編集長が語る!講義の見どころ
岸田政権の「失敗」と日本経済の「壁」/特集&島田晴雄先生【テンミニッツTV】

2022/09/30

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です

世界各国が、インフレ抑制のために利上げを急ぐなか、いよいよ世界的なリセッション(景気後退)に入るのではないかという懸念が高まっています。

ただし、それ以前の問題として、日本は長期にわたって世界経済の成長から取り残されてきた感もあります。

なぜ、そうなってしまったのか。

経済の厳しさの原因を周りに求める前に、まずは自分自身のことを振り返ってみることも大切なことでしょう。ニュースがどんどんと消費されていくなかで、案外、本質を正しく理解していないことも多いものです。

■本日開始の特集:日本経済の「壁」はどこにあるのか

日本経済の低迷がいわれて久しくなります。世界経済が好調なときも取り残され、世界経済が不調のときには、なぜか人並み以上の打撃を受けてしまう……。日本経済の「壁」はどこにあるかを分析することなしに、進むべき道は見えてこないのではないでしょうか。

https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=184&referer=push_mm_feat

・島田晴雄:岸田内閣の「新しい資本主義」とは?その実態に迫る

・伊藤元重:賃金も物価も上がらない日本、円安との密接な関係

・柳川範之:MRJの失敗にみる「日本のものづくり」の問題点

・猪瀬直樹:カーボンニュートラル革命が今、ビジネス世界で起きている

・西山圭太:10分でわかる「日本企業・2つの失敗」


■講座のみどころ:岸田内閣「新しい民主主義」を徹底検証(島田晴雄先生)

今回の特集の冒頭に掲げるのは、岸田内閣が唱える「新しい資本主義」の本質的な問題点について、島田晴雄先生(慶應義塾大学名誉教授)が痛烈にご指摘くださった講座です。

岸田総理がいつ、何をいってきたのか。それがどれほどブレているのか。また、どこがどのように誤っているのか。

そのようなことは、整理してみないとよく把握できず、ただただ、ニュースとして流れ去ってしまいかねません。しかし、島田晴雄先生が的確にまとめてくださった本講座を視聴すると、背筋が寒くなってきます。

◆島田晴雄:岸田内閣「新しい資本主義」を徹底検証(全4話)
(1)「新しい資本主義」の要点
岸田内閣の「新しい資本主義」とは?その実態に迫る
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4625&referer=push_mm_rcm1

この講座の冒頭で、島田先生は次のように喝破します。

《私はこれ(岸田政権の「新しい資本主義」)を「七夕資本主義」と呼ぶことにしています。なぜかというと、しっかりした中身はないが、やりたいことは七夕の短冊のようにたくさん下がっているからです》

まことに痛烈です。しかも、講座をずっと視聴していくと、これがいかにピント外れで、ブレブレかが理解できるようになります。

第1話で島田先生は、産業革命からの資本主義の歩みをざっと総覧したうえで、「新しい資本主義」の位置づけを検討していきます。たしかに「新しい」資本主義というのですから、そのような展望は必要不可欠であるはずです。ここまでのビジョンを、コンパクトにわかりやすく示してくださるのは、まさに島田晴雄先生の講義ならではです。

ここで島田先生はおもしろいエピソードをご紹介くださいます。2022年1月にテレビ会議で日米首脳会談が行なわれたとき、一生懸命に「新しい資本主義」を説明する岸田総理に、バイデン大統領が「文雄、それは私の選挙公約じゃないか」といったという話です。

しかしここで島田先生は、英米と日本では直面する問題が大きく異なり、英米では的を射ていても、「日本には全然適合しない」と一刀両断します。それがどのようなことかは、ぜひ第1話をご覧ください。

第2話で検証されるのは、岸田内閣が唱える「分配」の問題点です。

最初に言及されるのが、2021年暮れに行なわれた「18歳以下への10万円給付」です。これは「急いでやるから」という理由で、児童手当の仕組みを流用したので、親の所得が960万円未満の家庭に給付されました。

このことについて、島田先生は次のように厳しく言及されます。

《経済政策としてはものすごく非効率です。高所得者も含んでしまうからです。救済なのか、消費喚起なのか、よく分かりません。救済だとしたら、とんでもない間違いです》

まさにご指摘のとおりでしょう。

そのうえで島田先生は、当時、島田先生ご自身が大学の理事長として学生に給食を行なった話、さらに、何十人かの経営者と一緒にお金を集めて子どもへの食事を支援した話をご紹介くださいます。本当にやらなければならないことが何だったのか、課題は何かが、ひしひしと伝わってきます。

