編集長が語る!講義の見どころ
世界一の投資家バフェットの成功哲学(桑原晃弥先生)【テンミニッツTV】

2022/02/08

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。

先週の金曜日(2月4日)に、「GAFA、バフェット…アメリカ経営の神髄」という特集を紹介いたしました。その折のメルマガでは、島田晴雄先生の講座《世界を制覇したIT巨人「GAFAMNT」の実像に迫る》の内容をお報せしましたが、本日は、桑原晃弥先生(経済・経営ジャーナリスト)による《ウォーレン・バフェットの成功哲学》を紹介いたしましょう。

ウォーレン・バフェットという名前を、皆さまご存じでしょうか。世界一の投資家と呼ばれることもある人物です。

「なんだ、アメリカの金持ちの話か」と短絡することなかれ。バフェットの実像は、通常われわれが「アメリカの投資家」というイメージで抱きがちなものとは、ずいぶん異なります。

1930年生まれで、90歳を超えてなお現役。約1000億ドルの資産があるといわれ、2021年の世界長者番付で世界第6位の資産家(1位から順に、ジェフ・ベゾス、イーロン・マスク、ベルナール・アルノー、ビル・ゲイツ、マーク・ザッカーバーグ、ウォーレン・バフェット)でありながら、投資家としての仕事の大部分をニューヨークなどではなく、生まれ故郷のオマハで行なってきた人物でもあります。

桑原先生はこれまで、日本やアメリカの数多くの経営者や企業を紹介するビジネス書や名言集を手がけてこられた方です。それだけに、とてもわかりやすく的確にご紹介くださいます。

◆桑原晃弥:ウォーレン・バフェットの成功哲学(全7話)
(1)「世界一の投資家」の実像
10分でわかる「ウォーレン・バフェット」
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4234&referer=push_mm_rcm1

桑原先生はまず「10分でわかる講義」の冒頭で、バフェットの3つの顔をご紹介くださいます。1つめが「世界一の投資家」、2つめが「世界有数の大富豪」、そして3つめが「オマハの賢人」です。

最初の2つはわかるとして、バフェットのまことに特徴的なのは3つめでしょう。バフェットが「賢人」と呼ばれる理由として桑原先生が挙げるのが、次の3点です。

●大富豪でありながら、贅沢を嫌って、高額の報酬を得ることもせず、若いときに買った小さなオマハの家に住み続けていること。

●ソロモン・ブラザーズが経営危機に瀕したとき、報酬1ドルで暫定会長に就任し、しかも「けっして隠し立てをせずに正直に話せ」と方針を掲げ、「一流のビジネスは超一流のやり方でやらなければいけない」という、およそウォール街と対極にあるような経営の方法で再建してみせたこと。

●世界の上位1パーセントに富が集中している格差社会状況のなかで「お金持ちはもっと税金を払わなければいけない」「富める者には富める者なりの義務と責任がある」と強調し、自ら率先して慈善活動に取り組んでいること。

この3点を聞いただけで、いかにも独特の人物であることが、うかがいしれます。

バフェットの詳細な経歴は第2話以降でお話しくださっていますが、バフェットはすでに6歳のときから「小さなビジネス」を始め、11歳で初めての株式投資を行なっています。1979年に初めて長者番付に登場し、1986年に「フォーブス400」のベスト10に入り、以降、常にベスト10に入り続けている……。まことに興味深い人生ですが、その詳細は、ぜひ講座本編をご覧ください。

バフェットは「長期投資」を旨とする投資家です。彼は、「株券ではなくビジネスを買う」ことを標榜し、「今日や、明日、来月に株価が上がろうが下がろうが、私にはどうでもいい」「10年、50年たっても欲しいと、みんなが思うものをつくっているかどうか。これが私の投資判断の基準です」と語ります。

自分の領分をしっかりと把握し、自分がわかる範囲のビジネスの世界で、投資すべき企業の経営を見極めていく。価値ある製品を生み出し、価値ある経営をしている会社に投資する。そのためITバブルのときには、ビル・ゲイツと友人でありながら「自分はまだITのことがわからない」と判断して、IT企業には大きな投資をしませんでした。また、信頼して投資したからには、その企業との関係が一生続くことを希望するのです。

バフェットの手法や投資哲学を知れば知るほど、一時期、日本で盛んに喧伝(けんでん)された「アメリカ株主資本主義」的な言説が何だったのか、つくづく考えさせられます。当然のことながら、物事はけっして一面的ではありません。「アメリカではこうだ」とまことしやかに語っていた議論が、ごく一面だけを捉えて強調していたことがわかります。

とりわけ、GAFAの経営者たちの多くが、バフェットの経営哲学を信奉しているというのも、まことに象徴的な話です。はたして日本は、アメリカのどこを見ていたのでしょうか? 日本が見ていたのは、本当にアメリカ資本主義の核心だったのでしょうか?

考えてみれば、長期間にわたって成功し続けるには、まっとうなやり方を貫くのが一番なのです。そして、その「まっとうなやり方」は、かつての日本の商人道の知恵と、とりたてて変わることがない。

そのことをあらためて痛感することができる講座です。その視点でバフェットの成功哲学を見ていくと、いろいろな気づきを得ることができるように思います。


(アドレス再掲)
◆桑原晃弥:ウォーレン・バフェットの成功哲学(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4234&referer=push_mm_rcm2


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☆今週のひと言メッセージ
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《「しなやか」が「したたか」になる》

https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4330&referer=push_mm_hitokoto

老子から孫子へ引き継がれた戦略論の極地
田口佳史(東洋思想研究者)

そういう意味で、老子というのはしなやかさを説いているといえますが、しなやかさをもう少し深めると、皆さんよくご存じの「しなやか」が「したたか」になるわけです。それで、したたかになった瞬間に戦略論になって孫子になってくる 、というように受け取っていただいて結構です。


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今週の人気講義
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知らないうちに侵略される「ハイブリッド戦争」の恐怖
小野寺五典(衆議院議員)
神藏孝之(松下幸之助記念志財団専務理事/松下政経塾副塾長)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2979&referer=push_mm_rank

なぜ伊東にいた源頼朝が北条に行くことになったのか
坂井孝一(創価大学文学部教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4320&referer=push_mm_rank

今、話題の「新しい資本主義」の可能性と企業の課題とは?
柳川範之(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4340&referer=push_mm_rank

世界を制覇したIT巨人「GAFAMNT」の実像に迫る
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4265&referer=push_mm_rank

ギリシア悲劇と喜劇にはどんな違いがあるのか
納富信留(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4344&referer=push_mm_rank


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編集後記
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今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。

さて本日は、堀江重郎先生(順天堂大学医学部大学院医学研究科 教授)の以下の本を紹介いたします。

『男性復活!:宇宙の進化と男性滅亡に抗して』(佐治晴夫著、堀江重郎著、 春秋社)
https://www.amazon.co.jp/dp/4393716345/

紹介文にはこうあります。

「科学の詩人・佐治博士とその主治医で男性医学の第一人者・堀江教授が、たがいの人生を語りながら、宇宙と人体の響きあいや現代医学の真実から、自信喪失した男性の新しい生き方など、みんなが元気になるヒントを探る」

2年ほど前に発刊された本ですが、科学の詩人・佐治博士との共著ということもあり、とても興味深い一冊です。
ご興味のある方はいかがでしょうか。

なお、堀江先生の次回講義は今年の春ごろに配信予定です。ご期待ください。