編集長が語る!講義の見どころ
どこに問題があった?徹底検証・日本のコロナ対策(テンミニッツTVメルマガ)

2020/05/27

皆さまこんにちは。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
新型コロナウイルスとの戦いも、緊急事態宣言解除が行われ、遂に新しい局面を迎えました。とはいえ、今後、第2波、第3波の到来なども大いに懸念されています。今後の対策をより良きものとするためには、これまでの対策を徹底検証し、望ましい道は何なのかを考えておく必要があるはずです。

そこで、島田晴雄先生の緊急講義をご紹介いたします。この講義で島田先生は、一連の対策の流れをみごとにまとめ上げられ、また、現状の対策を行いつづける「現状維持シナリオ」と、望ましいあり方である「希望のシナリオ」の2パターンを検証し、それぞれどのような結果がもたらされるかの経済シミュレーション分析を行ってくださいました。

◆島田晴雄:徹底検証・日本のコロナ対策(全9話)
(1)日本型モデル、世界との比較
感染者数・死亡者数の国際比較で見えてくるものは何か
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3396&referer=push_mm_rcm1

日本では、法律体系に「緊急事態」が十分に組み込まれていない不備や、マイナンバー制度の未徹底などもあって、世界と比べても独特な「強制も罰則も補償もない日本型モデル」ともいうべき対応がなされました。これはどのような結果をもたらしたのか。島田先生による総括がどのようなものかは、第6話までの講義タイトルとキャッチコピーをご覧いただければご理解いただけると思います。

1.日本型モデル、世界との比較:感染者数・死亡者数の国際比較で見えてくるものは何か
2.日本の感染展開の経緯:感染発生、クラスター対策班の活躍、そしてPCR検査問題
3.抗体検査と収束の可能性:いかに検査を拡大し、「実行再生産数」を引き下げていくか
4.国の対応と東京都とのバトル:「あまりに遅い…」浪費される時間に高まる東京都の危機感
5.緊急経済対策の内幕と陥穽:「安倍首相の側近主導の急ごしらえ対策?」に問題山積
6.医療崩壊は防げるか:ベッド数は多くても医師数などが圧倒的に不足している日本

感染が発生してからの流れを、島田先生一流のみごとな把握でまとめられます。理知的に、かつ歯に衣着せず展開される的確に分析は、問題を振り返るのに、まことに最適です。

そのうえで、続く第7話、第8話、第9話で島田先生は、ご自身で行われた経済シミュレーションを紹介くださいます。

7.「現状維持シナリオ」の危険性:このままの対策を続けると経済基盤を失い、大停滞の恐れも
8.「希望のシナリオ」の可能性:英知を結集した大胆で大型の対策こそが希望の未来を拓く
9.日本型モデルは成功するか?:現場は最優秀だが政策の過ちで「精神論の罠」に陥る危険も

ここで島田先生は具体的な分析の結果、下記のような数字を導き出されています。

まず、「現状維持シナリオ」の場合、小出しの逐次政策対応の結果、直接コストは20.5兆円だが、感染を早期に収束できないためにGDP成長率は2020年4~6月以降年率▲15.0%、2021年も通年平均▲10.0%となる。

一方、「希望のシナリオ」の場合、迅速・大型の政策対応で、直接コストは53兆円にのぼり、その結果もあってGDP成長率は2020年4~6月以降年率▲20.0%だが、2021年には感染収束と未来志向の経済戦略の効果もあってGDP成長率は通年平均+15.0%とV字回復を達成する。

それぞれがどのようなものか。それについては、ぜひ講義をご覧ください。まさにいま学ぶべき講義です。

(※アドレス再掲)
◆島田晴雄:徹底検証・日本のコロナ対策(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3396&referer=push_mm_rcm2

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「西洋美術(文化・芸術)」ジャンルのクイズです。
「ルネサンス」という言葉はフランス語から来ていますが、もともとはイタリア語のある意味を表す言葉が始まりといいます。その意味とは何?
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3017&referer=push_mm_quiz

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編集後記
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編集部の加藤です。
テレワークやオンライン授業への動きが進むなか、いよいよ緊急事態宣言が解除されましたが、これからどうなっていくのでしょうか。
先週の日本経済新聞(5/18朝刊)で立命館アジア太平洋大学(APU)学長である出口治明先生の記事を読みました。特に印象に残ったところを抜粋したいと思います。

「僕が考える理想の大学は、1000年以上前に創立されたエジプトのアズハル大学だ。入学随時、受講随時、卒業随時で、誰にでも広く門戸を開放している。ペストがルネサンスや宗教改革のきっかけとなったように、新型コロナの収束後は、働き方も学び方も生き方も今とは違ったより良いものに進化する」

この記事を読んだ時に感じたのは、テンミニッツTVも、ある意味入学随時(入学という表現はしていませんが)、受講随時で、誰にでも広く門戸を開放しているので、似ているなということです(卒業という区切りは今のところないですが)。
そして、エジプトのアズハル大学と比べては恐れ多いのですが、テンミニッツTVも微力ながら、出口先生が言われる「働き方も学び方も生き方も今とは違ったより良いものに進化する」ためにの一助になれればと思った次第です。
今後ともテンミニッツTVをご愛顧のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

<出口治明先生の講義はこちらからご視聴いただけます>
https://10mtv.jp/pc/content/lecturer_detail.php?lecturer_id=159&referer=push_mm_edt