編集長が語る!講義の見どころ
人生100年時代の自分の高め方/特集&徳岡晃一郎先生【テンミニッツTV】
2022/10/07
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です
よく知られているように、マンガ「サザエさん」の「磯野波平さん」は54歳という年齢設定になっています。これは、新聞漫画として連載開始した1946年当時、定年が55歳である例が多かったためといわれます(やはり、新聞連載の場合は、サラリーマンのほうがネタに困りませんから)。
なにしろ1950年前後でも、平均寿命は男性60歳前後、女性で65歳前後でした。
しかし、いまや定年は延長して65歳となることも多く、2022年の平均寿命は男性81.47歳、女性87.57歳。100歳以上の人口も「9万526人」(ただし女性が89%)となっています。
ちなみに100歳以上の人口は、1963年にはわずか「153人」でした。1981年に1000人を超え、1998年に1万人を超えたのでした。いかに急速に100歳以上の方々が増えているかがわかります。
「人生100年時代」というのは、景気の良い掛け声ではありますが、あながち大げさともいえない時代になってきています。
当然、このような時代を前提とすれば、高齢者はもちろん若手世代も「人生戦略」を深く考えていかなければなりません。「なんとなく」で過ごしてしまったら、人生がもったいないことにもなりかねません。はたして、どうすれば良いのでしょうか。
■本日開始の特集:人生100年時代の自分の高め方
想定外の出来事が次々と起こる現代。長い人生を生きるうえで自分自身もどんどん変化し、アップデートしていく必要があります。しかし、生き方は人それぞれ……。自分はどうやってこの「人生100年時代」を生きていくかを考えるヒントとなる講座を集めました。
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=94&referer=push_mm_feat
徳岡晃一郎:「VUCAの時代」の鍵はマルチステージへのライフシフト
出口治明:日本の「定年制」はガラパゴス的で不幸を招く悪しき慣行だ
童門冬二:伊能忠敬に学ぶ、セカンドキャリアのための「工夫と覚悟」
田中研之輔:10分でわかる「プロティアン・キャリア」
為末大×柳川範之:なぜ40歳でキャリアについて一度考え直す必要があるのか
秋山弘子:人生100年時代の生き方と日本の3つの課題
■講座のみどころ:自分をいかに「アップデート」していくか(徳岡晃一郎先生)
本日は、特集のなかから、徳岡晃一郎先生の《人生100年時代の「ライフシフト概論」》講座を紹介します。
「ライフシフト」とは、ロンドン・ビジネス・スクールのリンダ・グラットン教授(組織行動論)とアンドリュー・スコット教授(経済学)が、共著で2016年に発刊した『ライフ・シフト』(邦訳は同年、東洋経済新報社)で提唱した概念です。
この『ライフ・シフト』は、これまでの標準的な3ステージ(教育→仕事→引退)は人生100年時代には間尺が合わなくなり、数多くのステージを経験するかたちに移行していくことを説きました。そしてそのために、各自がそれぞれ培ってきたスキル、健康、人間関係などの「見えない資産(無形資産)」をいかに育んでいくべきかを、多くのケーススタディとともに紹介してベストセラーになりました。
今回紹介する講座では、徳岡先生が独自の視点から、日本の状況も踏まえつつ「ライフシフト」の考え方について語ってくださいます。日本社会のなかで「人生100年時代」を生きていくための課題やヒントが、よくわかります。
◆徳岡晃一郎:人生100年時代の「ライフシフト概論」(全9話)
(1)人生100年時代のインパクト
「VUCAの時代」の鍵はマルチステージへのライフシフト
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4602&referer=push_mm_rcm1
徳岡先生は、まず前提として、最近耳にすることが多くなった「VUCAの時代」について言及されます。
「VUCA」とは「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字をとったもので、要は、変化が激しく、不透明で、何が正しいかもよくわからない時代だということです。
しかも、人生100年&人口減少、AI&DX(人工知能とデジタルトランスフォーメーション)、ポストコロナという事態が眼前に迫っています。
このような時代には、自分のレジリエンス(復元力)を高めて、人生のマルチステージを力強く生き抜いていかなければならない、というわけです。
これまでのように「1つの会社を勤めあげて、あとは引退」というかたちではなく、いろいろなステージを経験しなければならなくなるとすると、自分を「アップデート」していかなければなりません。
それを徳岡先生は「終身知創」とおっしゃいます。「人生100年時代の人生へ向けて、体験し、学習し、蓄積しつづける生き方。自分の引き出しを増やし、つながれる自分を創る意志」と定義されています。
このような生き方をしないと、会社でも社会でも「粘土」のように、愚痴ばかりをいって重く貼りつくだけの存在になってしまう……。背筋が寒くなる話です。
