編集長が語る!講義の見どころ
新「幸福」論…「ウェルビーイング」を考える/特集【テンミニッツTV】

2022/11/11

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上です。

あと半月で、いよいよ12月です。戦乱や危機の高まりが続き、コロナ禍もなお影を落した今年だからこそ、あらためて「幸福」とは何かを考えてみたいものです。

いま、社会的にもビジネス的にも、あらためて「ウェルビーイング」という言葉が注目されています。これは「身体だけではなく、精神面・社会面も含めた幸福・健康」の意味ですが、では、具体的にどのような幸福像をめざすべきなのでしょうか。


■本日開始の特集:新「幸福」論…「ウェルビーイング」を考える

今回は、「ウェルビーイング」という視点から「幸福」について考える珠玉の講座を、多角的に集めてみました。

https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=99&referer=push_mm_feat

・前野隆司:実は今、「幸せにも気をつける」べき時代になっている

・田村潤:「使命観=パーパス」に立脚できないのは自分のエゴのせい

・津崎良典×五十嵐沙千子:「幸福」について語り合う「哲学カフェ」を再現

・吉川洋×小宮山宏「hidden Value」をどのように考えるかが重要

・住明正:「サステナビリティ学」はお金やモノ以外の幸せを考える

・青島未佳:心理的安全性を阻害する「5つの対人不安」とは


■講座のみどころ:「幸せになるためのメカニズム」とは?(前野隆司先生)

「幸せ」について考えない人はいないと思います。結局のところ、自分は幸福なのか。そう問われると、「うーん」と考え込んでしまう人が大半ではないでしょうか。

しかし、幸福とはけっして単なる哲学的命題や精神論ではありえません。「幸せな人は、免疫力も高まって、寿命も平均で7年から10年ほど長い」ことも明らかになっているとのこと。

「幸せか否か」は「リアル」に大きく跳ね返ってくる問題なのです。

本日は、前野隆司先生(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授)の幸福論講義をご紹介します。とてもご好評をいただいている講義です。

◆前野隆司:「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(全7話)
(1)心理学研究と日本の幸福度
実は今、「幸せにも気をつける」べき時代になっている
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3527&referer=push_mm_rcm1

前野先生は、心理学をベースに「どのような条件を満たせば、人は幸せでいられるか」ということを、世界中の研究成果をひもときつつ、とてもわかりやすく解説してくださいます。

もともと前野先生は、機械工学を学び、ロボットの研究をされていました。ロボットの心を作ろうと試みるうちに、人間の心に興味が移り、その後、人間の心の働きについて研究するうちに、「幸せとはどういうことか」について研究するようになったそうです。

だからでしょう。前野先生の「幸福論」はとても分析的で、エビデンスの説得力もあり、新たな知見をいくつも与えてくれます。いわゆる哲学的なアプローチとは、また違った方向から幸福について考えることができます。

この講義で、前野先生は「幸せの4つの因子」について解説してくださいます。

(1)自己実現と成長の因子(やってみよう因子)
(2)つながりと感謝の因子(ありがとう因子)
(3)前向きと楽観の因子(なんとかなる因子)
(4)独立と自分らしさの因子(ありのままに因子)

それぞれの内容については、ぜひ講座本編をご覧ください。自分自身の幸福について多くのヒントを得られること、うけあいです。

そのほかにも、前野先生は次のようなテーマについて、とても納得感の高いお話を繰り出してくださいます。

●高齢社会と幸福

●長続きしない幸せと、長続きする幸せとは

●「夢や目標」と幸福の関係

●「友だちの多様性」と幸福

●日本人は遺伝的に「心配性」?

●個人主義は幸福にマイナス?

●自分らしさと幸福

●幸せをめざすと不幸せになる?

