編集長が語る!講義の見どころ
人生が変わる?知っておきたい哲学書/特集&納富信留先生【テンミニッツTV】

2022/11/25

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上です。

皆さまは「自分の人生を変えるような一冊」と出会ったことがあるでしょうか? そのような本に出会えたら、まことに幸せなはずですが、どうやったら出会えるのでしょうか?

もしかすると「哲学書」がそのような一冊になるかもしれません。

しかし、「哲学書」は敷居が高くて……。そんなときこそ、ぜひテンミニッツTVの講座をご覧ください。第一人者の先生方が、とてもわかりやすく解説くださいます。これを学んでから本を読むと、理解の容易さや深まりが段違いです。


■本日開始の特集:教養として知っておきたい哲学書

https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=85&referer=push_mm_feat

「哲学書が人生を変える」とは、どういうことでしょうか?

たとえば納富信留先生(東京大学教授)は、プラトンの『ポリテイア(国家)』について、次のように語ります。

《プラトンの対話篇は、読む私たちの魂を変えてしまう、変容させるという意図を持って書かれた本です。だから、「危険な本だ」といってもいいと思います。

 どういうことかというと、例えば『饗宴』という本があります。あの中で読者は非常に楽しい会話を読むわけですが、それを通じて私たちも一緒に美を追求し、愛を語るという哲学の実践を行っていくことになる、それに参加するということです。さらにソクラテスの死の場面を描いた『パイドン』という作品は、読むことによって読み手である私たちの死への恐怖を取り除き、魂自体を浄めるという、やや宗教的な意味すら持つ本です。

 『ポリテイア(国家)』という本も同様だと思っています。すなわち、この本は想像力というものを通じて私たち自身が変わること、つまり、この本を読む前の私と1回読んだ後の私、さらに何度も読んだ私が変わっていくということ、もっといえばよりよい人生を送っていくということになると思いますが、そのための本です》
(納富信留先生:プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作)

この納富先生のお話を聞いただけで、「哲学書」の様々な可能性に気づかされます。自分の人生を変えるかもしれない哲学書を、ぜひテンミニッツTVの講座でひもといてみましょう。

・納富信留:全米トップ10大学生必読書プラトン『ポリテイア』は問題作

・納富信留:プラトンの『ソクラテスの弁明』は謎多き作品

・津崎良典:デカルトに『世界論』の出版を断念させた宗教裁判とは?

・津崎良典:『方法序説』を上回るデカルトの破格な著作

・川出良枝:モンテスキューとルソー…二人の思想家の共通の敵とは?

・中島隆博:「共感」によって道徳を基礎付けようとした「道徳感情論」


■講座のみどころ:史上最大の問題作、プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(納富信留先生)

プラトンの『ポリテイア(国家)』。この本は、アメリカのトップ10の大学で学生たちが「一番読んでいる本」の第1位だといいます。また、2001年にイギリスの新聞「ガーディアン」が、哲学の専門家を中心に「これまで書かれた哲学書の中で何が一番重要か」という大々的な調査を行なったところ、第1位になっています。

なぜ、この本が重要なのか。『ポリテイア』は「私たち自身を変える書」であり「史上最大の問題作」と語る納富信留先生が、その精髄を、熱くわかりやすく教えてくださいます。

◆納富信留:プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(全16話)
(1)史上最大の問題作
全米大学生の必読書プラトン『ポリテイア(国家)』は問題作
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4684&referer=push_mm_rcm1

この講座は全16話構成ですが、前半8話を配信した後(1月5日配信予定)、少しだけ間を空けまして、その後、後半を再開予定です。このメールでは、まず前半8話を紹介することにいたしましょう。

ちなみに日本では、プラトンの『ポリテイア』は、『国家』という邦題で知られ、かつては『理想国』という邦題でも発刊されていましたが、納富先生は『ポリテイア』というタイトルにこだわりを持っていらっしゃいます。

なぜなら、プラトンがこの本で論じている「ポリテイア=国のあり方」は、「実は魂の構造や宇宙の構造も含めた、あり方の問題」であって、『国家』と訳してしまうと「国家論や政治学だろう」と思われてしまう危険性があるからです。

まず、納富先生は第1話で、プラトンの『ポリテイア』の位置づけについてご解説くださった後、第2話、第3話ではこの作品の「設定」や「背景」について教えてくださいます。

