編集長が語る!講義の見どころ
ウクライナ侵略で激変する世界秩序/特集&小原雅博先生【テンミニッツTV】
2022/06/07
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上です。
ウクライナ侵略は、なおも続いています。第二次世界大戦後の世界で、ここまで露骨に「侵略性」を帯びた戦争もなかったといえるかもしれません。
しかも報道によれば、プーチン大統領はロシアの国営テレビによる6月5日の放送で「米欧が供与した長距離攻撃兵器がウクライナに配備された場合、これまで攻撃対象としてこなかった対象も攻撃する」と述べたといわれます。これまでの「核恫喝」と併せ、戦争の拡大を辞せぬ発言であり、まったく予断を許しません。
いわば、「第二次世界大戦後の国際常識」が根本から覆されているともいえます。今後、世界秩序はどのようになっていってしまうのでしょうか。
■本日開始の特集:ウクライナ侵略で激変する世界秩序
本日は、そのことについて考える特集を紹介いたします。はたして、何が変わってしまったのか。世界はどこに向かおうとしているのか。そして、そのなかで日本は、いかなる戦略をとるべきなのでしょうか。
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=170&referer=push_mm_feat
・小原雅博:ロシアによるウクライナ侵略で国際政治はどう変わったのか
・田口佳史:ウクライナ侵攻からトップが学ぶべき『孫子』の教え
・山内昌之:プーチンの核恫喝で生じた「エスカレーションのジレンマ」
・山内昌之:アメリカを「舐められた獅子」に貶めるロシア、中国、イラン
■講座のみどころ:プーチン大統領の論理、世界の論理(小原雅博先生_)
本日、特集のなかからピックアップするのは、5月27日から配信がスタートした小原雅博先生(東京大学名誉教授)の「ウクライナ侵略で一変した国際政治」講座です。
小原先生は、これまでのロシアと米欧の交渉の歴史や、情報戦の様相などにも触れつつ、これから世界秩序がどのように変わっていくのか、また世界の現状はどうなっているのかをお示しくださいます。
これからの世界を見通すために、知っておくべき知識が満載です。
◆小原雅博:ウクライナ侵略で一変した国際政治(全5話)
(1)歴史的経緯とNATOの存在
ロシアによるウクライナ侵略で国際政治はどう変わったのか
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4487&referer=push_mm_rcm1
小原先生はまず、ベルリンの壁が崩れ、ソビエト連邦が崩壊した当時から話を始めます。
当時、共産主義(東側)陣営が崩れ、東側の軍事同盟であった「ワルシャワ条約機構」が解体されるなかで、ヨーロッパの安全保障をどうするかが課題になります。
このとき、アメリカやドイツなどは、「NATO(北大西洋条約機構)の東方拡大はしない」と約束しました。
当時は、ロシアがNATOに加盟することも含めて議論がなされていました。プーチン大統領も、大統領になる前の欧米メディアへのインタビューで「NATOに入る気はありますか」と聞かれて「イエス」と答えたといわれます。
NATOに変わる新しい安全保障の枠組みをつくろうという考え方もありました。
ところが、第二次世界大戦後、ソ連から酷薄な抑圧を受け続けた東側諸国(ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリーなど)からすれば、ふたたびロシアの脅威にさらされるのは何としても避けたいところ。各国で、「NATOに加盟して安全保障を確立したい」という機運が盛り上がります。
このようななか、「東方拡大をしない」ということが、あくまで口約束だったこともあって、現実的な対応として、東側諸国がどんどんとNATOに加盟していくこととなります。これはロシアからすれば「裏切り」であり「脅威」でした。
さらにウクライナやグルジアなどで、親ロシア派の政権を覆す「カラー革命」と呼ばれる出来事も起きました。これはロシアの論理からすれば、「本土に介入される」ようなものです。(もちろん、ウクライナやグルジアなど、ソ連時代に苛酷な支配下に置かれた地域からすれば、それはロシアの勝手な論理なのですが)。
かくしてプーチンは、ウクライナのゼレンスキー政権を「ネオナチ」と称し、第二次世界大戦の折のソ連のスローガンである「大祖国戦争」の正義と重ね合わせるかたちで、ウクライナ侵略に打って出ることになるのです。
しかし、よく知られているように、ゼレンスキーはユダヤ系であり、これをネオナチと呼ぶのは、明らかに言いがかりであって、「ニセ情報によるプロパガンダ」です。まさに熾烈な情報戦が展開されているのです。
情報戦やプロパガンダの本質や、それを見極める困難さについては、小原先生が第4話で解説してくださっていますので、ぜひご覧ください。
さて一方、このようなロシアの動きを受けて、国際秩序も大きく変動しています。
たとえばドイツも、この機会に戦後の平和主義的なスタンスを転換して、ウクライナへの兵器供与や自国の軍事費の増大に一気に踏み込みました。
しかし、欧州はロシアに大きくエネルギー依存をしています。実際にロシアは、天然ガス価格の値上がりにより、財政収入を増やしているともいわれます。はたして、これから欧州はどうなっていくのか?
