編集長が語る!講義の見どころ
社会はAIでいかに読み解けるのか(テンミニッツTVメルマガ)

2020/06/17

皆さまこんにちは。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
今般のコロナ禍によって、いかに日本がデジタルで世界に後れを取っているかが露呈しました。オンライン教育にしても、オンライン医療にしても、また給付金支給などのデジタル化についても、日本の姿は決して世界に誇れるものではありませんでした。

これから日本は、デジタル化、オンライン化、AI活用について、いっそう力を入れて推進していかねばなりません。では、AIが発達したら、たとえば経済の動きや経済分析は、いかに新しくなっていくのでしょうか。

そのAIと経済学の論点について柳川範之先生(東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授)と松尾豊先生(東京大学大学院工学系研究科人工物工学研究センター技術経営戦略学専攻教授)に縦横無尽に語っていただきました。両先生は日頃からゼミレベルでの交流を進めるなどしておられることもあり、興味深い議論が次々に展開する、珠玉の講義になりました。

◆柳川範之×松尾豊:社会はAIでいかに読み解けるのか(全8話)
(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3332&referer=push_mm_rcm1

柳川範之先生は、昔の経済学は、しっかり世の中を見通せる思想家のような人がいて、「世の中はこういうふうに動かしていくべきなのではないか」という、自分の思想を伝えるものだったとおっしゃいます。現実を観察した事実や、簡単なデータなどに基づいて理論モデルを組み立てるわけですが、その際には、かなり思想や直感も入っていたというわけです。

このような方向性がAIによってどう変わるのでしょうか。松尾豊先生は大きく2つの要因があるとおっしゃいます。1つはインターネットやPOSなどで、たくさんのデータを取れるようになったこと。もう1つは「多数パラメータ」が可能になったことです。

「多数パラメータ」とは何か。
従来の科学技術では、ニュートンの法則やオームの法則のように、基本的には変数の数(パラメータの数)をできるだけ絞ったほうが良いとされてきました。

ところが、ディープラーニングの進展で、多数のパラメータを使っても、きちんとしたモデル化が可能となり、しかも予測精度が非常に高いことがわかってきたのです。その代表例が画像認識やアルファ碁のようなゲームだと松尾先生はおっしゃいます。AIがディープラーニングで組み立てたモデルを見ても、人間は何をやっているか、いま1つわからない。しかし、実際に囲碁を打たせると、勝ってしまう。

つまり、たくさんのデータとたくさんのパラメータを用いて予測できる可能性が非常に大きくなってきているのです。

では、そのような手法が一般的になってきたときに、どのようなことが起きてくるのか。このご対談講義では、たとえば次のようなことについて、その方向性を問う議論が展開していきます。

●マルクスは、社会条件が変わっていくプロセスについていくつかのパラメータを意図的に抽出して論じ、革命は必然だと喝破したが、AIの時代には、社会の大きな動きをどのように分析するようになるのか。
●タピオカのようなブームを、AIは見つけることができるのか。
●人びとの満足度を、AIはいかに測るのか。
●情報技術の発達によって「物々交換」のような経済行為が大規模に復活しつつあるが、それをどう考えるべきか。
●GDPは、なお有効な指標たりうるのか。
●これまでは地域毎の需要の差や、時間の差などの「情報の非対称性」を活用して大きな利益を得ることも行われてきたが、それは今後どうなるのか。
●「この先、こうなるはずだ」というような経営者の直感や嗅覚を、AIが代替できるようになるのか? 結局、社会現象は予測できるようになるのか?

いま目前に現れつつある「次の時代」を読み解くうえで、非常に示唆に富む講義です。ぜひご覧ください。

◆柳川範之×松尾豊:社会はAIでいかに読み解けるのか(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3332&referer=push_mm_rcm2


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『サピエンス全史』と『ホモ・デウス』に学ぶBIG History
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https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2783&referer=push_mm_rank

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津崎良典(筑波大学人文社会系准教授)
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レッツトライ! 10秒クイズ
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「医療・健康」ジャンルのクイズです。
哺乳類の排尿時間(おしっこの時間)は体の大きさに関係なく約〇秒で、ヒトの場合、調査結果から20歳から50歳の健常男性もほぼ同じだったそうです。〇に入る秒数は?
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2539&referer=push_mm_quiz

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編集後記
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編集部の加藤です。
本日配信の新着講義は[コロナ禍で問うべき「転換期の在り方」(1)身体思考と天意]ですが、1年前の今日の新着講義はどんな講義だったかというと、岡村定矩先生(東京大学名誉教授)の[現在の宇宙の姿(5)宇宙のスケールモデル]でした。
スケールモデルを使って宇宙の大きさを実感する講義で、例えば太陽を直径4 センチメートルのピンポン球としてスケールモデルを作ると、地球は砂粒くらいの大きさだそうです。
まさに宇宙の壮大さを感じるわけですが、1年後の今日は天意についてのお話ということで、物事を大きく捉えると見えてくるもの、伝わってくる意味も変わる、ということを二つの講義から、個人的にですが感じた次第です。いずれも興味深い講義です。ぜひご視聴ください。

<[現在の宇宙の姿(5)宇宙のスケールモデル]はこちらからご視聴いただけます>
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2714&referer=push_mm_edt

<[コロナ禍で問うべき「転換期の在り方」(1)身体思考と天意]はこちらからご視聴いただけます>
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3431&referer=push_mm_edt