referer=push_mm_rank

明智光秀という存在が与えた歴史的な意味とは
小和田哲男(静岡大学名誉教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3148&referer=push_mm_rank

皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4289&referer=push_mm_rank

二千年の時を超えて読めるギリシア「三大悲劇詩人」の作品
納富信留(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4343&referer=push_mm_rank


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編集後記
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今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。

さて本日、2月1日といえば、東大寺二月堂で行われる修二会(しゅにえ:お水取りの行法)をご存じでしょうか。
大仏開眼法要の行われた年(天平勝宝4年)に始まり、千年以上続けられている行法で、現在では3月1日より2週間にわたって行われているのですが、かつては旧暦の2月1日から行われていたそうです。そのため、二月に修する法会という意味をこめて「修二会」と呼ばれるようになり、二月堂の名もこれに由来しているとのこと。

ということで、実際にはあと1か月ありますが、修二会についての講義があるので以下、お伝えいたします。

東大寺には大仏開眼以来1200年以上続く修二会の行法がある
北河原公敬(東大寺長老)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=1493&referer=push_mm_edt

修二会とはどのようなものなのか。どんな思いが込められているのか。ご興味のある方はこの機会にぜひご視聴ください。