編集長が語る!講義の見どころ
グローバリズムの「終わりの始まり」/中西輝政先生【テンミニッツTV】

2022/07/26

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です

ご案内しております鎌田東二先生(京都大学名誉教授)の下記ウェビナーの申込み締切りが、いよいよ「本日(7月26日)」までとなります。お申し込みがまだの方は、ぜひどうぞ。

◆鎌田東二:宮沢賢治「銀河鉄道の夜」を読む
日時:7月28日(木)19:00~20:30予定(質疑応答含む・当日リアルタイムの生配信)
(申込みページ)
https://10mtv.jp/seminar/202207/index.php?referer=push_mm_new_function

参加無料(会員限定)で、参加登録いただけます。


さて本日は、中西輝政先生(京都大学名誉教授)の講座を紹介いたします。

新型コロナ禍と、ウクライナ戦争を経て、世界はどうなっていくのか。中西先生は、19世紀から第一次世界大戦への歴史も振り返りつつ、「グローバリズムが終わりを迎えようとしているのではないか」と指摘されます。歴史を振り返れば、未来のことが見えてくる。そのことが痛感される講座です。

◆中西輝政:グローバリズムの“終わりの始まり”(全4話)
(1)戦争が終わらせるグローバリゼーション
「21世紀の第一次大戦」を想起させる3つの要素
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4512&referer=push_mm_rcm1

まず中西先生は、産業革命以後、第1次世界大戦までグローバル化が進んだ状況をご説明くださいます。交通手段、通信手段の技術的大発展や、貿易の伸展によって、モノ・カネ・ヒト・情報が大いに行き来するようになったのが第1次世界大戦までの姿でした。

その恩恵を大きく受けたのがアメリカです。大陸横断鉄道や近代工業化の資金を誰が投資したかといえば、イギリスをはじめとした欧州の金融資本でした。

しかし、そのような流れが第1次世界大戦を契機に逆転していくことになります。当時の国際金融のベースであった金本位制を停止し、国外への資本流出を避け、サプライチェーンの外国依存が見直され、保護貿易で国内産業を保護して外国の製品を排除し、ナショナリズムが高まる。

この流れが第2次世界大戦に帰結することになります。そして第2次大戦後も、冷戦によって世界は分断され、また新興独立国も反植民地主義の気概から計画経済的なあり方へと歩を進めました。この方向性が激変したのは、冷戦の終焉後のことでした。人々が「グローバリゼーションが本当の意味で実現する」と信じた時代の到来です。

ところが2008年のリーマンショックのころからアメリカ経済も後退し、経済ナショナリズムが高まり、それを中央銀行の大幅な金融緩和で克服したかと思ったところで、戦争状態が出現してしまった。

中西先生は、「パンデミック」「米中対立」「ウクライナ戦争」の3つが、「21世紀の第1次世界大戦=グローバリズムを終わらせるもの」だと喝破します。

続いて中西先生は、歴史というものは、一直線に進むものではなく、大きな振り子運動のように進んでいくのであり、その点で日本人の認識は大いに遅れていると強調します。

日本人はグローバル化の基点を冷戦崩壊後と捉えるが、実は非常に重要な曲がり角は1979年だと欧米の学者やジャーナリストが論じていることを、中西先生はご紹介くださいます。そこで「価値観」が大きく変動したというのです。どのようなことかは、ぜひ講座第2話をご覧ください。

そのようなお話を経て、中西先生が次のように指摘されるのは、きわめて重要でしょう。

《歴史は明らかにサイクルを描いている。あるいは振り子を振っているといえると思います。ただ、それは同じところを行き来しているわけではありません。サイクルを描いていても、螺旋上に、また別の大きな進行方向をもって変化している。振り子は振っていても、振り子の平面がまた変わってくる。
 だから、グローバリゼーションはおそらく深い意味では終わることはないと思います。その大きな方向性は、やはり地球が一つになっていき、人びとがより対等になり、人権が重んじられて、男女格差、世代格差、年齢の格差なども解消されていくといったものです。あるいは地球環境の問題といった新時代の価値観は次の時代も引き続いて、大きな方向と求められるものは依然として変わらないでしょう。そこで、螺旋状に世界が変わっていく大方向を考える。これも私は「グローバリゼーションの終わり」を考えるときの知的チャレンジとして、非常に有益な知的副産物をわれわれにもたらしてくれる試みになるのではないかと思います》