では、どうするか。まず大切なのは、「Will(自分が好きなことは何か)、Can(自分が得意なことは何か)、Create(自分は何をやりたいか)」を意識することだと徳岡先生はおっしゃいます。そして、その根底にあるのは、「自分はどういう人生を送りたいのだろう」という思いや夢、人生観だと。
それを実現するためには、まずは自分がこれまでの人生で積み上げてきたものを「棚卸し」して、「さらに磨き上げていく」必要があります。
ここで徳岡先生が紹介するのが、一橋大学の野中郁次郎名誉教授が提唱している「SECIモデル」です。これは「共同化(Socialization)」「表出化(Externalization)」「連結化(Combination)」「内面化(Internalization)」の頭文字をとったもの。
これは、自分が培ってきた「暗黙知(経験や直感に基づく知)」を「形式知(客観的に説明できる知識)」にして、他の「形式知」と組み合わせて、さらにそれを「暗黙知」に戻していくプロセスを繰り返していくという考え方ですが、詳しくは講座本編(第4話)をご覧ください。
徳岡先生はこの「SECI」の考え方を、自分のキャリアに応用すると、人生が豊かになるといいます。つまり、これまで自分が知らず知らずのうちに積み上げてきたものは、いわば「暗黙知」です。それを、一度、自分なりにコンセプト化し、他の知と連結させて、自分の知恵を高めていこうというのです。
さらに徳岡先生は、最近話題の「リスキリング(再教育、能力再開発)」についても解説くださいます。とくに「人工知能革命やデジタルトランスフォーメーションで世の中が変わっていくなかで、どういうふうにリスキリングしていくべきか」ということです。
ここで徳岡先生が強調するのが、リスキリングを考えるうえでも、「世の中をよりよくしたいという『パーパス(存在意義、理念)』」を大切にするということです。「このままではAIに追いつかれて追い越されてしまうから、慌てて行なう」のではないというのですが、ここはまことに核心をついた重要なご指摘でしょう。そして、自分のスキルをどのように高めるかは第7話、第8話で言及されます。
必要な考え方がとても整理される講座です。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆特集:人生100年時代の自分の高め方
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=94&referer=push_mm_feat
◆徳岡晃一郎:人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4602&referer=push_mm_rcm2
----------------------------------------
レッツビギン! 穴埋め問題
----------------------------------------
今回は「ヒンドゥー教とカースト制」についての問題です。ではレッツビギン。
ヒンドゥー教は、このカースト制と密接不可分な関係があり、カーストの最上位の( )という人たちが宗教活動をすることになっていて、他の人は宗教活動ができないのです。だから、神様を拝む場合、そのときでも必ず( )に頼んで、( )にお祭りを執り行ってもらいます。自分たちではお祭りができないのです。
( )には同じ言葉が入ります。さて何が入るでしょう。答えは以下にてご確認ください。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2688&referer=push_mm_quiz
----------------------------------------
編集後記
----------------------------------------
皆さま、今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。
さて、最近『良い加減に生きる 歌いながら考える深層心理』(きたやまおさむ著、 前田重治著、講談社現代新書)という本を読み始めています。
https://www.amazon.co.jp/dp/4065160863/
たまたまですが、あるところで「あの素晴らしい愛をもう一度」という曲が耳にして、急に懐かしくなり、ネットで検索したら出てきたのがこの新書でした。
本の内容については機会があれば改めてお伝えしたいと思いますが、その本の中にでてくる日本人についての話がとても興味深かったので、ここで少しだけ引用いたします。
《日本人は、この同じものを「肩を並べて見る」というポジションが好きです。この横並びの反復というのは、映画『東京物語』を含む小津安二郎の作品でもくりかえし見られます。》
日本人論あるいは日本論はこれまでいろいろな本などで多様に展開されていますが、この「横並びの反復」という視点は面白いと感じた次第です。
ちなみに、テンミニッツTVでは以下の特集があります。この機会にぜひご視聴ください。
◆特集:「日本人」らしさの本質を読み解く
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=138&referer=push_mm_edt
人気の講義ランキングTOP10
「ブッダに帰れ」――禅とは己事究明の道
藤田一照