編集長が語る!講義の見どころ
スポーツの秋~アスリートに学ぶ自分の高め方/為末大先生【テンミニッツTV】
2022/10/18
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
先週の火曜日(10月11日)は、芸術の秋ということで、片山杜秀先生の「クラシックで学ぶ世界史」講座を紹介しました。
本日は、「スポーツの秋」にちなみ、為末大さんが「アスリートの透徹した考え方」「アスリートの自分の高め方」について縦横無尽にお話しくださった講義を紹介いたします。
為末さんは、皆さまご存じのとおり、陸上の400メートルハードルで、2001年世界陸上エドモントン大会と2005年世界陸上ヘルシンキ大会で銅メダルを獲得されました。これは、スプリント種目の世界大会で「日本人初のメダル」でした。さらにオリンピックには2000年シドニー、2004年アテネ、2008年北京の3大会連続で出場されています。
為末さんの本講義を視聴すると、「一流のアスリートは、ここまでのことを考えているのか」と、圧倒されます。スプリント種目での初のメダリストである為末さんは、圧倒的に強い海外の選手たちと次々と戦ってきたわけで、その経験に裏打ちされた深い洞察は、胸に響くものばかり。
これから駅伝やラグビー、プロ野球の日本シリーズ、サッカーのワールドカップなども目白押しです。また、ご自分でスポーツに取り組む機会もあるかもしれません。この講座を見たか見ないかで、選手たちを見る眼も、スポーツに取り組む心構えも、まったく違ってくるはずです。
さらにスポーツから離れても、一流アスリートの「自分の高め方」は、自分の人生の大きなヒントとなる部分が数多くあります。この講義を視聴したかしなかったかで、もしかすると自分自身の人生も変わるのではないでしょうか。
また、ついつい誰かに話したくなるエピソードも山盛りです。
以前に受講された方も、ぜひ再度、ご覧ください。見るたびに、胸に響くポイントが変わってくる、珠玉の講座です。
◆為末大:本番に向けた「心と身体の整え方」(全8話)
(1)ディテールにこだわる
集中のスイッチを入れる方法は意識からと身体からの2通り
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3846&referer=push_mm_rcm1
質問に対して、為末さんが的確に次々とお答えになる内容は、まさに圧巻。日頃から深く考えていないと、色々な角度からの質問に対して、ここまで具体的に答えられないはずです(ちなみに、この質問のかなりの部分は、当日のインタビューの流れのなかで生み出された即興的なものです)。
たとえば、第1話で出てくる為末さんのお話しを1つだけご紹介しましょう。
《(本番でベストな力を発揮するために)事前準備である身体の反復に加えて、頭の中に具体的な細かいディテールをイメージしていきます。例えば、観客がどこにいて、自分の母親はどこで見ているか。風がどう吹いているか。ゴールした瞬間にインタビュアーはどこにいるか。何秒後にインタビュアーはこちらに来るか。マイクは何色か。どのタイミングで自分は泣くのか。そういうのを全部やっていきます。身体の動きのシミュレーションはすぐに済むのですが、心の中の、情動の部分、感情がどう動くかということも一緒にイメージをしていきます》
まるで、競技場に立つアスリートの姿まで目に浮かんでくるようなお話です。このような深い洞察に基づいた具体的な方法論や考え方が、以下のような数多くのテーマについて、次々と展開されます。
●本番で力を発揮するために
●試合で崩れるパターン
●集中のスイッチを入れる方法は?
●火事場の馬鹿力はあるのか?
●記録では絶対に負ける格上の相手と戦うときの心の整え方
●「奇声」を上げる観客などに意識が取られた場合は?
●そもそも「ピークを合わせる」とはどういうこと?
●本番のプレッシャーにいかに打ち克つか
●良い自信、悪い自信
●「場数」によって勝ちやすさはどう変わるか?
●どうすれば「大舞台」を楽しめるのか
●「周囲からの期待」との戦い方
●「限界」と「可能性」をいかに見極めるか
●岩盤にぶつかったときの考え方
●プロと素人の「見る目」はどこが違うか?
●「スランプ」の抜け出し方
●「違う刺激を入れてみる」と「迷走」の違い
●コーチと選手の望ましい関係性は?
●「自分の強み」で勝てなくなったときの発想法
●失敗を生かせる人と、潰れてしまう人の違い
世界の第一線での真剣勝負で体得された「考え方」を学ぶのは、なんと贅沢(ぜいたく)なことだろうと、しみじみ実感できる講義です。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆為末大:本番に向けた「心と身体の整え方」(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3846&referer=push_mm_rcm2
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☆今週のひと言メッセージ
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《情動の高まりがなければいろいろなことはできないし、挑戦もできない》
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4560&referer=push_mm_hitokoto
「ガッツ」「譲れない」…情動は重要だが、どう制御するか
長谷川眞理子(総合研究大学院大学長)
さて、「原始的な情動」といいますが、それが重要なことには変わりありません。「ガッツ」や「譲れないもの」「これだけは」というのは、情動・感情です。それらは、いいほうにも悪いほうにも出していくことができます。
(中略)
しかし、そういう情動の高まりがなければいろいろなことはできないし、挑戦もできない。そういうものをどう制御するか。そこが、心と感情を考える上で非常に大事なことだと思います。
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今週の人気講義
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誰もが陥る「認知バイアス」とは何か
鈴木宏昭(青山学院大学 教育人間科学部教育学科 教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4663&referer=push_mm_rank
学問は関係ない。教養がある人の「素敵な振る舞い」とは
小宮山宏(東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長)
長谷川眞理子(総合研究大学院大学長)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4650&referer=push_mm_rank
「新しい資本主義」の重点投資分野は実現可能な国家戦略か
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4627&referer=push_mm_rank
10分でわかる「カーボンニュートラル経営」
夫馬賢治(株式会社ニューラルCEO)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4658&referer=push_mm_rank
音楽はなぜ時代を映し出すのか?…音楽と人の歴史の関係
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3007&referer=push_mm_rank
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編集後記
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皆さま、今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。
さて、先日今年(2022年)のノーベル賞受賞者が発表されましたが、物理学賞に選ばれたのは「量子力学」の分野で貢献した、フランスやアメリカなど3人の研究者でした。
今回の受賞によって、日本でも量子力学あるいは量子コンピュータへの注目度が上がり、今後さらにその重要性を認識されていくのではないでしょうか。
テンミニッツTVでは量子コンピュータについての講義として、以下、武田俊太郎先生(東京大学大学院工学系研究科准教授)のシリーズ講義が現在、好評配信中です。
◆武田俊太郎:本当によくわかる「量子コンピュータ入門」 (全4話)
(1)量子コンピュータとは何か
10分でわかる「量子コンピュータ」
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4544&referer=push_mm_edt
タイトル通り、この講義を聴くと本当に量子コンピュータのことがよく分かります。特に量子コンピュータのことは興味あるけどよく分からないという方にはもってこいの講義です。ぜひシリーズ通してご視聴ください。
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