編集長が語る!講義の見どころ
本物の教養論~教養の身につけ方/特集&長谷川眞理子先生【テンミニッツTV】
2022/06/10
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
テンミニッツTVは「教養動画メディア」と銘打っていますし、弊メディアをご活用いただいている皆さまも、「教養」「リベラルアーツ」を身につけようとお考えの方々が多いと思います。
では、そもそも「教養」とは何なのでしょうか。教養は、いかに自分を高めてくれるのでしょうか。そして、どのようにして「教養」を身につければいいのでしょうか。
■本日開始の特集:本物の教養論~いまこそ学ぶべき「教養」の意味
教養とは「いろいろなことを知っている」というだけではない……それは、多くの皆さまが、様々なシチュエーションで痛感していることでしょう。では、教養とはいったい何なのか。どうすれば身につけることができるのか。テンミニッツTVならではの「本物の教養論」を一挙紹介します。
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=112&referer=push_mm_feat
・長谷川眞理子;一市民として「自分で考える人間」を育てる基礎が教養
・橋爪大三郎:『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
・津崎良典×五十嵐沙千子:「哲学カフェ」再現講義第二弾「教養とは何か」語り尽くす
・出口治明:教養とは「知識×考える力」である
・柳川範之:隠れている好奇心をあぶり出す癖をつけるのが教養の第一歩
・納富信留:古典を学び、教養ある人間を目指すことがヨーロッパの理想
・童門冬二:学ぶ気持ちがあれば、どこでも書斎になる
■講座のみどころ:「今、ここ」からの飛躍のための教養(長谷川眞理子先生)
本日は特集のなかから、「教養とは何か」について、長谷川眞理子先生(総合研究大学院大学長)が本質をつく議論を展開くださった講座を紹介します。
長谷川先生は、さまざまな書籍を引用しつつ、明確な教養像を描いてくださいます。自らにとって必要な「知の力」について考えるうえで、必見の講座です。
◆長谷川眞理子:「今、ここ」からの飛躍のための教養(全2話)
(1)4つの「限界」と「知の体系」を知る
一市民として「自分で考える人間」を育てる基礎が教養
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4480&referer=push_mm_rcm1
長谷川先生は、まず、斉藤洋さんの絵本『ルドルフとイッパイアッテナ』をご紹介くださいます。これは飼い猫だったルドルフが野良猫になって、イッパイアッテナというボスに出会い、成長していく物語です。
あるとき、ルドルフは野良猫仲間の1匹が、あるメス猫に恋心を抱いているらしいと勘ぐる。するとイッパイアッテナは、「教養のある猫というのは、そういうことは聞かないものだよ」と指摘するのです。
さて、どうして友だちの恋心について聞かないことが「教養のある」ことなのか?――いわばこれが、この講座の「枕」です。
次に長谷川先生は、東京大学教養学部の学部長をお務めになった石井洋二郎先生が『大人になるためのリベラルアーツ』『リベラルアーツと外国語』という本で教養について定義している内容を紹介くださいます。
《リベラルアーツの「リベラル(liberal)」は「リベレート(liberate)」と同じ語源なので、「解放する」という意味がある。普通の人が持つ「限界」から解放されて、新しい見方や統合的な見方ができること。ということは、まず、たくさん知ったという蓄積がないといけない。たくさんのことを知った上で、ある価値観のもとに構造化していくと、普通には見えなかったり気づかなかったりする》
《限界とは、「知識の限界」「経験の限界」「思考の限界」「視野の限界」である。これらを知るためには、まず自分に限界があること自体を知ること。そして、それを壊していける能力が、「今、ここ」からの飛躍になる》
非常に、イメージがつかみやすい定義です。
さらに、テンミニッツTV編の書籍『現代のリベラルアーツとは何か』に書かれた、小宮山宏先生の次のような定義も紹介されます。
《この情報爆発の時代、めまぐるしく社会状況が変化する時代に『よりよく生きるため』には、教養的な知が必要であり、それは武器になる》
このようにいくつもの定義を示してくださったうえで、長谷川先生は、ご自身が教鞭をとったことがあるイェール大学の教養学部の事例や、あるいはケンブリッジ大学での夕食の模様などをお話しくださるのです。
たとえば、ケンブリッジ大学のカレッジの夕食では、様々な専門の先生が集まって食事をするのですが、その場で長谷川先生は大いに困惑したのだといいます。
《「あなたは何をやっているのか」と聞かれて、「鹿の行動生態学です」と答えると、「鹿の行動生態学って、何なの」と言われる。一方で「量子力学の研究は、今どこまで進んでいるのか」のような話もしながら食べないといけない。ですから、どんなことを振られても、一応自分なりの意見や疑問を言えないとなりません》
このような多様な話題について自分の意見や疑問を言えるためには、「知識を構造化しなければいけない」と長谷川先生はおっしゃいます。では、それは具体的には、どのようなことなのか。
それについては、ぜひ講座本編をご参照ください。
そのほかにも、教養学部を廃止した日本の近視眼ぶりや、逆に日本のかつての教養主義のペダンティック(衒学的)な問題もご指摘くださっています。
長谷川先生ご自身が経験された具体例も満載で、「教養」について深く理解することができます。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆特集:本物の教養論~いまこそ学ぶべき「教養」の意味
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=112&referer=push_mm_feat
◆長谷川眞理子:「今、ここ」からの飛躍のための教養(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4480&referer=push_mm_rcm2
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レッツビギン! 穴埋め問題
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今回は縄文時代の「木材利用」についての問題です。ではレッツビギン。
縄文時代には、( )は大変重要な植物でした。もちろん食べ物としても使えますが、より重要であったのは建築材、木材としての用途です。
例えば、青森県の三内丸山遺跡では、直径が1メートル以上もある大きな ( )を用いて、大きな建物を建てていたことが分かっています。
さて( )には同じ言葉が入ります。どんな言葉が入るでしょう。答えは以下にてご確認ください。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2961&referer=push_mm_quiz
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編集後記
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皆さま、今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。
さて本日は、先月(5月)人気の高かった講義を3つ紹介いたします。
10分でわかる「死と宗教」
橋爪大三郎(社会学者/東京工業大学名誉教授/大学院大学至善館教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4440&referer=push_mm_edt
「ウクライナの悲劇」について考えるための3つの観点
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所特任教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4467&referer=push_mm_edt
10分でわかる「スティーブ・ジョブズ」
桑原晃弥(経済・経営ジャーナリスト)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4439&referer=push_mm_edt
ジャンルの違いこそあれ、いずれもシリーズとしても人気の高い講義です。
なかでも桑原先生の講義は、明日(6月11日)第8話「人を魅了する生き方」、来週土曜日(6月18日)第9話「なぜ『禅』に魅せられたのか」がそれぞれ配信となる予定ですが、それらも含めシリーズを通して、ジョブズの名言や逸話をもとに彼の成功哲学が分かりやすく解説されています。ぜひ続けてご視聴ください。
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「ブッダに帰れ」――禅とは己事究明の道
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