編集長が語る!講義の見どころ
10分でわかる「不動産投資の罠」(河合弘之先生)【テンミニッツTV】
2022/03/22
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上です。
NHKの「逆転人生」というテレビ番組で、「巨額の投資詐欺事件 銀行の不正を暴け」というテーマが放送されました(初回放送日:2022年3月14日)
これは、2018年に世間を騒がせた「スルガ銀行シェアハウス事件」、いわゆる「かぼちゃの馬車事件」を取り上げた番組でした。
この事件は、悪質な不動産会社がスルガ銀行と結託して、ビジネスマンなど一般人1000人に価値の低いシェアハウスに投資させて、総額1500億円の借金を負わせたものです。1人平均1億5000万円という膨大な負債です。
不動産会社スマートデイズは、言葉巧みに「絶対に儲かる投資話」を持ちかけます。そして、貯蓄額が少なくて、担保などがなくても、億を超える資金を貸し付けていきました。その結果、多額の負債を抱えたオーナーを多く生み出したのです。
実はテンミニッツTVでは、この事件の解決に弁護士として携わった河合弘之先生による講座を配信しています。
百戦錬磨の河合弁護士も、「自分でも、だまされたかもしれない」といいます。つまり、誰がだまされてもおかしくない組み立てになっていたのです。実際に、公務員であったり銀行員であったりする堅実な普通の人たちが、どんどん罠にはまっていきました。
はたして、どのようなことが起きていたのか。また、そこに潜む「不動産投資の罠」とは?
「投資」への注目が高まっている時代だからこそ、ぜひ学んでおきたい講座です。
◆河合弘之:不動産投資の危険な罠(全2話)
(1)「スルガ銀行シェアハウス事件」の真相
10分でわかる「不動産投資の罠」
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4273&referer=push_mm_rcm1
空前の低金利で、ローンの金利負担が軽減していることも受け、資産運用としてマンションやアパートなどの不動産投資が注目されました。そのような流れのなかで、「極めて悪質」な事例も出てきた――その象徴的な事例が、この「かぼちゃの馬車事件」だといえましょう。
いかに悪質だったのか、詳しい説明は、ぜひ講座本編をご覧いただければと思いますが。単純にいってしまえば、不動産業者であるスマートデイズが、年収600万~700万円くらいのサラリーマンに「シェアハウス」投資を持ちかけるところから始まります。
シェアハウスの建設には、平均すると1億5000万円かかります。しかし、年収が600万円くらいで、ご家族がいらっしゃる方の場合、預金が20万~40万円くらいしかない方も多いのが実情です。
そこで何をやったか。「30万円」しか預金残高がない場合には、預金残高が「3030万円」であるかのように通帳のコピーを「改竄(かいざん)」して、それをスルガ銀行に提出し、融資を引き出していたのです。
実は、裏でスルガ銀行も結託していたので、そのような書類偽造でも通ってしまったのです。
では、なぜそもそも「シェアハウス」投資という話に引っかかってしまったのか。それは、不動産会社のスマートデイズが、「サブリースですから、大丈夫ですよ」と勧誘したからでした。
つまり、「物件を建てたら、1棟丸ごとサブリース会社が借り上げてくれる。顧客集めや管理などは、そのサブリース会社がやってくれる。もちろんサブリース会社に手数料は引かれるが、それ以外は何もしなくても、安定的な賃料が入ってくる」というストーリーです。
河合先生によれば、被害者はこんなセールストークに引っかかってしまったそうです。
《うちがサブリースで一括買い上げするから大丈夫ですよ。毎月の元利の返済は50万円ですが、毎月家賃が60万円上がってサブリース料で払うので、契約して賃貸が始まったとたんに、あなたの手元に10万円残りますよ》
このように詐欺のように顧客を集めたら、不動産会社の側が苦況に陥るのは目に見えています。しかし、悪質な業者は、潰れることを前提にお金を集め、会社を破綻させて逃げ切る詐欺行為を、あえて行ないさえするのです。
かくして、巨額の負債を抱える被害者が1000人も出てしまったわけです。もちろん融資した側の銀行は、容易に非を認めません。では、いかにして1500億円の完全救済を勝ち取ったのか。……それについては、ぜひ講座本編をご覧ください。
第2話では、河合先生が、「不動産投資をする場合のポイント」を教えてくださいます。たとえば、「投資目的」でアパートやシェアハウスなどの不動産を購入する場合、驚くことに、不動産が建築される現地を見ない人も多いといいます。自分が住む物件でもないですし、サブリースで運用するので大丈夫だと思ってしまうのです。
また、スマートデイズのような悪徳業者は、様々な理由をつけて、なるべく現地を見せないようにします。そうして、駅から遠かったり、周りの環境が今一つだったりする悪条件の物件をつかませるのです。
さらに、これも当然のことですが、不動産会社やサブリース会社の優良なところと契約することが必須となります。では、どのようにして見分ければいいのか。それはぜひ、講座本編をご覧ください。
