編集長が語る!講義の見どころ
新しい歴史常識…ソ連が画策した戦争(特集&福井義高先生)【テンミニッツTV】

2022/04/22

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。

歴史の見方が、ガラリと変わる。これは大きな知的喜びをもたらすものであり、「教養の愉しみ」の最たるものの1つといえるでしょう。

たとえば第二次世界大戦が起きた原因だけをとっても、新しい歴史資料研究などから、次々とその真相が明らかにされつつあります。

今回はテンミニッツTVが誇る「常識を覆す」歴史講座の数々を一気に紹介。ぜひ興味あるテーマからご覧ください。

■本日開始の特集:「歴史の常識」がこんなに変わっている

「正しい歴史の見方」ができているかどうか。実はこのことが、諸々の判断に「大きな差」をもたらすものです。ぜひこの機会に、歴史研究の最前線を知り、歴史の教養を大いに高めましょう。

https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=165&referer=push_mm_feat

・福井義高:第二次世界大戦をソ連から見る意味はどこにあるのか

・本村凌二:ギリシアの民主政とローマの共和政はどう違うのか

・山内昌之:なぜ徳川家治は名門大名ではない田沼意次を重用したのか

・中村彰彦:戦国時代の「戦場での食事」の驚くべき工夫とは?

・柴裕之:天下人となった織田信長が努めたのは朝廷や寺社の保護だった

・関幸彦:律令国家から王朝国家へ、採用された「請負」システムとは

・藤尾慎一郎:古墳時代成立の鍵となるのは鉄ではなく威信財や祭祀

・山田康弘:現代とは大きく異なっていた縄文時代の家族像


■講座のみどころ:レーニン、スターリンの肉声から戦争の真実に迫る(福井義高先生)

「歴史の真実」は、年月が経過して資料が出てくることによって大きく変わっていきます。とりわけ近現代史は、各国政府の情報公開のあり方によって、見え方がまったく違ってきます。

本日紹介するのは、そのことを痛感させてくれる福井義高先生(青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授)の講座です。福井先生のご専門は会計制度や国際政治ですが、近現代史についてもロシア語、ドイツ語、英語、フランス語を中心に外国語の文献を渉猟され、世界最先端の歴史分析を追ってこられました。

日本の狭い枠を超えた歴史への視点であるだけに、目を見開かされる部分が多々あります。

今回、講義をいただいたのは、第二次世界大戦へのソ連の関わりです。ひと言でいえば、「いかにしてソ連が戦争を画策したか」。

重要なポイントは、今回の講義はすべて、レーニンやスターリンの実際の発言を元にしているということです。レーニンやスターリン自身の発言から、彼らがどのようなことを考えていたかが明らかにされていく講義は、まことに知的刺激に満ちています。

◆福井義高:第二次世界大戦とソ連の真実(全4話)
(1)レーニンの思想的特徴
第二次世界大戦をソ連から見る意味はどこにあるのか
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4410&referer=push_mm_rcm1

最初に福井先生はレーニンの言葉を取り上げます。

《二つの帝国主義のあいだの、二つの資本主義的国家群のあいだの対立と矛盾を利用し、彼らをたがいにけしかけるべきだということである》

レーニンは「3つの対立を利用するべきだ」といいます。日本と米国の対立関係、米国と残りの資本主義世界全体との矛盾、そして英仏とドイツの対立です。

そして、こう語るのです。

《「われわれはこれらの国の内部で共産主義を宣伝するであろう」と言うだけですまされるであろうか。これは正しいことではあるが、これがすべてではない。共産主義政策の実践的課題は、この敵意を利用して、彼らをたがいにいがみ合わせることである》

これらは『レーニン全集』にも載せられた言葉で、その後の歴史を見ると、レーニンの見通しが当たったようにさえ見えますが、しかしそれは違うと福井先生はおっしゃいます。実際は、そうなるようにスターリンが動かしていたのです。

そのうえで、レーニンとスターリンの評価も現在、大きく変わっているといいます。「共産主義は良かったのに、スターリンが良くなかった」という定番的な意見は間違いであり、レーニンは実は極めて残酷な人で、スターリンはそのレーニンの路線を忠実に実現しようとした人物だったというのです。

レーニンの言葉に続いて、スターリンの言葉が次々と紹介されます。スパイへの警戒では、「5パーセントの本当のスパイを摘発するためには95人の無実の人間を処刑してもかまわない」という趣旨の発言をしているといいます。さらに古参ボルシェヴィキであっても、その家族も完全に根絶するとも。

悪名高い大粛清は、まさにその論理から行なわれたことでした。1937年と1938年の2年間で、処刑された人数だけで約70万人に上ります。単純計算すると毎日1000人が処刑されたことになります。

しかも、それはスターリンの残虐性が原因だったのではなく、「戦争が始まった場合、内部から攪乱するような社会の『第五列』の連中は根絶しておかなければいけない」という考えからの、戦争準備のための先制攻撃だったといいます。実際に、そのためにドイツにあそこまで攻め込まれても、ソ連国内が分裂することがなかったというのですが……。「革命の理想」がいかに悪しき回転に入っていくかを示す、まことに恐ろしい話です。

さらにスターリンは、日中戦争の泥沼化を図り、日米の分断を画策します。スターリンは日本を意識しつつ、こう発言しています。

《歴史というのはふざけるのが好きだ。ときには歴史の進行を追い立てる鞭として、間抜けを選ぶ》(1938年2月)

《今まで二年続いた中国との勝てない戦争の結果、日本はバランスを失い、神経が錯乱し、調子が狂って、英国を攻撃し、ソ連を攻撃し、モンゴル人民共和国を攻撃している。この挙動に理由などない。これは日本の弱さを暴露している》(1939年7月)

これらはモスクワを訪れた中国国民政府の代表に対して語った言葉ですが、「日本を、てのひらの上で転がしている」といわんばかりです。

さらに本講座の第4話では、独ソ不可侵条約で巧妙にナチスドイツを戦争にけしかけていく過程も描かれます。

やはり、世界の歴史研究の最前線を踏まえて、歴史観に磨きをかけていくことが不可欠です。歴史の見方に新たな一石を投じる講座です。ぜひご覧ください。


(※アドレス再掲)
◆特集:「歴史の常識」がこんなに変わっている
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=165&referer=push_mm_feat

◆福井義高:第二次世界大戦とソ連の真実(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4410&referer=push_mm_rcm2


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レッツビギン! 穴埋め問題
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今回は「40歳定年制論」についての問題です。ではレッツビギン。

私は「人生(    )」と呼んでいるのですが、そうしたいろいろな働き方を、人生を三つぐらいに区切って行えるようにするということです。こういう働き方の方が、より充実しているし、高齢化と少子化が進んでいく日本では、より必要とされることではないか。これが、40歳定年制のプランの趣旨でした。

さて(    )には何が入るでしょう。答えは以下にてご確認ください。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=1652&referer=push_mm_quiz


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編集後記
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今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。

さて今回は、本日配信開始となった以下、福井義高先生の新講義を紹介いたします。

「陰謀論」という陰謀――近現代史研究に警鐘を鳴らす
福井義高:日本人が知らない近現代史~陰謀論と歴史修正主義を考える
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4414&referer=push_mm_edt

「陰謀論と歴史修正主義を考える」というテーマで解説される今回の講義。タイトル通り、まさに日本人の知らない近現代史について学べる貴重な講義です。

冒頭で編集長が紹介しました福井先生のシリーズ講義「第二次世界大戦とソ連の真実」 (全4話)も大変好評ですが、こちらの新講義と合わせてご視聴いただくと、より理解が深まります。ぜひご覧ください、