編集長が語る!講義の見どころ
小泉武夫先生「和食」ウェビナー1月24日開催!&百人一首を学ぶ【テンミニッツTV】
2022/12/20
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
令和4年(2022年)も、いよいよ残り10日余となりました。行く年を振り返りつつ、来る年の幸せを願うタイミングでもあります。テンミニッツTVは、年末年始も興味深い新講義や、新企画を発信してまいります。引き続きましてのご愛顧、何卒よろしくお願い申しあげます。
さて、本日は、来年1月24日(火)に開催する小泉武夫先生のウェビナーと、ぜひ新年に学びたい「百人一首」講座を紹介いたします。
■(1)小泉武夫先生ウェビナー:「和食」の深い秘密…なぜ身体に良いのか
テンミニッツTVでは、昨年の夏以降、「小宮山宏先生×長谷川眞理子先生の教養論」「鎌田東二先生の宮沢賢治『銀河鉄道の夜』講義」「小原雅博先生の米中関係論」の3回のウェビナーを実施してきました。
来たる、2023年1月24日(火)に、小泉武夫先生(東京農業大学名誉教授)をお招きしてウェビナーを行ないます。
◆ウェビナー申し込みページ
https://10mtv.jp/seminar/202301/index.php?referer=push_mm_new_function
(テーマ):「和食」の深い秘密…なぜ身体に良いのか
(趣旨):いま世界でますますブームが深化している和食。人気の大きな理由は「健康によい」ということですが、その秘密は、食材構成に加え、驚くべき智恵と工夫、そして「発酵」と深く結びついているところにありました……。ビジネスパーソンからシニア層まで、老いも若きもあらゆる人にとって、「健康」は何より大切な自分自身の資産であり、活動の根源です。加えて、科学的にも理に適っている和食の秘密を解き明かすことで、日本人が伝統的に培ってきた文化の本質や意義も見えてきます。おもしろく学べて、自分の身体のためにもなる、必見ウェビナーです。
今回は、日本能率協会さまとの共催ウェビナーとなります。ぜひ奮ってご参加ください、
(開催概要):
時間:1月24日(火)14:00~15:30予定(質疑応答含む・当日リアルタイムの生配信)
開場:1月24日(火)13:30~
会場:Zoomウェビナー(Zoomを使ったインターネット上で行うセミナー)
申込方法:参加をご希望の方は、以下の「申し込む」よりお申し込みください
参加費:無料(会員限定)
※「Zoomウェビナー」受講方法など詳細は、ぜひお申し込みページをご参照ください。
(ウェビナー申し込みページ)
https://10mtv.jp/seminar/202301/index.php?referer=push_mm_new_function
■(2)百人一首の「鑑賞」で和歌の真髄を学ぶ(渡部泰明先生)
日本の文化や精神を考えるうえで、欠かすことができないのが「和歌」であることは間違いありません。
せめて百人一首の歌くらいは知っておきたい……と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。競技かるたを題材とした少女漫画「ちはやふる」(映画化もされました)の影響もあって、百人一首は若い世代でもブームになっています。
一方、百人一首の歌は昔覚えたし、という方も多いことでしょう。人口に膾炙(かいしゃ)しているだけに、ついつい「軽く」見てしまいがちな方もいるかもしれませんが、渡部泰明先生(東京大学名誉教授/国文学研究資料館館長)はこうおっしゃいます。
《「『百人一首』に出てくるほど有名な歌なら、もう昔から解釈は定まっているだろう」と思われる方が多いかもしれませんが、決してそうではないのです。また、『百人一首』の歌自体、謎めいた歌が多いのです。ですから、解釈についても結構いろいろな方面から考えることのできる歌が多いということです。だからこそ『百人一首』は、これだけ愛されてきたともいえます》
この言葉どおり、渡部先生はこのテンミニッツTVの講座で、解釈の奥深さ、面白さを、存分に教えてくださいます。和歌の何たるかをうかがい知るためにも、必見の講座です。
◆渡部泰明先生:百人一首の和歌(全5話)
(1)謎の多い『百人一首』
『百人一首』の歌が選ばれた理由とは?今も残る3つの謎
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2200&referer=push_mm_rcm1
第1話で渡部先生は、百人一首は「非常に謎めいていて、分からない部分がかなりある」とおっしゃいます。
渡部先生が挙げる「謎」は、
●「どうやって出来上がったのか」という成立の謎
●「なぜ、この歌人が選ばれているのか」という謎
●「百人の歌人たちから1首ずつ選ぶとして、この歌が本当に代表作なのか」という謎
の3つです。
現在の通説では、百人一首は、鎌倉期の1235年ごろに藤原定家が選んだとされます。彼の『明月記』という日記に、それらしい記述が出てくるからです。藤原定家が選んだとしても、「なぜこの歌人?」「なぜこの歌?」という疑問は尽きません。
ただし、「謎ばかりではあるけれども、分からない、分からないと言っていてもしようがない」と渡部先生はおっしゃいます。われわれができることは、『百人一首』の歌をしっかり味わい、どういう歌なのかをしっかりと読むこと。これが何といっても大事なことだし、そこに始まってそこに終わるといってもいいというのです。