また、「中国がこの状況をどう見ているか」「台湾危機がどうなるか」も、日本としては大いに注目すべきところです。
小原先生は、アメリカはウクライナに対しては、「アメリカ兵は派遣しない」と言及していましたが、台湾については「台湾関係法」をはじめとした体制をつくっています。さらに、中国が台湾に侵攻したときにどうするかということでいえば、限りなく「関与」に近いあいまい戦略をとっています。
このようななかで、「一方的な武力による現状変更」を中国がなおも志向するのか、それとも……。
まさに現状は日本にとって「対岸の火事」ではありえません。
ここで気にかかるのが、世界の現状です。日本では「反ロシア一色」の報道がなされていますが、実は、国連の議決を見ると、必ずしもそうなってはいないことを、小原先生はご指摘くださいます(第5話)。その具体的な状況は……、ぜひ講座本編をご覧ください。
日本のこれからを考えるために、まさに必見の講座です。
(※アドレス再掲)
◆特集:ウクライナ侵略で激変する世界秩序
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=170&referer=push_mm_feat
◆小原雅博:ウクライナ侵略で一変した国際政治(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4487&referer=push_mm_rcm2
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☆今週のひと言メッセージ
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《「足るを知る者は富む」》
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2882&referer=push_mm_hitokoto
なぜ「生きているだけで100点」と思えるのか
田口佳史(東洋思想研究者)
神藏孝之(松下幸之助記念志財団専務理事/松下政経塾副塾長)
「孤独に強い」というベースに、絶対的存在との同行は、重なり合うものなのです。むしろ絶対的孤独の上でなければ、そのことに気付かないだろうと思うのですね。絶対的孤独が身に染みているときだからこそ、常にこの辺にいてくれることが何よりもありがたい。私はそれを、「生きているだけで100点」と言っているわけです。また、老荘思想でいえば、「足るを知る者は富む」と言っているわけです。
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今週の人気講義
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https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4482&referer=push_mm_rank
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編集後記
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皆さま、今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。
さて、先週金曜日(6/3)から「編集部ラジオ」が配信開始となりましたが、おかげさまで数多くの皆さまにお聴きいただきまして、大変有難く存じます。
誰かに教えたくなる、オススメ講義Vol.1
テンミニッツTV編集部
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4447&referer=push_mm_edt
動画メディアであるテンミニッツTVが、音声だけという真逆のコンテンツをお届けするということで、ある意味とてもチャレンジ的な試みではあるのですが、皆さまから温かいお声がいただき、大変勇気を頂いた次第です。
ちなみにラジオについてですが、世界で始めてのラジオ放送が開始されたのはアメリカで1920年のこと。日本では、1925年に初となるラジオ放送が始まったのですが、そのきっかけとなったのが1923年9月1日に発生した関東大震災。その際、情報不足による混乱が生じたことで、情報伝達のための貴重なメディアとしてラジオの必要性が認識されるようになり、ラジオ放送の開局への動きが進んだそうです。
ということで、約100年の歴史を持つ「ラジオ」の貴重性を感じながら、今後も皆さまと教養の素晴らしさ、知の楽しみを共有するため、配信を続けていきたいと考えております。今後ともぜひご期待ください。、
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