●幸福度を高める方法とは

まことに興味深い論点が目白押しです。

たとえば第1話では、よくニュースなどでも話題にのぼる「世界幸福度調査(World Happiness Report)」のからくりについて指摘されます。

2020年の結果では、日本の幸福度は先進国中最下位の62位とのことで、このような結果から「日本人は不幸だ」などと論じられることが多くあります。

しかし前野先生は、「この調査は割り引いて考えるべき」とおっしゃいます。なぜなら、この調査は、「0が最悪の人生、10を最高の人生としたときに、あなたの人生は何点ですか?」と質問して、その回答の平均値をランキングしたものだからです。

前野先生によれば、欧米に多い個人主義の人たちは「10からの引き算」で考える。つまり、最高な人生(10)から考えて、自分の人生はどのくらいマイナスかを考えるので、平気で8とか9などといった数値をつける。

一方、アジアに多い集団主義の人たちは、「周りを見て普通程度かな」と考える。そのため「5」を基準として、その前後の点を選ぶので「5」を中心とした富士山のような正規分布となりやすい……なるほど、思い当たる節のある話です。

ただし、このようなかたちでデータを取ることによって、「幸福度」の自己分析と、他のデータを照らし合わせて研究することができるようになります。それによって「幸せを目指すことができる時代がきた」のだと前野先生はおっしゃいます。

たとえば、これによって「幸福と仕事」や「幸福と寿命」の関係なども客観的に分析することができるようになります。また、「20代は幸せだが、そこから幸福度は低下して40~50代で幸せの底になる。しかし、50歳以降、歳を重ねれば重ねるほど幸福度はどんどん上がっていく」こともわかってきます。

まことに興味深いデータが示されますので、詳細はぜひ講座本編をご覧ください。とかく茫洋(ぼうよう)としがちな「幸福」について考えるうえで、明確な1つの座標軸を与えてくれる講義です。


(※アドレス再掲)
◆特集:新「幸福」論…「ウェルビーイング」を考える
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=99&referer=push_mm_feat

◆前野隆司:「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3527&referer=push_mm_rcm2


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レッツビギン! 穴埋め問題
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今回は「生命科学」についての問題です。ではレッツビギン。

生命科学は、今から約60年か70年ぐらい、つまり20世紀半ばぐらいから、現在までにかけて大きな発展をしてきました。1953年のジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックによるいわゆる(    )の発見が、われわれ人間とはどのようなものであるか、生物とはどのようなものであるか、これを明らかにしました。それ以来、生命科学においては、多くの人たちによるいろいろな新しい発見が起こってきました。

さて(    )には何が入るでしょう。答えは以下にてご確認ください。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2449&referer=push_mm_quiz


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編集後記
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皆さま、今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。

さて今月1日から応募が始まっている以下、今月のプレゼント本ですが、20日の締切まであと9日となりました。

<今月のプレゼント本>
『私たちはどう学んでいるのか:創発から見る認知の変化』 (鈴木宏昭著、ちくまプリマー新書)

ご希望の方はいますぐ、以下からどうぞ。

<応募方法>
https://10mtv.jp/?referer=push_mm_new_function
※トップページ内に表示されている「今月のプレゼント」からご確認ください(応募前の方のみ表示されます)。

ちなみに、これまでで人気の高かった(応募数の多かった)プレゼント本の一つが以下になります。

『大学4年間の哲学が10時間でざっと学べる』(貫成人著、KADOKAWA)
https://www.amazon.co.jp/dp/4046014490/

2016年に発刊された本で現在は文庫版になっていますが、当時(2018年)は単行本としてプレゼントいたしました。
この本のエッセンスを動画としてお届けしているのが現在も人気配信中である貫成人先生(専修大学文学部教授)のシリーズ講義〈西洋哲学史の10人~哲学入門〉です。ぜひご視聴ください。

◆貫成人:西洋哲学史の10人~哲学入門 (全10話)
(1)ソクラテス 最初の哲学者
10分でわかる「ソクラテス」
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2127&referer=push_mm_edt