そのように大きな方向性を見据えたうえで、中西先生はさらに「ウクライナ戦争で米中の派遣競争の帰趨(きすう)が決した」と喝破します。

世界は再び西側陣営と中露陣営とに分かれた。残る第三勢力の国々へいかにアプローチするが重要であり、「知恵の賢明な外交」が今後は重要になってくる。

そのような世界で、日本は、「新しい価値観」の世界を築き、国際社会を穏便なかたちでまとめていくうえで重要な役割を担うべきである。そして、日本がやってはいけないのは、「米中の二股を掛ける外交」にほかならない。「それ行け、どんどん」と進むことも危険だが、民主主義に水を差すような後ろ向きの卑怯な対応は大問題である……。

中西先生はそのように見通されます。それぞれの詳細は、ぜひ講座の第3話、第4話をご覧ください。

現在、われわれがどこにいるのかを、巨視的に考えられるようになる講座です。世界が大きく激変しているいまだからこそ、必見です。

(※アドレス再掲)
◆中西輝政:グローバリズムの“終わりの始まり”(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4512&referer=push_mm_rcm1


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☆今週のひと言メッセージ
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《噛むことは、薬なしで自立をもたらす》
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3412&referer=push_mm_hitokoto

健康長寿の究極は予防歯科である
河原英雄(日本顎咬合学会元会長(現顧問)/医学博士)
上濱正(日本顎咬合学会元理事長/ウエハマ歯科医院院長/歯学博士)

私は、5年寝たきりよりも1週間自立して、自分の好きなものを食べたり散歩できたりするほうが、幸せな人生であると思っています。要するに噛むことは、薬なしで自立をもたらすのです。ということで、口腔の健康にとって一番重要なのは、やはり予防歯科です。健康長寿の究極は予防歯科なのです。


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今週の人気講義
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『真空地帯』を想起させるロシア軍の腐敗という根深い問題
山内昌之(東京大学名誉教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4541&referer=push_mm_rank

多くの認知症の原因は「脳のゴミ」の蓄積
遠藤英俊(元・国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 長寿医療研修センター長)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2297&referer=push_mm_rank

10分でわかる「源氏物語の基礎知識」
林望(元東京藝術大学助教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4503&referer=push_mm_rank

禅の原点とは――中国から禅をもたらした道元の生涯に迫る
頼住光子(東京大学大学院人文社会系研究科・文学部倫理学研究室教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4514&referer=push_mm_rank

世界から「ワイルドカード」といわれる日本の大問題
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4466&referer=push_mm_rank

※頼住光子先生の「頼」は、実際は旧字体


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編集後記
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皆さま、今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。

さて、本日より新講師である武田俊太郎先生(東京大学大学院工学系研究科准教授)のシリーズ講義〈本当によくわかる「量子コンピュータ入門」〉が配信開始となります。

◆武田俊太郎:本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(全4話予定)
(1)量子コンピュータとは何か
10分でわかる「量子コンピュータとは何か」
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4544&referer=push_mm_edt

この講義は、近年重要なキーワードとして各界で注目を集める「量子コンピュータ」について、とても分かりやすく丁寧にしかも簡潔に解説されている講義です。
2話目以降も「コンピュータの歴史」「量子コンピュータの仕組み」「量子コンピュータの開発の現状」と、量子コンピュータについていろいろな角度からその内容について知ることができます。
今後いろいろと期待される「量子コンピュータ」ですので、この機会にその基本をしっかりと学びたいものです。
毎週火曜日配信で全4話予定です。ぜひ続けてご視聴ください。