第2話でもう1つ取り上げるのが、「賃上げを促進する税制」です。これは安倍政権でも行なわれた政策ですが、「あとでいろいろと計算すると、ほとんど効果がなかった」といいます。

2000万円分税額控除してくれるとなれば、2000万円分に相当する賃上げはするが、それ以上はするわけがないからというのですが、それはどのようなことか。また、賃上げのためには何が必要かについては、ぜひ第2話をご覧ください。

第3話では、中味がいかにコロコロ変わっているかが検証されます。

島田先生は時系列で順を追って分析してくださいます。こうしてこそ、いかに「七夕の短冊」的かよくわかります。そのうえで島田先生は、こうおっしゃるのです。

《国民が理解して、政府と理解を共有し、国民のエネルギーを集中する。そういう道筋や、国民を沸き立たせるようなものがどこにもなく、専門家を納得させるようなものもありません》

まさに、ご指摘のとおりでしょう。ここも必見の分析です。

第4話では、「人への投資」と「科学技術戦略」について詳述くださいます。島田先生のお話を聞くにつれて、どこがダメで、本当は何が必要なのかも見えてきます。

第4話の最後で、島田先生はこうおっしゃいます。

《私は、英語で岸田首相の「新しい資本主義」を解説する時には、“Christmas Tree Capitalism”と呼んでいます。お飾りはたくさんありますし、岸田首相は聞く耳があって人柄は良い人なので、とかく総花的になるのでしょう。
 それぞれの短冊は、おそらく担当部局が提案し、作文して総理のところに投げたものだと思います。官僚機構の総司令官である岸田首相の時代認識と基本戦略が見えないので、基本方向、戦略の優先順位、重点戦略と政策、政策の相互連関、実装するための方法論、財源、評価方法などが一切不明です。このままだと、残念ながらおそらく何も実現しないでしょう。黄金の3年間は何もしないで済んでしまうのではないかと心配です》

現在の問題点がきわめてクリアに浮き彫りになる講座です。ぜひご覧ください。


(※アドレス再掲)
◆特集:日本経済の「壁」はどこにあるのか
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=184&referer=push_mm_feat

◆島田晴雄:岸田内閣「新しい資本主義」を徹底検証(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4625&referer=push_mm_rcm2


■お得な「年間プラン」のお知らせ

皆さまに、よりお得にテンミニッツTVをご利用いただくべく、「年間プラン」の提供を開始いたしました。

【年間プラン=年額19,800円(税込)】

クレジットカード決済のみの対応で、一括でのお支払いになりますが、通常プラン「月額1,980円」で12カ月お支払いいただくよりも、「年間で3,960円お得に」なります(月額換算:1,650円)。

変更方法などは下記からご覧ください。

https://imagineer.edmode.com/sugotoku/new_page.php?hash=WvU3neIPYp&referer=push_mm_new_function


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レッツビギン! 穴埋め問題
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今回は「百人一首」についての問題です。ではレッツビギン。

(『百人一首』にでてくる歌人は)現在の通説では、鎌倉期の1235年ごろに、のちに「歌聖」と崇められた(    )が選んだのだろうといわれています。『明月記』という漢文で書かれた彼の日記の中に、どうやらそれらしい記述が出てくるからです。

(    )には人物名が入ります。さて何が入るでしょう。答えは以下にてご確認ください。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2200&referer=push_mm_quiz


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編集後記
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皆さま、今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。

さて、お待たせしました。今回は、本日(9月30日)より配信開始となりました小宮山宏先生(東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長)と長谷川眞理子先生(総合研究大学院大学長)による対談講義〈現代人に必要な「教養」とは?〉をご案内いたします。

◆小宮山宏/長谷川眞理子:現代人に必要な「教養」とは?(全8話予定)
(1)そもそも教養とは何か
東大生に伝えた、教養にとって大事な「3つのキーワード」
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4649&referer=push_mm_edt

こちら、6月29日に開催されましたウェビナーの模様を全8話のシリーズ講義としてお届けする形になっております。テーマはタイトルにある通りずばり「教養」ですが、2話目以降では「教養がある人とない人の差」や「タテ社会の問題」など、両先生それぞれにとても興味深いお話を展開されています。
毎週金曜日配信予定です。ウェビナーに参加された方はもちろん、惜しくも参加できなかった方もぜひ続けてご視聴ください。