渡部先生は、大学の授業では1首につき最低でも90~100分をかけたりしたそうですが、このテンミニッツTVの講義では、次の4首について各10分ずつのご解説をいただいています。
・在原業平
ちはやぶる神代も聞かず竜田川韓紅(からくれなゐ)に水くくるとは
・和泉式部
あらざらむこの世のほかの思ひ出にいまひとたびの逢ふこともがな
・皇嘉門院別当
難波江の葦のかりねの一夜ゆゑ身をつくしてや恋ひわたるべき
・藤原定家
来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くや藻塩の身もこがれつつ
たとえば、在原業平の歌について。「ちはやぶる」といえば「神」の枕詞として有名ですが、この「枕詞」について渡部先生は、「昔のたとえで恐縮ですが」と語りながら、元プロ野球選手の清原和博選手が打席に入る前に流れたテーマソング「とんぼ」(長渕剛)の例を挙げます。
「こうした音楽がかかると、次にヒーローが登場してくるという期待感が、その場を満たす。枕詞はそれに近いものであったと考えると分かりやすいのではないかと、私は考えています」というのです。
ところで、この在原業平の歌は、せっかく「ちはやぶる神代」と持っていきながら、「も聞かず」と続きます。普通、和歌の中で神代や神を出すときは、「神様がこうである」「神様が作ったものだ」といった言い方をするが、この歌が「神様の時代だって、そんなものはなかったはずだ」などというのは、飛び抜けて大胆なことだといいます。
なぜ、そのような大げさな言い方をしたのか。それについては、ぜひ講座の第2話をご覧ください。
次の和泉式部の歌は、『百人一首』の歌の中でも一番情熱的な歌ではないかと渡部先生は指摘されます。しかし、実は解釈にかなり議論の余地があるとして、様々な注釈書の訳を示しつつ、渡部先生ご自身の解釈をお話しくださいます。
渡部先生がまず注目されるのは上の句の「あらざらむこの世のほかの思ひ出に」です。この上の句は、実は屈折をはらんでいて、だからこそ実は2つの意味を掛けているのではないかと、渡部先生はおっしゃるのですが……。
それがどのようなことかは、第3話をご覧ください。
さらに、皇嘉門院別当の歌は奇跡的なまでに技巧的な歌であり(第4話)、藤原定家の歌は素晴らしい「本歌取り」で『万葉集』や『源氏物語』の世界観をまとっている(第5話)といいます。
この講座で渡部先生の歌の解釈のあり方を学んでいくと、「三十一文字」という限られた言葉のなかに、いかに内容を盛り込み、歌の世界観を広げていくのかが見えてきます。それこそ、和歌の面白みであり、深みでもあるでしょう。そしてそのようなあり方が、日本文化の確かな核心になっていることも伝わってくるのです。
日本人として、ぜひとも学んでおきたい講座です。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆1月24日(火)小泉武夫先生ウェビナー
https://10mtv.jp/seminar/202301/index.php?referer=push_mm_new_function
◆渡部泰明先生:百人一首の和歌(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2200&referer=push_mm_rcm2
----------------------------------------
今週の人気講義
----------------------------------------
コシノジュンコ作品に感じる「原始の力」と「生命力」
コシノジュンコ
執行草舟(実業家/著述家/歌人)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4737&referer=push_mm_rank
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理(法政大学文学部心理学科教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2848&referer=push_mm_rank
なぜ「徳」の字を選んだのか?家康が描いた権威のつくり方
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4728&referer=push_mm_rank
異端の経済学者…ドイツ歴史学派、社会主義、マルクス主義
柿埜真吾(経済学者)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4697&referer=push_mm_rank
ギュゲスの指輪…悪事がバレないとき人は正義でいられるか
納富信留(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4688&referer=push_mm_rank
※今回、今週のひと言メッセージと編集後記はお休みとさせていただきます。
人気の講義ランキングTOP10
熟睡できる習慣や環境は?西野精治先生に学ぶ眠りの本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
「ブッダに帰れ」――禅とは己事究明の道
藤田一照