この内容を学ぶと、いかにプラトンが「設定」や「背景」にこだわっているかが見えてきます。まさに読者を「対話篇」に誘う巧妙な仕掛けがなされているのです。

そしていよいよ本題、この『ポリテイア』が何を論じているのかに話が進みますが、納富先生は、全巻の問題設定は「正義とは何か?」だとおっしゃいます。

それを論じていくために、ポリスのあり方などが語られ、さらに有名な「イデア論」も論じられ、最後の巻では「死語の世界を語るエルの物語」まで登場するのです。

最初の問題設定ではソフィストで弁論家のトラシュマコスが「正義とは、強者の利益である」と挑発的に主張します。各国では、支配者=強者が自分自身の利益になるように法律を制定しているから、というのですが……。

プラトンの『ポリテイア』では、これを論駁(ろんばく)し、「なぜ正義が不正に優るのか」が論証されていくのです。

ここで、1つ提示されるのが、「ギュゲスの指輪」の思考実験です。あるとき、ギュゲスという羊飼いが、それを身につけると自分自身が透明になる指輪を手に入れます。するとギュゲスは、自分自身が透明になれることをいいことに、王妃を誘惑し、王を殺害し、王位を簒奪して自分の王朝を開くのです。

誰でも、自分自身が透明になれるなら、そのようなことをしてしまわないか? ギュゲスの指輪を持っても、本当に魂は正しい物事をなせるのか? そういう問題設定です。

実は、プラトンが『ポリテイア』で「ポリス(国)」のあり方を論じるのは、この「正義のあり方」を論じるためなのです。

プラトンはまず思考実験として、「最少のポリスは、いかなる構成員でつくれるか」を考えていきます。

プラトンは、食糧を生産する農夫、住居をつくる大工、衣服をつくる機織り、身の回り品をつくる職人の分業で成り立つといいます。しかし、これだけでは「おかずなしの食事をしているようなもの」です。人口が増えたら、領土が必要になる。領土が広がっていくと、別のポリスとの領土争いが発生する。

領土を獲得し、守るためには「軍人」が必要になります。さらに、農夫や職人たちは、自分たち自身のことしか考えませんが、ポリス全体を配慮する「守護者」が必要になってきます。

ここでプラトンは有名な「哲人統治」のあり方を語るのです。

しかし、ここでいう「哲人」は、われわれがイメージする「哲人」とは一風趣を異にします。実はプラトンが考える「哲人」は、数と計算を学び、平面幾何学を学び、立体幾何学を学び、さらに天体運行や音楽の理論を学ぶなど、「数学」的な教育の積み重ねによって誕生するものなのです。

それはなぜか。

それは、ぜひ講義本編をご覧ください。納富先生は併せて、プラトンが論じる初等教育と高等教育のあり方についても教えてくださいます。

納富先生の熱い語りで、プラトンの対話篇に引き込まれながら、多くの気づきを得ることができる講座です。この講座は、間違いなく自分の人生を変えてくれる内容だと思います。また、現代社会の諸問題を考えるうえでの、1つの貴重なものさしになることも間違いありません。

長丁場ですが、ぜひ繰り返しご試聴いただければ幸いです。


(※アドレス再掲)
◆特集:教養として知っておきたい哲学書
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=85&referer=push_mm_feat

◆納富信留:プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4684&referer=push_mm_rcm2


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レッツビギン! 穴埋め問題
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今回は「古代ローマ人」についての問題です。ではレッツビギン。

ローマ人は何が優れているのか。この問題を投げ掛けたのは、紀元前1世紀の半ばから後半に活躍した、政治家、文人、弁論家でもあった(    )という人物です。古代ローマ最大の知識人といっていいでしょう。(    )はこの問い掛けの最後に、われわれは宗教的な敬虔さ、神々を敬う気持ちではどこの民にも負けないと言っています。

(    )には同じ人物名が入ります。さて何が入るでしょう。答えは以下にてご確認ください。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=1499&referer=push_mm_quiz


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編集後記
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皆さま、今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。

さて、ここ最近「雑談」の重要性が叫ばれるようになっていることもあり、以下の本を読み始めています。

『最高の雑談力:結果を出している人の脳の使い方』(茂木健一郎著、徳間書店)
https://www.amazon.co.jp/dp/419864635X/

2018年に発刊された本ですが、実はこの本を読もうと思ったきっかけは以下の講義を収録、編集している時でした。

人間の本質とは?混沌とした現代社会に対する大事な問い
小宮山宏(東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長)
長谷川眞理子(総合研究大学院大学長)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4654&referer=push_mm_edt

小宮山先生の「オンラインで欠けているのは雑談かもしれません」という言葉がとても印象に残っていて、コロナ禍で少なくなったといわれる「雑談」が、実は教養にとって鍵になるものではないかと思った次第です。

ちなみに、この編集後記もある意味雑談のようなもの(どちらかといえば独り言のようなものですが)だといえるかもしれません。ここまでお読みいただき、ありがとうございます。皆さまの学びにとって少しでもお役に立てたのなら幸いでございます。