河合先生は、「不動産投資は、いわれているほど堅実な投資ではない」とおっしゃいます。「世の中には悪質不動産業者が鵜の目鷹の目、あの手この手でカモを狙っています。皆さんをカモとして狙っているので、くれぐれも注意をしていただきたい」と。
思わぬ罠に落ちないために、あるいは罠に落ちそうな家族や知人によいアドバイスをするために、ぜひ見ておきたい講座です。
(※アドレス再掲)
◆河合弘之:不動産投資の危険な罠(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4273&referer=push_mm_rcm2
----------------------------------------
☆今週のひと言メッセージ
----------------------------------------
《無財の七施》
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=1522&referer=push_mm_hitokoto
「無財の七施=七つの施し」で身につく菩薩の精神とは?
北河原公敬(東大寺長老)
「七つの施し」ともいいますが、無財とある通り、お金は要りません。心掛けでできる施しです。それを日頃から、私たちが心掛けていれば、自然と菩薩の気持ち、心、菩薩の道、それが養われるといわれます。眼施、和顔施、言辞施、身施、心施、床座施、房舎施の七つです。これを普段から実践していれば、菩薩の心が養われるのです。
----------------------------------------
今週の人気講義
----------------------------------------
なぜロシアはウクライナに侵攻したか、中国の深謀遠慮とは?
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所特任教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4393&referer=push_mm_rank
「徳」の本質とは「自己の最善を他者に尽くしきる」こと
田口佳史(東洋思想研究者)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=762&referer=push_mm_rank
日本周辺が最も危険!?米国を中心とした中国包囲網の実態
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4385&referer=push_mm_rank
『歎異抄』が伝える逆説的教え「救われないから救われる」
頼住光子(東京大学大学院人文社会系研究科・文学部倫理学研究室教授)※「頼」は、実際は旧字体
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4380&referer=push_mm_rank
家族の対話は問題解決型ではなく、「心の対話」をすべし
黒川伊保子(株式会社感性リサーチ 代表取締役社長/人工知能研究者/随筆家)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4142&referer=push_mm_rank
----------------------------------------
編集後記
----------------------------------------
今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。
さて先月末、緊急特集として「ウクライナ侵略の背景を読み解く」特集の配信を開始しましたが、あれから20日ほどが過ぎた現在も、まだまだ予断を許さない状況が続いております。改めてこの問題について考える重要性を感じている今日この頃です。
◆「ウクライナ侵略の背景を読み解く」特集
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=157&referer=push_mm_edt
そこで本日はロシアについて考えるという意味で、本村凌二先生(東京大学名誉教授/文学博士)の以下の講義を挙げておきたいと思います。
◆本村凌二:独裁の世界史~ソ連編 (全4話)
(1)ロシア革命とレーニン
革命運動で兄を失ったレーニンの情念と精神的強さ
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3878&referer=push_mm_edt
1917年のロシア革命からすでに100年以上がたっています。歴史はどう読むかによって見え方が変わりますが、どう見えても歴史から学べることは多く、いろいろな教訓が得られると思います。ぜひご視聴ください。
人気の講義ランキングTOP10
熟睡できる習慣や環境は?西野精治先生に学ぶ眠りの本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
「ブッダに帰れ」――禅とは己事究明の道
藤田一照